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散文

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#短編

七色の歯がこぼれ落ちた

七色の歯がこぼれ落ちた

 にゃあ、とドアの外で猫が鳴いて、ドアを開けると向かいの戸建ての敷地からこちらのアパートの方へ降りようとしている野良猫がいて、その降りてきた猫と目が合った。
「にゃあ、こんにちは」とあなたが伝えると、その猫は少し考えるようにこちらをしばらく見つめてから、ゆっくりと門の下の隙間を匍匐前進みたいに地面にべたっとしなやかに屈んでくぐろうとしている。
 最後に丸い尻とがに股をした後ろ足をこちらに披露して、

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海の子

海の子

窓の外からホトトギスの鳴き声が聞こえてきて、少しずつ浅い眠りから覚醒する。ホトトギスは春に鳴く鳥だと思っていたのだが、このあたりでは一年中鳴いているのでまるで季節感がない。ただ、朝になって明るくなると鳴くことが多いので、まあ、気分は爽快とまではいかなくても、それなりに気持ちがいいものだ。

 昨夜は布団を敷くのが面倒で、毛布をかけてソファで横になっていたらどうやら眠ってしまったらしい。いつものこ

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