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とじこめられました



2021年5月31日、


午後4時3分


異変に気がついたのはその時でした。


僕は自宅の台所にいました。



台所と外とを隔てる、
扉のドアノブに
何度も何度も手をかけます。


動かないのです。


ドアがびくともしないのです。


その時僕は悟りました。


閉じ込められたと














⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
(星の数でこの記事のオススメ度を
5段階で評価しています)



皆さんこんばんは
フリックフラックの髙橋壱歩です。


いつも僕の記事をお読みいただき
ありがとうございます。


今日は一昨日の夕方、
僕の身に実際に降り掛かった出来事を
書いていこうと思います。




5月31日の午後、
僕は家にいました。



午前中に歯医者に行き、
その後近くのラーメン屋で
昼ごはんを済ませて

バイトの出勤まで
洗濯や洗い物をしながら
時間を潰していたのです。



ここで一度、
僕の家の構造を
説明しておこうと思います。



僕の今住んでいる家は
一階に玄関があります。

玄関の扉を開けると
すぐ階段があり
それを上がると廊下に出ます。


向かって左側に
風呂、トイレ、洗濯機
そして
キイロイゾウサンSIZUKUの部屋

正面にキイロイゾウサン黒木の部屋


廊下を右に進むと木製の扉があり、
それを開けると台所


そこから更に真っ直ぐ進み
扉を開けると僕の部屋があります。


僕の部屋にのみベランダがついていて
窓を開けるとそのまま
外に出られるようになっています。



そう
僕はルームシェアをしているのです。



僕の記事を毎日のように
読んでくださっている方々は

もう何回もその情報聞いたわ!


と思うかもしれませんね。




ただ、
このキイロイゾウサンというコンビは
今YouTubeの企画でハーレーで
日本一周をしているので
家にはいません。


6月中盤頃に帰ってくると聞いているので
僕はその時まで3DKで
一人暮らしという状態なのです。





さて話を少し戻しましょう。



洗濯の途中で
自分の部屋に付いているベランダに行ったり
台所を通って洗濯機の方へ行ったり


何度も往復していると
ある事に気がつきました。



それは
台所と廊下とを隔てる
扉についての事でした。





この扉、家自体が古いので
相当年季が入っていて
木製で傷だらけなんですが
鍵がついていたのです。


僕は今の家に住み始めて
ちょうど2ヶ月ほどになるのですが
この時まで鍵がついている事には
全く気がつきませんでした。


おそらく家の中で鍵がついているのは
この扉と玄関だけです。



この扉に鍵が付いているのは不自然だなと
思ったんですが
もともとこの家は管理会社の
社宅兼事務所として使われていたらしく
そう考えるとそこまで
違和感がないように感じられました。


家で見つけた久しぶりの発見に
テンションが上がったのでしょうか


洗濯を早々に済ませた僕は
その鍵をいじってみる事にしました。





しばらく触っていると
またある事に気がつきました。


この鍵、

廊下側

つまり僕の部屋から見て外側に
回すタイプの円柱形のドアノブがついていて
真ん中に
漢字の「凸」のようなチョボがついていて
回せるようになっています。


「凸」の先っちょが縦向きなら
鍵がロックがされ
横向きならロックはされないという
仕組みになっていて

扉を開けた状態で
先っちょを縦に回してから
扉を閉めても
ロックがかかるという
奇妙な構造をしていました。



反対側、
僕の部屋や台所がある側には
同じように円柱形のドアノブがついていて
その真ん中には鍵を刺すための穴が
ついていました。


昔、ここが社宅兼事務所

つまり仕事場だった時に
どのような使われ方をしていたのかは
正確には分かりませんが


いまルームシェアとして使っている分には
使い道はないだろうと判断しました。



これはレアケース中のレアケースですが


もし僕が
キイロイゾウサンの2人にイタズラか
何かをして

彼らが僕に対して怒ると

で、その怒りがピークに達し
鍵を外からかけて僕を閉じ込める


このくらいしか
使われる状況は無いと思っていたのです。



その時までは









16時00分になりました。

僕はもう少し部屋で
ゆっくりする事にしました。


僕の家からバイト先までは
30分もあれば余裕で着きます。


シフトは17時00分からだったので

16時30分までに出れば着くのです。




タバコを1、2本吸って
ゆっくり準備をしてからでも
間に合うだろう。



そう呑気に考えていました。




そして16時04分


トイレに行こうと自室の座椅子から
立ち上がった僕は
自室の扉を開け、
台所を通り抜けて
廊下とを繋ぐ扉に手をかけました。



ガッ



右手に違和感を抱きました。




本来ならこの行動で発せられる音は

ガチャッ

のはずです。



なのにいま

ガッ

っと聞こえたのです。






いつもより鈍い音に
異変を感じた僕は
しゃがみこんでドアノブを観察し



次にドアと壁との隙間を見ました。




あれ?



鍵を閉めた時に飛び出る
小さな鉄の塊が壁の窪みに刺さっているのが
分かりました。









鍵かかってるやん






さーっと血の気が引くのがわかりました。





意味のない事はわかりつつも

現実を受け止めきれず
何度かドアノブをガチャガチャと
回しました。


びくともしないのです。




その時僕は確信しました。




とじこめられたのだと



さっきこの鍵の存在に気づき、
好奇心に溢れた僕は
その鍵をいじくり回した


その行動によって
自分で自分を閉じ込めてしまったのだと

自分自身を監禁してしまったのだと



次の瞬間には僕はスマホを取り出し


ある人間に電話をかけていました。

数コールで繋がりました。



「もしもし?」




「ヤバい、閉じ込められた。」





「なにが?」



この時電話を掛けたのは
母でした。
母は仕事中でしたが
近くにスマホを置いていたこともあり 
すぐに電話に出てくれたのです。



冷静になって何日か経った今だから
言えるのですが
人間一番テンパった時に連絡するのって
やっぱり母親なんですね。


大阪にいるから何の意味もないのに



一通り状況を説明しましたが
ほとんど頼りになるような
アドバイスは得られませんでした。


「一旦バイト先には遅れるかもって
連絡しといたら?」



たしかに



それはそうだと思いました。


あんなに余裕があった
あの出勤時間にも
今では間に合う望みの方が薄く

退勤時間にすら間に合うかどうかすら
わからない状況なのです。



「そうか。一旦連絡するわ」



電話の向こうから
母と同じ職場の伯母の笑い声が
聞こえてきました。




僕は思いました。



なにわろとんねん





甥っ子のピンチがそんなに
可笑しいのかと



伯母の中で
僕は唯一の甥っ子のはずです。


心配する気持ちはないのかと


怒りをぶつけたいのを堪え
僕は一旦電話を切りました。



その時点でまだ時刻は
16時05分でした。



現実的に見てあと猶予は25分しかない



25分?



絶妙な時間でした。



今から誰かしら近くの人に来てもらって
何かしらの手段で開けてもらって
そのままバイトに向かうとしても

不可能ではない時間なのです。




ちょっとだけ粘ってみるか?



僕にはバイト先に
電話を掛けるのに
少し躊躇いの気持ちがあったのです。



理由は簡単です。



僕のバイト先の人たちには
僕が今お笑いの養成所に通っていることは
伝わっています。



今までその影響で急なシフト変更を
頼んだりしたこともありました。


しかし、僕は真面目に働いていた事もあり
それなりに信頼も得ていたのです。



それがどうでしょう


今この時間帯に

「すいません、家に閉じ込められてるんで
もしかしたら遅れるかもしれません」


なんて言った暁には


信頼関係を失うとともに


「うわ!なんか芸人志望のバイトが
変なボケかましてズル休みしようとしてる」



と思われるという
絶望的な冤罪を生む
可能性を孕んでいるのです。



家に閉じ込められた

なんて
遅刻理由としては嘘すぎます。

嘘すぎて逆に
信用してもらえるかもしれませんが


それが本当だと信用してもらえるような
自信がその時の僕には無かったのです。




迷った挙句僕は、
元POSTER GiRLのゾエに
連絡する事にしました。




彼は大阪時代からの友達で
僕の上京後も一緒にご飯を食べたり
銭湯に行ったりする仲だったのです。



彼と会う時は
当日に約束をする事も多々ありました。



ゾエならばもしかしたら
助けに来てくれるのではないか?



そんな淡い期待を抱きながら
僕はスマホを操作し、
彼に電話を掛けました。



数コール待ちます。




出ないのです。



ゾエが出ないのです。





よく考えれば
ゾエに来てもらって助けてもらう
という手段は
今僕が考えうる範囲の中では
最も有効かつ現実的なものでした。



その最有力候補を失った事に
気付いてしまい
僕の中で絶望が広がっていくのを
感じました。




そもそもよく考えれば
それほど大した状況では
ないのかもしれません。



誰かに監禁されたのならまだしも

僕が鍵をいじくり回していたことが
原因であり

完全に僕の不注意によって
この事態は引き起こされているのです。



僕を今縛っているのは
木製のボロボロの扉のみ


おそらくこのまま過ごしても
明日までには隣人かゾエかに
開けてもらい
解放されるでしょう

この時まだ、今の自分の状況では
風呂どころか
トイレにすら行けないという事に気がついて
いなかった僕は

別に出るのは明日でも良いかもしれないと
少し心が折れかけていました。



しかし今の僕は
すぐに出る必要があったのです。


一刻も早くこの扉を
開ける必要があるのです。




僕はベランダに出てみる事にしました。




前にnoteで何度か記事にしたことが
あるのですが
僕はこの2ヶ月で
隣の部屋に住んでいる外国人の家族と
挨拶を交わすほどには
仲良くなっていました。




もし今その家族の
誰か1人でも在宅であれば
助けてもらえる可能性は高くなります。



ベランダに飛び出し、

頭を宙に突き出して下の方を見ました。


そして叫びました。



「すいませ〜ん!すいませ〜ん!」



僕の大声が住宅街に
虚しく響き渡りました。





いないのか?




よく考えれば
あの外国人家族のお父さんは
昼間ほぼ毎日のように外に出て
どこかに電話を掛けています。



今外でその声が聞こえないという事は
誰もいないという事じゃないのか?




どんどん焦る気持ちが
強くなってきました。



もう誰でもいい



誰でもいいから助けてくれ



僕はベランダから
先程よりも大きい声で叫びました。



「すいませ〜ん!すいませ〜ん!」




夏も近づいた暑い日だからでしょうか


近所の家のいくつかは
窓を開けて気温を
乗り切ろうとしていました。


その窓に向かって


所々空いているその窓に向かって
叫びました。




その時でした。



僕の家の真下の道


すぐに見下ろせるその道を
ある老夫婦が通ったのです。



チャンスだ




僕は思いました。



「すいません!すいません!
ちょっと良いですか?」




老夫婦は僕の方をチラッとだけ見ると
何事も無かったかのように
通り過ぎていきました。



え?




何が起こったんだいま




今起こった現実を受け止められるほど
僕は冷静ではありませんでした。




そう


無視されたのです。




完全に見て見ぬふりをされたのです。




しかしこれはよく考えてみれば
当たり前のことなのです。



普通に道を歩いていて
どこかの家のベランダから急に
僕のような若者に声をかけられれば
恐怖を感じるでしょう。



僕だって逆の立場なら
無視するはずです。




ただの異常者にしか見えないわけですから。



どうしよう


一旦冷静になろう。



自分の部屋に戻った僕は
今度こそ腹を括り、
バイト先に電話を掛ける事にしました。


時刻は16時19分でした。



何度かコールが鳴ります。



バイト先への電話には
誰も出ませんでした。



どうしよう



すぐに店長にLINE電話をかけました。

こちらは数コールで繋がりました。


「もしもし!
すいません僕17時から出勤なんですけども
今家の台所にいまして
閉じ込められてるんですよ。

16時30分までに出れば間に合うんですけど」




店長の反応はこうでした。


「え?笑笑
なんですか?笑笑
閉じ込められてる?」






なにわろとんねん



お世話になっている店長にも
怒りを覚えました。


「そのー…説明しづらいんですけど
僕の部屋古くて
立て付け悪くて
外から鍵がかかってしまったんですよ」




わかりやすいようで
わかりづらい説明で伝えました。


冷静に説明しない方が
信じてもらえると感じたのです。



「う〜ん。
大家さんに電話してみたら?」




まあそれももっともな意見なのですが

正直現実的な手段ではありません。

大家さんがいつ来てくれるか
わからないからです。


「え、ベランダとかはないの?」


「ありますよ。」



「何階に住んでるの?」


「2階ですけど………」





おいおいおい店長!



一体何を言おうとしてるんや?

何をさせようとしてるんや?



「いやいや、店長それは無理ですよ。
2階って言っても結構高いですし」



「そうですか。
私の方から今日出勤の社員に
連絡しておきますので」




「お願いします。
何とか間に合うように
出られる方法考えます。」




電話を切りました。





どうしよう





僕は改めて扉の前に立ってみました。



扉をよーく観察します。



僕の家は築64年だと
不動産屋に聞きました。


木製の扉はもちろんボロボロで

所々ネズミがかじったような跡も
見られます。



ボロッボロやなぁこれ




その瞬間、
僕の中の悪魔が
僕の耳にこう囁いたのです。





壊せ




壊してしまえ




お前が自分の手で破壊するんだ






僕の中の悪魔が更に囁きます。



そんな扉もともと
いらないものだったんだろ?

じゃあ壊しちゃえばいいじゃん


古い家だし
弁償代も安いよきっと


もしかしたらタダかもよ?

そのくらい古いわけだし






そうか


壊しても後で謝れば良いだけだ。


一旦壊そう


壊して外に出よう



そっから考えよう




僕は体を思いっきり扉にぶつけました。



ドン!


ドン!



ぶつける度に大きな音が鳴ります。






びくともしません、、、



その瞬間気づきました。



映画やドラマなどで
扉に体を思いっきりぶつけ
ぶち破って敵のアジトなどに
侵入するシーンがよくあるが
あれは嘘だと




あんなこと出来るわけがない



僕は成人男性の中でも
割と体が大きくて
力も強い方だ。


そんな僕が決死の思いで
体をぶつけているのに



全く開く様子がない。


という事はあれは嘘だ。



あくまでフィクションの話なんだ。



そのあともう一度ベランダに戻った僕は
何人か見かけた通行人に
その都度声をかけましたが
思ったよりも声が通りづらいのか
外に向かって大声を出すなんて
そんな非常識なという
僕の中での謎の線引き、
ブレーキがかかったのか
誰も足を止めてはくれず
無視をされ
その度に絶望に近づくという
地獄のような
時間を過ごしました。






もう無理なんだろうか



16時27分


僕は気がつけば
同居人に電話を掛けていました。



意味がない事を知りながら



彼らはその日、その時刻

東北にいました。


2人揃って



助けに来れるわけが無いのです。



それでも

一縷の望みをかけて電話しました。






出ませんでした。




不思議と悲しい気持ちは
ありませんでした。



出ても出なくても結果は一緒なのです。



僕は出れないのです。


結局出れないのです。





しばらく狭い空間を
駆け回っていたせいでしょうか


疲れた体を少し休めるため
床に腰を下ろしました。



ふぅー




その時、


チャリン

という音がしました。



僕は音がする方に目を向けました。



僕の腰あたりにそれはありました。


玄関の鍵と
それを僕のズボンへと繋ぐカラビナが
擦れて
チャリンという音が鳴ったのです。




鍵?



もしかしてこの扉


玄関と同じ鍵なんじゃ無いか?




そう思った瞬間に
僕は行動にうつしました。



腰についた鍵を扉に近づけ

穴に刺しました。



刺さった!


刺さったぞ!




ゆっくりと回してみます。






回らない





回らないのです。




トボトボと鍵を抜いた僕は
今度こそもう無理だと
諦めモードに入りました。



今日の夜中までには
誰かから連絡が来て出られるかもしれない



でもそれでは意味がないんだ。


今出ないと



今すぐ出ないとバイトに間に合わない。







社員さん困るやろうなぁ




このままだとワンオペになってしまう
社員さんのことを思いました。


僕は変な理由で飛んだやつと認定され
嫌われるのだろうか



バイト先で働きはじめて2ヶ月


信頼を失うには
十分な短さでした。



せめて遅刻するなら
もっとちゃんとした理由で


もっと胸張って言える理由で
したかった。




なんであの時僕は鍵を
いじくり回したんだろう。


放っておけば良かったのに



なぜあの扉のドアノブに
手を伸ばしたんだろう



悔やんでも悔やみきれませんでした。








16時32分








ここでぼーっとしていても
しょうがない







せめて最後まで抵抗はしよう



最後まで後悔ないように戦おう



僕はフラッとベランダに
出てみる事にしました。



ベランダに常に出してある
スリッパを履き
ベランダの手すりに手をかけた、


その時です。



家から見下ろせる
真下の道で自転車に乗った女性が
動くのが見えたのです。




ラストチャンスだ




僕は決意して大声を出しました。




「すいません!
ちょっとだけお話しいいですか?」



「はい?」




「あのー僕、
ここに住んでるものなんですけど
立て付け悪くて
鍵が閉まっちゃったんですね。

鍵渡すんで外から
開けてもらって良いですか?」



またしてもよくわからない説明を
してしまいましたが
もう必死に伝えるしか無かったのです。



「はいはい、
じゃあ鍵落としてくれる?
どうしたいい?
普通に入ったらいい?」






いける


いけるいけるいける


助かる助かる助かる



確かな手応えを感じるとともに
体が熱くなるのがわかりました。





ベランダから安全な位置に鍵を落とすと
その女性がすぐに拾ってくれ

玄関を開けてくれました。



「これでいいの?」



「いえ、違います!
2階上がってもらって
右側の扉を開けて欲しいんです!」





その女性は
全く怪しむ事なく階段を上がってきてくれ

そのまま僕を閉じ込めていた
諸悪の根源である扉を開けてくれました。



「ありがとうございます!
ホンマに助かりました!
ホンマにありがとうございます!」







言葉が見つかりませんでした。



奇跡です



奇跡が起こったのです。




そのあとその女性がもう1組の隣人

つまり、外国人家族ではない側の
隣人である事が判明しました。




偶然にもこのタイミングで帰宅し
偶然にも僕がそれに気がついた。


さまざまな偶然が組み合わさって
僕の救助へと繋がったのです。





隣人の女性に丁寧にお礼を済ませたあと
僕は急いで最寄駅へと向かいました。


家を出たのは16時37分でした。




いつもより遅い時間の電車に乗った僕は
かなり冷静に戻っていました。



え、こんな事ある?


ただのラッキーやん


間に合いそうやし




スマホを素早く操作し
乗り換え案内のアプリを開き
時間を調べました。



間に合う


走ったら間に合う




僕は今すぐにでも
自分に起こった出来事を
誰かに伝えたくて
しょうがない気持ちを抑えて

電車を降り、改札を抜けて
バイト先へと走りました。





ピッ


小気味よくタイムカードを押して
赤字で電子表示された時間を見ました



16時59分




間に合った



間に合った。





僕は息を整えながら
社員さんに向かって辿々しく
説明しました。

「すいません、何とか間に合いました。
店長から連絡来てたと思うんですけども
ちょっと家に閉じ込められてまして

説明しづらいんですけど
めっちゃ古い家で建て付け悪くて

隣の人に助けてもらって

何とか間に合いました。」




社員さんは

え、なにがですか?

という表情でこう言ってきました。


「え、そうだったんですか?

店長から連絡とか無かったですよ?」









店長はその日休みでした。


連絡しようと思えば
いつでも出来たはずです。



それなのに
連絡しなかったという事は…




完全に疑われていた?



信じてもらえていなかったのか…



僕の閉じ込められたというのは
嘘というかボケで


なんやかんやでどうせ間に合うやろー


くらいに思っていたということか?



僕の頭の中で店長のあの

「え??笑笑
閉じ込められたんですかぁ??笑笑」



という声が響き渡りました。




僕は


僕はこんなに必死に間に合おうと
足掻いていたのに



店長は嘲笑っていたのか?




信じられない



踏みにじられた 



蹂躙された



時刻が17時00分になりました。



「じゃあ行きましょうか!」



僕は店長への怒りを
そっと自分の中に閉じ込めて
仕事場へと向かいました。



1日の間で
閉じ込められる側と
閉じ込める側
両方を経験するとは





僕のことを心配してくださってる
大阪の皆さま、


上京早々
こんな出来事も起こりましたが
僕は元気です。


皆さんも元気にお過ごしください



ではまた明日















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