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UXデザインをより良くする、2つのお手軽なトレーニング方法

INVITROの小蔵です。いままであまり自己紹介的なことはしてなかったですが、Design Strategistという役職でデザイナーをしております。プロダクトやデザインをビジネスの戦略やUX調査結果をもとに策定し、且つ開発可能な形に調整したり、合意形成やチームビルディングを含むデザインプログラムを実施しプロジェクトの管理を行っています。


UXデザインの成果はサービス自体を作らなければ評価が難しいため簡易なトレーニング方法が必要である

前記事、UXはデザインなのか?でも言及しましたが、UXデザインの実施はサービス自体を作らないと検証できない事が多く、サービスデザインの実践のなかでUXデザインをトライアルするのはハードルが高いと言えそうです。
DailyUX100(今はもうないのかな??)などで訓練するのも一つですが、実施という面で今ひとつといった感は否めなく、どうせなら計画して人に体験してもらうところまでをトライアルとしたいところでしょう。
そこで今回はUXデザインのトライアル方法を紹介したいと思います。


複数人に、あるゴールを達成してもらうために誘導するようなプログラムで、身内で完了するものがお手軽である

あるUXプログラムを体験してもらうリクルーティングは思いの外大変ですし、トレーニング用に部外者に頼むだけのモチベーションがなかなか得られないのではないでしょうか。気軽に頼めたり、そもそもの動機が獲得しやすいのが身内(親しい仕事仲間、家族、友人)です。これは特別考えなくても身内に依頼しそうではあるのですが。

UXプログラムの実施が身内だけで済み、体験の結果が如実にわかる方法として下記の2つが挙げられます

「身近な人を喜ばせるためのサプライズの設計と実施」
「ワークショップの設計と実施」

です。それぞれの利点と要点を見ていきましょう。


サプライズは心理的ハードルが高いかもしれないが、デメリットが少なく人の喜びを作るという点では最適である

身近な人を喜ばせるためのサプライズの設計と実施
身近な人=良く知っている人(パートナーや自分の両親、子供)などです。ペルソナを考える必要がなく、パーソナルに響きそうな洞察を対象者との思い出や経験のなかから見つけ出すことが容易でしょう。

サプライズなので、時系列や仕組みを良く考えないと途中でわかってしまったり、サプライズの要素のなにが面白い点なのかが対象者に伝わらず仕舞いになってしまいます。

一人では実施が無理な場合は協力者にどのタッチポイントで何をするのかなどの段取りを説明し、協力者が実行できるようなものにしなくてはなりません。

また、対象者のことだけ考えてしまい、協力者が何故協力してくれるのかや実施後にどうなるのかを考慮できていないと、エンドユーザーのみが主役の一方通行なUXとなってしまうでしょう。

そして、最も良い点はたとえサプライズが失敗に終わったとしても対象者が自分のために何かを企画してくれたことを喜んでくれることがほとんどかなと思われることです。

筆者は人生の中でサプライズ的な計画実施は3回ほどあり、そのうち2回はUXの概念がまだなかった頃に行いました。人を巻き込んだり下準備が大変なのは確かではあります。
サプライズはちょっと…という人はワークショップで試してみるのが良いでしょう


ワークショップの設計と実施はUXデザインにかなり近く、お手軽である

ワークショップの設計と実施
ワークショップはUXリサーチを行う際に、顧客やステークホルダーへの合意形成やアイデア展開等でUXリサーチャー(UXデザイナー)が設計やファシリテーションを行う場合も多いため、お手軽な手段だと言えます。

合意形成や次のフェーズに必要な情報類の策定、決定などゴールはそれぞれですが、多数の参加者の能力(発想力や知見)などを引き出しながら、最適な結論や仮説などへ導くのがワークショップの主たる機能です。または簡易的な能力開発など、ワークフローを順次実行していくことで体験しながら方法論を理解できます。

行動観察のやり方を体得するワークショップのデザインを例に考えてみましょう。

ペア行動観察はデザイン・シンキング系で必ずやることにしているワークショップで、
・何故潜在的ニーズは言語化できないのか
・人は言っていることとやっていることが違う
が理解できるが目的です。

二人一組でペアになって決められた行動(カップラーメンを開封して食べ終わるまで、体のある箇所にバンドエイドを貼り終わるまでなど)を交代で行い、一人は行動を実施、一人は1ステップ毎に起こったことを記録します。同じだと思っているシーケンスも個々人でかなり違い、無意識的な行動の中にデザインのヒントがあったりします。

カップラーメンを開封して食べ終わるまでの観察ワークショップを行おうとすると、
・人数分のカップラーメンを用意する
・人数/2分の熱湯を一度に利用できる環境を用意する
・ワークショップのやり方を説明する
・具体的になにをやればいいのかやってみせる
・ゴミや食べ残しを処分できるようにする
・参加者に筆記用具をもってきてもらう
・筆記用具の予備を用意する
・ビデオを撮れるようにしておく
・行動観察後の分析と共有を行う

などが必須のファクターとして挙げられるかと思います。1~2時間の時系列の中で起こりうる事を予測し、必要事項や予備を準備したり、参加者の傾向によって難易度を調整したり、ワークショップの目的を達成するために最適に誘導するプランを作成することは、UXをデザインするという概念にかなり近いのではないでしょうか。

ワークショップはゴールが明確なので、結果が明らかでであるのも良い点でしょう。
より意識的にやるなら、ワークショップの終わりにワークショップを評価するプロセスを入れてしまうのも合理的ではあります。

弊社でも共創が必要な場合はクライアントチームと供にワークショップ形式で意思決定やデザイン・シンキング、スクラム系のワークなどを行っており、よく行うワークについては「ワークフロー」と呼ばれる単位で誰でも繰り返し実行できるようにしています。UIデザインのプロセスなども詳細なワークフローを作り仕組み化しているのである程度回数を熟せば一人でできるようになっていきます。

筆者は2011年くらいからCreative ThinkingというLogical Thinking とDesign Thinkingを相補的におこなうようなデザインプログラムのワークショップを主催していたため結構たくさんのワークショップの設計と実践の経験値があり、それなりにワークショップの欠点や陥りやすい失敗などを解決してきています。共創や能力開発等でお困り事があればお気軽に相談くださいませ
info@invitro.design

次回はCreative Thinkingと弊社のベーシックスキル集であるINVITRO Basicの話かペルソナの命名法(ネタ)についてあたりを書こうかなと思います

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