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2023年2月前半日経平均相場の振り返り

①  日経平均チャート

2月前半相場を振り返ると、日経平均株価は1月末の終値27327円に対し、高値27821円安値27266円となり狭いレンジでの取引となった。

②  FOMC利上げ

2月1日の米連邦準備理事会(FOMC)は利上げ幅を前回の0.5%から0.25%に縮小した。
2022年3月以降8会合連続の利上げとなった。
政策金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利はリーマンショック前の07年10月以来の4.5~4.75%となった。

③  FOMC金利見通し

22年12月の前回会合でFOMC参加者が見通した到達点の中央値は5.1%で、0.25%ずつ利上げを続ければ次々回の5月会合で最後となる。

④  米個人消費支出物価指数

FOMCは声明文で『継続的な利上げが適切』との従来表現を残し、市場で浮上していた次回の3月会合での打ち止め観測をけん制した。
パウエル議長は『十分な引き締め的な水準にするには、あと2回ほどの利上げが必要だ』と説明した。
FRBが物価目標として重視する米個人消費支出物価指数は22年12月で前年同月比5.0%上昇となり。3カ月連続で鈍った。

⑤  米失業率

一方で失業率は12月も3.5%と低い。
景気後退を避けながら2%の物価目標に到達するFRBの軟着陸シナリオはこれまでのところ順調と言える。
パウエル議長は『労働市場に打撃を与えることなく物価鈍化の兆しが出てきたことはよいこと』と述べた。
先行きについては『勝利宣言や勝負がついたとするシグナルを送ることには慎重になる』と語った。
当面は新たな経済見通しを示す3月会合に向け、経済や物価の動向を慎重に見極める考えも改めて強調した。
インフレが早期に沈静化し、引き締めが想定ほど厳しくならないと見る市場の楽観論を警戒したかたちだ。

⑥  米長期金利

1日の米国市場は議長の会見中に金利低下・株高が進んだ。
米長期金利は3.5%台から3.3%台後半まで下がり、前日比で500ドル以上下落していたダウ工業株30種平均は最終的にプラスに転じた。

⑦  ZHD、LINE合併

2日には、ヤフーやLINEを傘下に持つZホールディングス(ZHD)が2023年度中をめどに、ZHDとヤフー、LINEの3社が合併する方針を発表した。
合弁方式や詳細な日程などは今後詰めていくとしている。
ZHDは21年3月にLINEと経営統合し完全子会社化したが、直後にLINE側のずさんな個人情報管理が明るみになり体制の改善を優先した。
統合の肝となるはずだったヤフーとLINEのID連携は23年以降にずれ込んだ。
目立った効果が出ないまま主力の広告事業で成長鈍化が鮮明となっている。

⑧  ZHDの株価

業績は伸び悩み足元の株価も低迷していたが、この報道を受け3日、ZHDの株価は12%強値上がりした。
しかし勢いはこの日だけとなってしまい、15日には385.6円と発表前に比べて3%上昇に縮小している。

⑨  次期日銀総裁

日本政府は14日、経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏を次期日銀総裁に起用する人事案を国会に提示した。
歴代最長の10年間、日銀総裁を務めた黒田東彦氏の後継に、政府は初めて学者出身である植田氏を選んだ。
 
植田氏は1998年に東大から日銀に転じた直後にメディアとのインタビューの発言で、円相場の急落を招いてしまった経緯がある。
丁寧かつバランスの良い説明は学者としては正しいが、政策当局者は市場に余計な材料を提供しないように努める必要がある。
そんな教訓を得たという。
学者と政策当局者の両方を経験した同氏ならではの興味深い談話である。

⑩  日銀国債保有残高

異次元緩和の10年で発行済国債の半分を日銀が買い占めるという異常事態を招き、市場のゆがみも限界に近づいてきた。
市場や経済へのショックを避けつつ、どう政策を修正していくのか。
金融政策の正常化に向けた「軟着陸」が新体制に託される。

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