犬の尻

『放課後』『REPLAY』というミニコミをつくっていました。青い鳥文庫やYA、ファンタ…

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『放課後』『REPLAY』というミニコミをつくっていました。青い鳥文庫やYA、ファンタジーやSFに青春小説が好きです。犬も好きです。

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    平成生まれの筆者が子ども時代に好きだった児童書を紹介していきます。

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「反復」で読む『リレキショ』(中村航試論1)

 大学時代にハマっていた中村航を再読して気づいたのだが、彼の(少なくとも初期の)作品のテーマは「反復」(「習慣」ともいいかえられる)だ。さらに彼の作品の大きな要素である「恋愛」にも、その「反復」は大いに関係する。  人が暮らすときに、そこには「反復」の「習慣」が生まれる。毎朝コーヒーを淹れて飲む、靴は右足から履く、昼食はうどんとカレーをローテーション……「習慣」がその人をつくっている、といってもよいだろう。言ってしまえば、日常とは「反復」の連続だ。朝が来て、夜になり、また朝

    • ペギー・スー 魔法の瞳をもつ少女

      • ペギー・スー 魔法の瞳をもつ少女/セルジュ・ブリュソロ

        【あらすじ】ペギー・スーは14歳。彼女には誰にもいえない秘密があった。それは〈見えざる者〉——人間を滅ぼそうと企む悪辣極まるお化けたち—を、ただひとり、見ることができるということ。その秘密の所為でペギーは周りの人間から疎まれ、彼女は家族とともに、各地を転々としている。そんななか、ある町で、ペギーは〈見えざる者〉たちの計画に巻き込まれ、対峙することになる。  『ハリー・ポッター』シリーズの大ブームをきっかけに、ヤングアダルト向けの海外ファンタジーが、日本で相次いで発売されるよ

        • SMAPのこと

          SMAPが解散を発表した。 アイドルというのは楽しくただキラキラ輝いて翳りなんて見せないで欲しいなんていうのは消費者の奢りかもしれない。 だけどこのSMAPの終幕の仕方はやるせない。もう中年の気配は隠しきれない5人だけれど、しかし5人集まって歌って踊るときの空気と輝きは紛れもないアイドルだったから、彼らがあんな風に重苦しく歯切れの悪いやり方で終わってしまうのは、悲しい。 91年にデビューした彼らは、平成生まれの僕らが物心ついたころには既に第一線のアイドルだった。ぎりぎり

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          ふしぎな木の実の料理法

          ふしぎな木の実の料理法

          ふしぎな木の実の料理法/岡田 淳

          【あらすじ】“この森でもなければ その森でもない あの森でもなければ どの森でもない”「こそあどの森」に住む住人たちの物語。主人公は無口であまり人と関わるのが好きではない少年・スキッパー。彼の同居人・バーバさんが旅先から寄越した手紙の謎をきっかけに、こそあどの森の住人たちと、スキッパーの交流がぎこちなくも始まっていく・・・・・・ われらが時代の児童文学の名手・岡田淳が手がける唯一のハイ・ファンタジーシリーズの第一巻。 「こそあどの森」という世界じたいが、大変に空想をくすぐ

          ふしぎな木の実の料理法/岡田 淳

          いちご(1)/倉橋耀子

          【あらすじ】アトピーに悩んでいる、小学5年生の少女、いちご。あるとき東京から、両親とともに、信州の山の中に引っ越すことになる。近くに店もなく、小学校までは歩いて一時間という環境に、いちごは戸惑う。さらに、転校した小学校になじめず、通えなくなってしまう。そんないちごが出会ったのが、隣に住む、光という少年。彼もまた不登校だったが、光、そして森の動物たちとの交流が、いちごを少しづつ変えてゆく。  都会から自然を求めて移り住む一家の話だなんて、すっかり忘れていた。いちごの両親がキャ

          いちご(1)/倉橋耀子

          パスワードは,ひ・み・つ

          パスワードは,ひ・み・つ

          パスワードは,ひ・み・つ/松原秀行

          【あらすじ】パソコン通信を使った学習塾の、交流のためのチャットルームで知り合った中学生5人が、塾長のレイとともに探偵団を結成。風浜町を舞台に、数々の事件を解決してゆく……。  現在まで続く長寿シリーズで、外伝などを入れると30冊を超える。物語の重要なガジェットであったインターネットの急激な進歩に合わせ、著者自ら手を入れた「new」版も刊行されているとか。よ、読みたい……。  (旧版を読み返してみて)当時は最新技術だった「パソコン通信」「チャット」やら何やらが、今やSkyp

          パスワードは,ひ・み・つ/松原秀行

          そして五人がいなくなる

          そして五人がいなくなる

          そして五人がいなくなる/はやみねかおる

          【あらすじ】中学1年生の三つ子・亜衣、真衣、美衣の家の隣にある古い洋館に、ある日、妙な男が引っ越してくる。黒スーツにサングラスで、いつもごろごろ本ばかり読んでいる社会不適合者なのだが、どうやら、彼は「名探偵」で……。  青い鳥文庫の看板シリーズの一つ。和泉元彌主演、三倉茉奈・佳奈が三つ子ならぬ双子を演じてテレビドラマ化もされた。1994年にシリーズ第1作となる本作が出版され、その後、2009年の『卒業〜開かずの扉を開けるとき〜』で全12作(+外伝2作)のシリーズが幕を閉じた

          そして五人がいなくなる/はやみねかおる

          平成児童書アーカイブス(はじめに)

          平成元年生まれの筆者が、子ども時代に出合った児童書(児童文学からヤングアダルトと呼ばれるものまで)をアーカイブする目的のテキストです。 そもそもは2013年から制作したミニコミ誌『REPLAY』がきっかけです。「平成生まれが子ども時代のカルチャーをリプレイする」というコンセプトの『REPLAY』は3号制作され、中断してしまいました。しかし、そのなかでも「本」に関して、再度やり直し、アーカイブしたいと個人的に考え、始めてみました。 「児童書」と題していますが、「子どもの本」

          平成児童書アーカイブス(はじめに)