もう一つの国宝「飛青磁」 【大阪市立東洋陶磁美術館―国宝<飛青磁>―】
天目茶碗として日本で国宝に指定されているのが3つ。その中の一つが「油滴天目(東洋陶磁美術館所蔵)」。この油滴天目以外に、同美術館にはもう一つ国宝に指定されている優品がある。
それが「飛青磁花王」の花器。門外漢の筆者にしてみれば “ん? これが” と思ってしまうほどの普通の青磁器にしか見えないが・・・
日本には国宝指定件数は1,132件(2023.1.1付)で、230件が建造物、902件が美術工芸品。その1件が、この花入れである。文化史的に、また学術的に価値が極めて高いものとして法令に基づき国宝に指定されている。国宝指定の資料を読んでいると、国宝や重要文化財は価値の高さはもちろんだが希少な優品として未来の日本に残すべきストーリーが存在する。
本題の飛青磁は草花を生ける器で、南宋から渡ってきた金属製や陶磁器の花生は非常に格式が高いとされていた。資料によると、飛青磁は鉄斑紋という焼物の装飾方法で所々に模様が浮いて出てくる。中国の龍泉窯で焼かれたものが多いといわれている。
下部の膨らみ、口がすぼまったこの形は、中国の「玉壷春(ぎょっこしゅん)」と呼ばれる酒を入れる食器だったが、日本では茶の湯で使用する花器「花生」として重宝されるようになった。
この飛青磁は大阪の豪商「鴻池家」に伝来したもので、その後、安宅産業のコレクションになり住友グループから寄贈され、「玉壷春」の器形のコーナーの一角に展示されていた。
国宝指定を受けるまでは、形あるものとして製造され、国は違えど何らかの目的で人から人へと渡り継がれてきた。そして安寧の地である美術館で多くの人たちに親しまれ重宝されている。
※すべて安宅コレクション
文・写真/ 渡邉雄二
場所/ 大阪市立東洋陶磁美術館
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よろしければサポートお願いします。日本の伝統文化に関心を寄せています。若いころに文化圏の異なる地域の方たちとの交流で日本のことをあまりにも知らなかったことに気づかされ、それがきっかけで広く浅く学んでいます。拙いレポートですが、お目に留めていただければ幸です。