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寝込む

週末に友人が「普段怒るのか」と聞いてきた。

怒らないイメージがあるのだと思う。そして実際のところあまり怒ることはない。

ちなみに時々心理学やマネジメント関連の本などで目にする見解に、誰かに対して「怒らない」人間は他人にさほど関心がないのだと主張するものがあることを知ってはいるが、僕自身のケースにはそれは当てはまらないと思っている。というのも僕は昔から怒ると寝込んでしまうから怒らないのだ。

僕はどうしたわけか腹がたつと無性に眠くなって寝てしまう。寝てしまうとこれまたどうしてなのかわからないが、15時間ほど目を覚まさない。

だから極力「この人にも何か悩みがあるのだろう」で済ますか、時間を共にすることを今後やめるか、そのようにして自分自身が怒るという状態を招かないようにしている。問題との向き合い方の模範ではきっとないだろうが、僕が思うに大人というのはある意味でそういうもので、継続が難しいと思ったら丁寧にお礼を述べて、今後は呼ばなければいいだけのこととも言える。そこに輪をかけて怒ることは余分だろう。

僕は実は人間の極端な悔しさや不条理にも弱く、例えば差別的な描写を本や映画などで見てしまったりしてもやはり寝てしまう。

今夜は食後にドラマを観たら随分と理不尽な黒人差別の時代がテーマだったせいで、9時ごろから急激に眠たくなってきてしまった。少し早めに寝ようと思う。


( 文・西澤伊織 / 写真・つぼたこうすけさん )

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