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デカ迷子伝説

⭐️⭐️
(星の数でこの記事のオススメ度を
5段階で評価しています)

これは僕が高校生の頃の話。

その日、僕は
ショッピングモールをうろついていた。

その時期、
僕は暇な日はよくそうやって過ごしていた。

何を買うわけでもなく
ただただウロウロする。

エレベーターに乗ろうと思い歩いていると
泣き声が聞こえてきた。

声量がだいぶ大きい

子供かな?

近づくと
エレベーターホールの前に女の子が1人
泣きじゃくっていた

小4くらいだろうか

えげつないほど泣いている。

え?
迷子かな?

僕は無視してエレベーターに乗ろうとした。

そのとき僕は坊主だった 

迷子だとしても
声をかけたら余計怖がるだろう。

ボタンを押して
エレベーターが来るのを待つ

まだ泣いている

その声があまりにも大きい。

僕は思わず声をかけた。

「どうしたの?」

僕はできるだけ
優しい印象を与えるよう標準語を使った。

「迷子かな?」

デカすぎる
迷子にしてはデカすぎる。

女の子はこっくりと頷いた。

迷子かい!

小4で?

小4ってこんな幼かったっけ!

僕は

「お母さんと来たの?」

と尋ねた

1秒でもはやくこの任務を終わらせたかった

こんな状況周りからみたらどう写るだろう

兄妹に見えるだろうか
妹をめちゃくちゃ泣かしているお兄ちゃん、

それはそれでやばい


まあ、他人に見えるだろう



めちゃくちゃ泣いている女の子と僕、

やばい

どちらにせよやばいことだけが確定してる。

僕はその子を
迷子センターに連れて行くことにした。

泣いているせいか女の子は進むのが遅い。

ただ僕のことを怖がっている様子はなかった。

母親も心配してるだろう。

早く連れて行ってあげよう。

僕は必死に迷子センターを探した。

マップを見るとどうやら
ここには迷子センター自体が
存在していないらしい。

しょうがない
僕は受付のような場所を探した。

歩いていると主婦が不審な目で僕を見てくる

そりゃそうだ。

女の子はまだ泣いている。

でもその主婦にひとこと言いたい

ほなあんたが連れて行かんかい!

そんな目で見るんやったら
あんたが連れて行ったらええ話やがな!

こっちかて親切でやっとんねん!

怒りを抑え受付へと急ぐ。

着くと女性が二人カウンターに座っていた。

「すいません、この子迷子みたいなんですけど」

その女性はすぐに引き継いでくれた。

僕は礼を言い
またウロウロを再開することにした。

しばらくすると館内アナウンスが流れた。

これであの子も親のもとに帰れるだろう。

僕は胸を撫で下ろした。

一仕事を終えたからか少し疲れていた。

慣れないことをしたんだ
そんなもんだろう

もうそろそろ帰ろうか

出口へと歩く

あっ!

横から歩いてくる親子を見た

迷子の女の子とその母親だったのだ

そうか、無事にお母さんに出会えたのか。

よかった

その親子がゆっくりと僕の目の前を通り過ぎる

え?

なんやなんや!

お兄ちゃんありがとう的なんないんかい!

こっちはめちゃくちゃ
ドキドキしながら送り届けたんやぞ!

なんで素通りやねん!

僕はその小さな背中と
さっきまでの出来事を
まるで無かったかのようにしてしまう
母親の大きな背中を見送った。

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