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【symposium3】「クバへ/クバから」第3回座談会(シンポジウム)上演記録「『沖縄の風景』をめぐる7つの夜話」第7夜(12/27)「写真集制作に向けた公開編集会議の上演」(Part.10)

(Part.9はこちら

「行かなくてもいい」というフィクション

山本 一方で、「行かない」けれども同様のメタファーを立ち上げる、という話として……何らかのフィクションを作ろう、というとき、例えば「現実に沖縄に行くよりも、沖縄の戦争での出来事を考える上でより役立つようなフィクションを作りたい」などと言ったりしますよね。それを「フィクションの力」と呼んだりもする。そこでの「フィクションの力」とは、現実にある場所に行き、立ち会う、というのとは別のかたちで、何らかを真に受けることを可能にするものとしてあると思います。

 今回のプロジェクトにおいては、こうした、メタファーないしはフィクションの問題として、沖縄に行く/行った、あるいは行かない/行かなかった、それぞれで、観客/読者/自身に向けての「真に受けさせ方」がありえるでしょう。

 ぼくは先程、写真篇はメモ的/仮設的なものだとした上で、それが上演でも映画でもない何を目的としてその先に置くのか、という問いを出しましたが、ひとつの答えとしては、こうした、メタファーやフィクションの立ち上げ方(の複数)の問題としてやはりあるのだろう、と。例えばいまこうして議論されているようなことだったり、あるいは各々が沖縄に行ったり行かなかったりしながら感じたことだったりを、観客/読者/自身に真に受けさせるようなメタファーやフィクション――それを、写真とテキストの編集によってどのように強力に、複数混在させつつ立ち上げられるのか、というところが、大切なポイントとしてあるはずだという気がしています。

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写真家・舞台作家の三野新と、いぬのせなか座による、沖縄の風景のイメージをモチーフとした写真集を共同制作するプロジェクト「クバへ/クバから」…

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