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2023年4月前半日経平均相場の振り返り

 ①  日経平均チャート

4月前半相場を振り返ると、日経平均株価は6日の安値27472円まで下げたものの、そこから猛反発をして14日には28493円と3月の高値を伺う勢いで取引を終えた。

②  ウォーレン・バフェット来日

今月の注目すべき出来事といえば、米投資会社バークシャー・ハザウェイを率いるウォーレン・バフェット氏の来日であろう。
バフェット氏へのインタビューでは、日本企業について「考えている会社は常に数社ある」と追加投資を示唆しており、「日本が米国以外の最大投資先だ」と何度も繰り返していた。

③  5大商社株

以前にも記述したがバークシャーは2020年8月にかけて伊藤忠商事、丸紅、三菱商事、三井物産、住友商事の5大商社株を発行済株式の5%超取得し、22年秋にはそれぞれ6%台まで高めていた。
そして現在は、それぞれ7.4%に高めた。
単純合算で1兆9000億円の日本株を保有する計算になる。

 ④  日本株の理由と分散投資

なぜ日本株なのか。
第1の理由は国際的に投資先を分散したいとの考えだ。
米バークシャー・ハザウェイが保有する上場株の時価は3000億ドル(約40兆円)に上り、そのほとんどが米国株だ、また約4割をアップル株1社に依存している。
米国の成長力を信じる同氏とはいえ、集中しすぎるとリスクがある。
米国の財政不均衡を問題視し、金融の混乱や世界不況が起きた場合にも他にはない持続力を維持することを経営課題にあげている。
インフレの暴走から、株主の資産をできる限り守ることの重要性にも触れた。
こうした事態も考慮に入れた分散先として商社株が投資のレーダーに入ったといえる。

⑤  割安時投資哲学

第2に投資する企業の条件は事業内容が理解できる会社であること、そして割安でなければ投資しないのがバフェット氏の哲学だ。
割安さを象徴する株価指標としてPBR(株価純資産倍率)の低さがあるが、日本は上場企業の5割強が1倍割れと世界でも異例の低い評価に沈む。
同氏はそれだけをもって割安だとはしていない。
「純資産の簿価はさほど重要ではない。企業のすべてをみてどうなるか捉える」とし経営の質を重視している。
また、次の投資先として考えている会社は常に数社あるとも発言している。
今後のバフェット氏の動向に注意を払っておきたい。

⑥  コングロマリット(複合企業)

さてバフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイは投資会社の印象が強いが、今まで買収した企業は60社以上にのぼり、グループ全体では約38万3000人の従業員を抱えるコングロマリット(複合企業)なのである。
事業領域は損害保険から鉄道、エナルギー、家具や菓子に至るまで多岐にわたる。
事業投資と純投資の両輪でバークシャー株は過去60年弱にわたり年平均2割上昇してきた。
損害保険事業はバークシャーの投資スタイルと最も密接な関係にある。
保険契約者から保険料を受け取ってから保険金を支払うまで運用に回せるお金「フロート」をベースに、投資規模を雪だるま式に増やしてきた。
鉄道事業では貨物鉄道大手バーリントン・ノーザン・サンタフェ、エネルギー事業では発送電などを手掛けるバークシャー・ハザウェイ・エナジーが主軸だ。

⑦  バークシャー株価上昇率

バークシャーの株価上昇率は米主要企業で構成するS&P500種株価指数を大きく上回る。
バークシャーが開示する1株あたりの時価総額の推移をもとに、1964年に1ドルを投資した場合の2022年末の価値を計算すると37875ドルとなりS&P500の248ドルの150倍となる。

⑧  大阪「IRカジノ」計画

もうひとつ話題にあがったのは、カジノを含む総合リゾート(IR)の開業を巡り、大阪府・市が誘致を目指す夢洲の整備計画について政府が認定する方向で最終調整に入ったと報じられたことだ。
これを受け関連銘柄が活気づいている。

⑨  カジノ関連銘柄

紙幣識別機や硬貨計算機等の貨幣処理機大手の日本金銭機械(6418)、パチスロ機用メダル貸機や補給回収システム、パチスロ機が柱のオーイズミ(6428)、傘下にパチスロ機大手サミーを持つセガサミーホールディングス(6460)、パチスロ大手でフィリピンのカジノ・リゾート「オカダ マニラ」を運営するユニバーサルエンターテインメント(6425)などIR関連が上昇した。今後も注意が必要であろう。

⑩  5日の日経平均下落要因

2023年4月5日に、日経平均は前日比で3.99%の大幅下落。
理由は、以下の3点が要因としては大きかった。
1, 米国の雇用統計データが市場予想を下回った。
具体的には、米国で発表された3月の雇用統計が市場予想を下回り、米国経済の回復
に対する不透明感があったことから、世界的な株価が下落。
2, 国内では、新型コロナウイルス感染症の感染者数が増加。経済活動への影響が解消。
3, 内閣府が発表した2月の景気動向指数が前月比で低下。

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