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ITベンチャー役員が教えるITサービスで事業をつくりたいときにまずやるべきこと


背景

このタイトルに関心を持っていただけた皆さんは、以下に当てはまるのではないでしょうか。

  • なんとなく作りたいサービスの構想がある。

    • 本業の会社で専門的なドメイン知識を身につける中で、こういうサービスがあれば絶対うまくいきそうだ、という自信がある。

    • 仕事で作ったつながりから、「こういうものがあればいいのにね」というニーズの声を聞く機会が増えた。

    • 類似サービスを使ってみるが、なんとなく使い心地が悪い、自分だったらこうするのに、という妄想をしている。

  • ただ、自分自身にITのスキルはなく、一から勉強して自分で作るのは現実的に不可能。

    • 本業の稼ぎがいいので、いまのところやめるつもりはない。

    • もし作れたとしても事業化できるかわからないし、脱サラしてエンジニアに、、、みたいなキャリアパスはありえないと考えている。

    • ていうかITサービスを作りたいってなったときに、何を準備したらいいかすらわからない。

  • ITエンジニアに外注して作ってもらえないか?と考えたことがある。

    • 自分の構想がどの程度の難易度なのかわからないし、外注したときにどれくらいの相場になるのかがわからない。

    • Googleで検索するとアプリの開発の費用とか出てくるけど、レンジが広すぎて参考にならない。

本稿の目的

本稿では、上記の背景にあてはまるような社会人5~10年くらいで、自分の事業をもってみたいという人に向けて、必ず用意するべきものを経営者目線・エンジニア目線で説明していきます。
なお筆者は現在ITベンチャー役員をする傍ら、自身でITサービスを開発・保守する事業を行っています。どのような事項を準備する必要があるか、共通認識をもてばよりITサービスの開発はスムーズになると感じ、今回筆をとらせていただきました。

ITサービスを作る上で何が必要になるか(経営者目線)

  • サービスコンセプト資料・事業概要

  • 事業計画

経営者の目線から必要になるものは、どのようなサービスを誰に対して提供したいか、です。もちろん最初はかなりふわっとした資料にならざるを得ないと思いますが、それでも少しずつエンジニアと話しながら形にしていくことが重要です。
そしてエンジニア任せにせず、自分主導でどういったサービスや事業を作りたいか、どのような課題を解決したいかを考え、それを簡単でもいいので資料に落とすことができれば
筆者の経験では、一緒にランチを食べながら紙ナプキンの裏にどのようなサービスにしたいかの手書きメモをつくったところから着想を得たこともあり、究極的にはその程度で十分ですが、しっかりとサービスのコンセプトを「言語化」し「イメージ化」する努力をしてもらえるといいと思います。
合わせて事業計画も経営者としては用意した方がいいと考えています。なぜなら自身の考える事業をどう伸ばしていくか、どの程度の人にリーチしてどの程度の売上を考えているかを明確にしなければ、どの程度費用をかけるべきかがあいまいになってしまい、どの程度初期投資として行うのか、どの程度ランニングで費用を吸収できるのか、の意思決定ができないことになってしまいます。
かなり誤解されていることですが、簡単なアプリのようなものも含めITサービスの開発や運用、保守には想定以上にお金がかかります。それを実行するのか、どこかで止めるのか、そもそもやめておくのか、を決めることが経営者としては重要であり、事業計画(といってもどれくらい売上たいかくらいで問題ないので作りこむ必要はありません。)をしっかりもらえているとエンジニアとのコミュニケーションもスムーズになると思います。

ITサービスを作る上で何が必要になるか(エンジニア目線)

次はエンジニアの目線で必要になるものです。ITサービス開発においては巷に様々な資料がおちていますが、専門的な知見のない人にとっては非常にとっつきにくいものが多いなと感じています。ここでは、「これだけ用意しておけばエンジニアが動けるようになるよ」という最低限の要素を、できるだけ平易に解説していきます。

  • サービスコンセプト資料・事業概要

    • 筆者の経験上の話になってしまうのですが、これまで一緒に仕事をしてきたエンジニアは自分が面白いと思ったことに関しては積極的に意見を出してくれますが、そうではないもの、興味を引けないものに関しては非常にドライな対応を受けることが多かったです。エンジニアは自分が関わる仕事において、サービスのアイデアとして面白いと感じたり、技術的にチャレンジングで面白い部分があると感じたときに積極的に協力してくれる傾向があると感じています。そのためにも、自信のアイデアをアピールできるような資料作りは不可欠です。

  • 画面構成図・画面遷移図(アプリを作りたい場合)

    • パワポでも手書きでもいいので、アプリ上での画面がどんなイメージなのか、エンジニアと共有できるものを用意する必要があります。既存のwebサービスやスマホアプリにどんな画面があって、どんな遷移をするのかを調べて、それを参考に作ってみましょう。

  • コミュニケーションツール

    • エンジニアは開発する中で、「これってこれでいいんだっけ?」という疑問がたくさん出てきます。それに都度答えてあげる必要があります。

    • そのためにも、迅速なコミュニケーションがとれる環境が不可欠です。以下がおすすめです。

      • Slack: 無料版でも十分です。3ヶ月前までの情報をみたいなら課金する必要があります。

      • Notion: 実施した会議の議事録やアイデアメモなど、文書を共有するときにおすすめです。

      • Google Drive: スプレッドシートは不可欠です。

    • 上記のアカウントを作って、ワークスペースにエンジニアを招待し、コミュニケーションを取れるようにしてください。

    • Slackの使い方にもコツなどありますが、それは別の機会に。

    • メールはエンジニアはみんな嫌いなのでやめたほうがいいです。

  • ロードマップ

    • これが特に重要です。まず、この記事を読んでくれている皆さんの構想の100%をいきなり実現することはほぼ不可能だと考えてください。

      • 構想していたサービスへのニーズがそもそもそんなにないことが判明したため、サービスコンセプトを大幅に変更する必要が出てきた。

      • 機能を盛り込みすぎており、開発に時間がかかっていつまで経ってもリリースできない。

      • というような様々な予期せぬ要因により、当初の構想は時間を経るごとに変化していくものです。

    • そこで、ロードマップが必要です。

      • ロードマップは、サービスの機能のリリース計画です。

      • 全体構想のうち、バージョン0.1ではこの機能まで。バージョン0.2でこの機能を追加。そしてバージョン1.0で、構想していた機能のすべてをリリース、というように、機能を細分化して段階的にリリースしていきます。

        • たとえばバージョン0.2の段階でユーザーに使ってもらったところ、実はその先に計画している機能よりも別のニーズが掘りこせた、みたいなことがあって、都度ロードマップを修正しながら最終的なゴールに向かっていくことになります。

    • ロードマップはエンジニアに支払うお金を計算する上でも非常に重要です。

      • あまりにも機能を詰めすぎると、エンジニアとしても実装にどれくらいの時間がかかるのかが不透明になるため、見積もりの精度が悪化します。それにより、思ったよりも高い見積もり額がきて、これだと発注できない、、、という自体に陥ります。

  • クラウドサービスアカウント

    • AWS, Azure など、聞いたことがあるでしょうか。各種ベンダが提供しているクラウドサービスです。

    • これからITサービスを始めるにおいて、よっぽどの理由がない限りクラウドを利用してサービスを構築することを推奨します。

    • エンジニアがサービスを開発していくためには、作ったソースコードをうごかすインフラ環境が必要になります。そこでクラウドを利用します。

    • 各種クラウドサービスは、使った分だけ利用料をクレジットカードから引き落とされるという仕組みになっています。なので、まずあなたのアカウントを作り、クレジットカードの紐づけを行ってください。そこにエンジニアのアカウントを招待して、サービスを構築していってもらうことになります。

まとめ

  • エンジニア目線で5つの必須項目を挙げました。これでやっとスタートラインです。ここからエンジニアを交えて、どのようなシステム構成で作っていくか、そして各種開発項目にどれくらいの時間とお金がかかるのかを、細かく見積もっていくことになります。

  • 私のアカウントでは、上記の項目を用意するための個別の相談や、その後のエンジニアとの見積もり相談、そしてそもそもの事業計画に関する相談も受け付けています。もし興味があればDMから依頼してください。

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