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10月31日放送分『青天を衝け』プチ解説

選挙特番のため、19:10放送開始となった大河ドラマ『青天を衝け』。サブタイトルも「論語と算盤」ということで、暗に現政権に対する隠れたメッセージを感じさせる回でした。半沢直樹的大河となってしまった本作ですが、そこに論語が登場することでストーリーに絶妙なバランスを生んでおり、大変面白く拝見できました。

今回は、三野村さん(三井組大番頭)がナレ死、西郷さんがテロップ死、大久保さんが部下の知らせによる死と、大物が次々と去っていった回でもありました。物語が一気に動いた『青天を衝け』、ますます目が離せなくなってきましたね。

ということで今回も『青天を衝け』プチ解説に参ります。

1.古河市兵衛

担保の件で破産寸前となった、小野組の小野善右衛門(演・小倉久寛)と栄一の会談。その場に居合わせていた人物が、古河市兵衛(当時は小野組番頭)です。小野組破産後は独立して鉱山業を営み、足尾銅山を手中に収めます。古河の死後は後継者によって多角経営に成功し、古河鉱業古河電工などを創業。いわゆる古河財閥として財界に影響力を持ちました。戦後の財閥解体後は富士電機富士通といった企業が急成長しています。

2.東京日日新聞

栄一の横浜での謀略に際して、「こんな長い広告記事は載せられない!」と話していた福地源一郎(演・犬飼貴丈)が主筆を務めていた新聞。1872年創刊の、東京で初めての日刊新聞です。福地は福地桜痴(おうち)として、政府寄りの論説を展開しました。のちに1911年に大阪毎日新聞の傘下に入り、1943年から毎日新聞となりました。

3.郵便報知新聞

上の福地と同じ場にいた栗本鋤雲(演・池内万作)が主筆を務めていた新聞。1872年に前島密が作りました。「憲政の神様」こと尾崎行雄や、五・一五事件で倒れた犬養毅らが執筆していたことでも有名です。駅逓寮(郵便局)のネットワークを通じて情報を集めていたため、地方記事が充実していたとされています。1894年に報知新聞となり、1942年には読売新聞と合併しました。1946年に復刊し、1950年にはスポーツや芸能を扱う新聞となり、いわゆるスポーツ報知となりました。

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最近の『青天を衝け』には、現代に通じる企業・人物がわんさか登場し、本当に楽しいですよね。現代の基盤が、明治時代にできたということがわかります。劇中には、今回紹介した以外にも「三井銀行」「郵便汽船三菱」などが登場していますが、今回は割愛しました。これらについては、次回以降扱うことができればと思っています。

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