【MAZDA】魂動(こどう)デザインを振り返る
前回のJapan Mobility Show の「MAZDA ICONIC SP」の記事を見ていただいた方、ありがとうございました。
今回は、私が愛してやまないマツダのクルマづくりをデザイン面から語ろうと思います。(偉そうですが‥w)
完全に私の自己満記事ですが、どうぞ最後までお付き合いください。
「MAZDA ICONIC SP」の記事はこちら↓
◯魂動(こどう)デザインとは?
魂動デザインとは、2010年からマツダが採用するデザイン思想です。
マツダのデザイン本部長 前田育男氏(当時)はこのようにおっしゃっています↓
クルマに生命感を持たせるというのが、魂動デザインの一つの目標でもあります。
魂動デザインを最初に採用した市販車ってご存知でしょうか?このクルマです↓
初代CX-5です。今でも結構街で見かけますよね。
このクルマが初公開されたのは2011年でした。当時自分もこの車のデザインに衝撃をうけました。
日本車離れしたフロントマスクは素直にカッコいいと感じました。14年経って見てみると今でもかっこいいと思う反面、若干古さも感じます。
同時に、魂動デザインは進化している事を実感させられます。
今日まで続くデザインテーマ「魂動」は、2010年に発表されたコンセプトカー「靭(SHINARI)」が原点になっています。
2024年に公開されたコンセプトカーといっても通用しそうですね。この14年、いかに一貫したデザイン思想でクルマの開発をしているか分かります。
◯マツダデザインの分岐点
さて、ここまで魂動デザインとは何か?そして魂動デザインの原点をお話ししました。ここからは、2010年以前のデザインについても少し触れたいと思います。マツダは魂動デザインを採用するまで、コンセプトカー「流(NAGARE)」の系統を引く「NAGARE」デザインを採用していました。
NAGAREデザインは風や水の流れを表現するデザインで、2代目マツダ6(アテンザ)などに採用されました。
私は個人的にこのデザインも好きです。そして魂動デザインと比べると爽やかな印象に感じます。実家のクルマも、このデザインを採用したデミオの後期モデルです。
2012年に公開された3代目マツダ6(アテンザ)は当初、NAGAREデザインを採用して開発が進められていたと言われています。しかし実際には魂動デザインを採用して世に送り出されました。
もし魂動デザインが誕生していなければ、現在のマツダ車はNAGAREデザインの系統になっていたかもしれません。
◯魂動デザインの道を選んだマツダ
「NAGARE」から「魂動」へとデザインの路線変更をしたマツダはCX-5を発売。CX-5は大ヒットとなり、アテンザやデミオなど、その後発売するすべてのクルマに魂動デザインを採用し世に送り出されました。
そして、CX-5以降は室内のデザインも大きく見直されました。当時日本車にはないような上質な内装と質感の高さだったと思います。個人的には、その後各社の内装の質感が上がったのは、マツダの影響も大きかったのではないかと思っています。
マツダは毎年のように商品改良してアップグレードするとともに、魂動デザインに磨きがかけられていきました。マツダ=質感が高いと言った印象を持つ人もこの頃から増えたように思います。
◯魂動デザインは2代目へ
一通りのモデルが魂動デザインに置き換わり、マツダといえば「魂動デザイン」というブランドイメージが定着したと思います。
そして魂動デザインは2代目へとさらに進化を続けます。
2018年、初公開されたマツダ3を見た時、再び衝撃を受けました。このクルマがコンセプトカーではなく市販車だと言うからです。そして2代目魂動デザイン、いわゆる次世代商品群では「引き算の美学」をテーマにしていくことが発表されました。
このマツダ3を見てまず驚いたのが、サイドグリルがないこと。そしてキャラクターラインがなく側面は面になっていることです。このようなデザインはコンセプトカーでは実現できても、市販車は簡単ではないそうです。このレベルで量産するには高い技術が求められるからです。
マツダはデザイン力だけでなく技術力も高いメーカーであることを証明しました。
内装の質感もさらに上がり、芸術品の域に達していると感じます。マツダコネクトもより進化した第2世代のものになりました。
その後、CX-30、MX-30、CX-60など、次世代商品群が次々と発売されます。
すみません。急に素人臭い写真が出てきましたが、実は私の元愛車MX-30の写真でございます。
色々な事情で今は手放していますがいいクルマでした。今も元気かな。。
MX-30は魂動デザインの中で異端児だと思います。
魂動デザインの象徴である鋭い目と大きなグリルがなく、優しい印象の目と控えめなグリルです。しかし、生き物のような生命感を感じませんか?私はこのクルマからもしっかり魂動デザインと「引き算の美学」を感じます。
MX-30はガソリンモデルの他ピュアEVモデル、そしてロータリーを積んだR-EVモデルが存在します。今のマツダでは個性的なクルマです。伝統的にチャレンジングなモデルにつけるMXの名前を持っています。
また、ラージ商品群と呼ばれる一回り大きなモデルが現在展開中です。日本ではCX-60のみ販売されています。CX-60は魂動デザインの中ではさらにテイストを変えてきたモデルだと思います。
さらに今年1月、北米向けのCX-70(日本での発売予定はない)を発表。今年春に発売予定だそうです。
北米仕様ということもあってか、ワイルドな印象を受けます。大きなサイドグリルがついている点も特徴的です。マツダにとってこのクルマにどんなキャラクターを与えたいのかわかると思います。
ラージ商品群はCX-60、70、80、90が予定されていて、残すところ日本向けの80だけです。
このCX-80がどのような姿で発表されるのか、また今後の魂動デザインの更なる進化に注目したいと思います。
◯まとめ
今回はマツダの魂動デザインについて長々と語らせていただきました。
最近のマツダ車について「全部同じでつまらない」といった声を耳にします。しかし、マツダは自動車メーカーの中では、トヨタのように大きな企業ではありません。多くはない車種のブランド力を、いかにして高めて売るかということを考えれば、デザインを統一して「魂動」というブランドで売り込むスタイルは正しいと思います。
ただ、最後に愛するマツダにムチを入れるならば、次世代商品群になってからのマツダは、若干ユーザーを置き去りにしているのではないかなと思います。
特にラージ商品群のサイドグリルなどは「引き算の美学」とは逆行していると感じます。キャラクターを強調するためのデザインであることは理解できるのですが、チグハグ感が否めません。
その点で最近のマツダは少し迷走しているように思えます。もっと言うと魂動デザインや経営方針に迷いが見えます。理論や哲学にこだわるあまり、本来作りたいクルマを作れなくなり、ユーザーのニーズに答えられていないのではないかと心配しています。開発者がいなければクルマは生まれませんが、ユーザーが買ってくれなければメーカーが生き延びることはできません。この私の記事のように、ユーザーを置いていく商品ではなく、ユーザーが求める商品作りもまた、大切なのではないかなと思います。
最後に、今回引用という形ではありますが、多くの写真をマツダ公式サイトから使用されていただきました。ありがとうございました。
私はこれからもマツダを愛し、これからのマツダを見届けていきたいと思います。もう少し余裕ができたら、またマツダ車を購入して乗りたいと思います。最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
コンセプトカー「靭(SHINARI)」とCX-60以外の画像についてはこちらから引用しております。↓
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