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Impress Watch

『Impress Watchシリーズ』は、月間2億PVを数え、インプレスを代表するWebメディアとして知られていますが、その始まりがメール媒体だったことをご存じでしょうか。今回は『Impress Watchシリーズ』の成り立ちと成長の過程をご紹介します。

商業電子メール媒体から進化した
WebメディアImpress Watchシリーズ

株式会社インプレス/株式会社Impress Watch

パソコンやスマートフォンをはじめとするIT関連ジャンルに加えて、車や旅行、グルメなども幅広く扱う専門ニュースサイト群『Impress Watchシリーズ』。その始まりは、最新情報を素早く届けることにこだわる編集者たちが生み出した日本初の電子メール新聞だった。

初の商業メール媒体として誕生

 1995年、インプレスグループでは、創刊間もない『iNTERNET magazine』によって、月1回ペースでの情報発信を始めていたが、変化の激しいインターネットの世界に対応するため、週刊あるいは日刊ペースでの情報発信が必要だと感じていた。

 とはいえ、新しいニュース媒体を立ち上げたくても、週刊誌やタブロイド紙といった従来型の流通を利用した出版物では、コスト負担などのリスクが大きすぎた。だが、そのハードルが逆にまったく新しいアイデアを生む源泉となった。記事を電子メールで配信すれば、大きなコストをかけなくても情報をタイムリーに届けられる。日本初の商業電子メール媒体は、こうしてスタートした。

 電子メールで媒体を作る。そこには何のノウハウもなかった。方法論は自分たちで作っていくしかなく、〝電子メールのレイアウトは横何文字にするのか?〞〝目次は付けるのか?〞〝広告は入るのか?〞、何もかもが初めてだった。

 メールソフトで折り返しが付いても改行されないように76文字詰めとする、広告にはタイトル、キャッチコピー、リンク先URLを入れるため5行必要などなど、パイロット版をいくつも配信しながら、電子メール新聞『INTERNET Watch』が形になっていった。

Web版『INTERNET Watch』の初期は、メールで配信される内容の紹介が中心だったが、扱うジャンルの増加とともに、ニュースも掲載するようになった。


黎明期を支えたウォッチャー制度

 『INTERNET Watch』の創刊に向けて、編集部は〝インターネットのメディアなのだからインターネット上で活躍する人間に協力してもらおう〞と考えた。『iNTERNET magazine』の読者投稿者や当時まだ珍しかった個人サイトの開設者などに依頼し、集まった社外記者を〝ウォッチャー〞と呼んだ。ウォッチャーと編集部をつなぐツールにはメーリングリストを活用し、バーチャル編集部が出来上がった。メーリングリスト内を検索するツールや記事のカテゴリー分け、投稿マニュアルなど、ウォッチャーたちは必要な道具を自分で作るようになり、自発的な努力で問題を解決する、極めてインターネット的なダイナミズムでウォッチャーコミュニティは機能していた。

多彩なジャンルを扱うWebメディアへ

 1995年12月にプレ創刊(有料版の本創刊は1996年3月)を果たし、電子メール新聞として大きな反響を呼んだ『 INTERNET Watch』は、1997年には電子メールに加えてWebサイトでも記事を公開するなど、メディアの体裁だけでなく、ビジネスモデルも変革させていった。扱う内容に関しても、当初は『PC Watch』『GAME Watch』『AV Watch』など、デジタルやコンシューマエレクトロニクス系を中心に増やしていたが、2022年現在、『Impress Watchシリーズ』として、『Car Watch』『トラベル Watch』『グルメ Watch』など、デジタル・コンシューマエレクトロニクス系の垣根を超えた幅広いジャンルを扱う総合Webメディアへとテーマの幅を広げている。

『Impress Watchシリーズ』では初となるPC/IT・コンシューマエレクトロニクス系以外の産業をテーマとした『Car Watch』。


 扱うジャンルは増えても、〝作り手の情熱を読者に伝えていく〞〝ITによる変革を伝える〞というコンセプトは踏襲し、『トラベル Watch』では、ITを活用した旅に役立つノウハウを紹介したり、『グルメ Watch』では、食事に関連するトレンドやテクノロジーにもフォーカスしたりするなど、『Impress Watchシリーズ』の強みが生かされている。

2021年に創刊された『グルメWatch』は、食の分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速もテーマのひとつとして掲げている。


 読者の閲覧環境の変化に合わせて、電子メールによる発行は2014年で終了したが、[Watch Video]やYouTube Channelなどを通じた動画公開、モバイルアプリ版(現在は提供終了)のリリースなど試行を続け、2016年にはスマートフォンにも最適化したデザインにリニューアル。2021年実績で月間約2億3257万PV/約1573万UUを誇るWebメディア群に成長した。

「IT・PCからはじまり、コンシューマエレクトロニクス関連でのテーマ拡大を礎に、IT化による進化とシナジーの濃い、自動車や交通・旅行といった産業界まで、エリアを拡大してこられました。今後も時代の趨勢やトレンドをうまく摑みながら、チャレンジを続けて行きたいです」(谷川潔/インプレス執行役員、コンシューマメディア事業部長)


『Impress Watchシリーズ』の主なメディアと扱う内容(2022年3月現在)

Impress Watch
IT・ネットや家電、クルマなどの重要なニュースやトピック

INTERNET Watch
インターネット関連ニュース、技術動向、セキュリティ情報など

PC Watch
PCやタブレット、周辺機器、テクノロジーの最新情報など

デジカメ Watch
デジタルカメラやレンズ、写真業界のニュース、レビューなど

AKIBA PC Hotline!
PCパーツをメインに、秋葉原の新製品情報やマーケット情報など

AV Watch
テレビやオーディオ関連ニュース、映像作品の発売情報

家電 Watch
家電の新製品情報やレビュー、各種イベントレポートなど

ケータイ Watch
スマートフォンやモバイル機器の商品情報、通信業界動向など

クラウド Watch
クラウド関連サービスや製品、海外の技術動向など

窓の杜
オンラインソフトのライブラリ、ニュースアップデート情報など

Car Watch
自動車に関するニュース、レビュー、インプレッションなど

トラベル Watch
乗り物や道路、旅に役立つノウハウやグッズレビューなど

グルメ Watch
コンビニやレストランの新メニューなど身近な食に関するニュース

GAME Watch
ゲームソフトやハードの情報、イベントレポートなど

HOBBY Watch
プラモデル、フィギュア、ゲームグッズなどのホビー情報

Watch Video
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こどもとIT
プログラミングやSTEAM教育関連のニュース、事例など


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