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私の趣味を変えた猫

私は時々ペットショップに行くのが趣味でした。

と言ってもペットを飼うつもりは無いのです。理由はもうペットは既に家にいるからです。

それでも可愛い子犬や子猫を見るのはやめられませんでした。自分でもどうしてやめられないのか、よくわからなかったのです。

そんな私の趣味が、ある日趣味ではなくなってしまうことになりました。


一匹の可哀想な猫、ロシアンブルーを見てしまったのが発端です。その子が狭いケージの中にながく入れられていたのはすぐにわかりました。かなり成長していて、いつ諦められてもおかしくない大きさでした。しかも目には嫌な目やにがペッタリとついていて、手入れもされておらず、毛はネットりとベタついていて、鼻からは黄色い鼻水がたれていました。

しばらくはそのケージの前から離れられませんでした。特に可愛いわけでもないその子猫というには少し育ち過ぎた猫を見ずにはいられませんでした。

結局その日はそれで家に帰りました。だって家にはすでにペットがいるんだしなあと。

それでも私はこりもせず、あの子がまだいるのか確かめたくていつものペットショップに行ってしまいました。

あの子はまだいました。売れるわけがないので、いなければ諦められたと思うところでした。誰でも健康な子猫が欲しいはずです。まともな人なら猫の飼い方などもみていて、鼻水が出ている子、ましてや緑色の鼻水(この時にはさらに悪くなっていて黄色から緑色に変わっていた)を垂らしている子猫など、飼いたくないはずだと思いました。

私は少し迷ったのですが、その迷いよりも先に行動にでていました。そうです店員さんを呼んでいたのです。家族に相談もなく無謀にも賭けにでたのです。

「あのー。この子目やにも酷いし、鼻水も緑色でこんなに大きくなってしまっているし、売れないでしょう?3万円なら買います」

私は普段からこんなにだいたんではありません。10万円もする猫を3万円に値切ったのです。これは賭けです。この猫を救えるならと思ったのなら10万円払えばいいじゃないと言われるかもしれませんが、そこはこんな酷いペットショップを儲けさせるのもしゃくだったからです。決してケチったわけではありません。だからと言ってタダでともいかないので私の中で折り合いがついたのが3万円だったのです。

店員さんは慌てた表情で「少々お持ち下さい」と言って奥に消えて行った。しばらくして店長さんがやってきて「それでけっこうです」と言ってきたのには私が驚いてしまいました。何か一言くらいは文句を言われるのじゃないかと身構えていたからです。

こうして家族の許可もなく猫を一匹増やしてしまったのですが、帰ってから父がベッドの上でこの子猫を背中を下にして落としたところ、普通の猫ならヒラリとかえり足で立つはずが、この子猫は背中から落ちてしまいました。

あまりにながくケージの中に入れられていたせいで、猫の習性が消えてしまっていたのです。この時父は驚く様子もなくやはりな、という感じでその場から去りましたが、私は唖然としました。

数ヶ月後もう一度ためしてみたところ、見事足から着地しました。この時の私はこの子を家に連れて来て良かったと思いました。

今はペットショップ反対派ですが、日本からペットショップが無くなるのはいつになるのかわかりません。でも私はそれ以降ペットショップには行っていません。

値切ったからはずかしいのではなく、ペットショップ反対派になったからです。ペットはブリーダーさんから譲ってもらうか、保護犬や保護猫がいいと思っています。


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