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相場格言・・・って書いたものの ◇其の拾壱「掉尾の一振」

株式格言「掉尾の一振」

【とうびのいっしん】

<意味>

年末最後の売買日となる「大納会」に向けて株価が上昇すること。


<思うこと>

12月に株価が上がると「掉尾の一振」だったなという感じで、12月は株価が上がりやすいわけではないです。
 
参考までに2010年から2022年までの12月1日と大納会の日経平均の差額を表にしてみました。

12月1日と大納会の日経平均の差額

表の右端の差額が黒字だと12月は上昇相場、赤字だと下降相場とみることができます。正直、五分五分のように見えます。株価は日経平均株価だけで判断できないので、他の指標で12月は上昇相場になっているかもしれません。自分は投資経験20年以上ですが、実感がありません。
 
「掉尾の一振」は相場格言の中では有名です。なぜかというと、金融ジャーナリストが年末の記事やレポートのネタとしてよく使うからです。
 
言葉というものは面白いものです。参考にならない言葉でも、多くの人が使っていれば、残ります。逆に使う人がいなくなれば、内容の良し悪しにかかわらず死語になります。
 
言葉は新しく生まれたり、死んだりするので生物のような気がします。


<相場格言と全然関係ない経験談>

自分の過去を思い出してみると、以前は使っていた言葉でも、今はまったく使っていない言葉は多々あります。
 
自分が子供のころ、大人の会話の中で「日光の手前」という言葉を聞いて、気に入り、使っていたことがあります。今はまったく聞かなくなりましたがイマイチという意味です。
 
日光は自殺の名所といわれる華厳滝がある場所として、子供心に強いインパクトがありました。その当時、実際に日光に行きましたが日光東照宮より華厳滝の方が印象に残っています。
 
友達がつまらないギャグを言ったときには「日光の手前だ」と言い返しました。ただ、子供の世界では流行っていない言葉なので、説明しないと理解してもらえませんでしたが・・・。
 
なぜ、イマイチかというと東京方面から見ると日光市の手前に今市市(イマイチシ)があったからです。
 
現在は日光市と合併して今市市はなくなりましたが、地域の名称は残っています。例えば、下の図はJR日光線の路線図です。
 

日光線の路線図

日光駅の一つ前が今市駅でわかりやすいです。その周辺には今市小学校、今市中学校、今市高等学校と実際はイマイチではない学校だと思いますが、小中高の学校名も残っています。
 
ただ、最近はまったく聞かなくなったので死語になっているかもしれません。


<死語にならずに意味が変わる言葉は怖い>

言葉の中には時代の変化によって意味が変わるものがあります。
 
2019年にプロ野球中日ドラゴンズの公式応援団が選手を「おまえ」と呼ぶ応援歌の使用を自粛したというニュースがありました。
 
結構、注目されたニュースだと思います。球団側は「選手に失礼。子供が使うのも教育上、良くない」ということですが、自分はおまえと呼ばれたことがありますが、嫌な気持ちになったことがないので、あまり悪い言葉だと思っていませんでした。
 
時代劇では「おまえさん」と夫を呼ぶので、それほど悪い言葉でないような気がして、調べたことがあります。
 
「おまえ」の起源は「大前(オホマヘ)」という言葉で、神様の前または天皇の前という意味だそうです。また、天皇自身をオホマヘと言われていたので、お前という言葉ができた頃はとても高貴な言葉だったようです。
 
源氏物語の頃になると、神様や天皇だけでなく、貴人に対しても使われるようになり、江戸時代には親愛なる人に対しても使われるようになりました。その後、だんだんと目下の人に使われるように変わっていったようです。
 
日本語の敬語表現は一般的に相手に対する恐怖から始まり、畏怖→尊敬→敬愛→親愛→なれなれしさ→軽蔑という下落の変化になることが多いそうです。「おまえ」と同じ道を歩んだ言葉で「貴様」もあります。
 
自分は「なれなれしさ」という意味で理解していましたが、最近は「軽蔑」に変化したようです。なので、誰にでも「おまえ」と言わないように気を付けています。
 
「おまえ」のように意味が変わる言葉は言った人と言われた人の気持ちが大きく違う時があるので怖さも感じます。
 
中日ドラゴンズの「おまえ」と呼ぶ応援歌も江戸時代であれば選手愛に満ち溢れた応援歌に聞こえたかもしれません。
 
 
-おわり-














「おまけ」です。
今回は言葉について書いたので、だいぶ古い本になりますが「大野晋の日本語相談」を紹介します。

日本語の疑問について、学習院大学名誉教授で日本の国語学者であった大野晋(1919-2008)の回答をまとめた本です。
 
1つの疑問について4ページ程度で回答してくれるので、面白そうなところだけ選んで読むこともできます。
 
今回の「おまえ」の部分もこの本をだいぶ参照しました。

 

-本当のおわり-

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