男はいつも待たせるだけで、女はいつも待ちくたびれてって歌があったな。でもそうかな?と違和感を感じる。今どき女からバンバン告白する時代だよね。まあこの歌は古いからかもしれないけど。

ここにも自分からガンガン告る女、葵がいる。告られる相手は得意先の営業マン渡辺春樹といい、この二人は普段からよく話す仲だ。勿論会議や仕事の話も多いけど、それ以外でもプライベートな話を沢山している。

葵は25歳で彼氏居ない歴3年。少し焦り始めているところに渡辺春樹が浮上した。普段から仲良いし、色んな話ができるスマートな男だからかもしれない。ある日葵は仕事終わりに食事に誘ってみた。春樹は別に用があったわけではなかったので、素直にOKの返事をした。

お店は春樹が決めてくれた。さり気ない男性としてのエスコートに葵は好感を持った。

春樹は葵のことは話のわかる仕事関係者と捉えていた。一方の葵はここの所メキメキと腕を上げている春樹を意識し始めていた。

食事中話は弾んだ。ワインの力も借りていい感じになった。さあどうする葵。2件目に誘えるのか。二件目を提案した葵に春樹はまたもや軽くOKを出した。意識していない分ノリは軽い。

葵は次の店で告白するつもりだった。ついにその時だと思った葵は春樹に告白する。
「私と付き合ってもらえませんか?」
ところが春樹は何かこれからすることに付き合うのだと勘違いしてしまい、
「どんなことに、お付き合いすれば良いのでしょうか?」

呆れたはてた葵は
「私と真剣にお付き合いしていただきたいのですが」と言い直した。驚いたのは春樹だった。まさか今日告白されるなんて考えていなかったので飛び上がりそうになるほど、驚いたのだ。

「僕には付き合っている人がいまして、本当に申し訳ない」と居心地悪そうな春樹。
そうとは知らずいい感じだと思っていた葵は顔から火が出るんじゃないかと言うくらい恥ずかしくなりしばらくの間くちごもんでしまったのだが、やっとの思いで声にすることができた。

「いえ、そうだったんですね。私一人で盛り上がっちゃってごめんなさい」

「そんな、勘違いさせた僕も悪いんです。ごめんなさい」

とまあこんなぐあいに葵の恋は終わってしまったが、葵の心は少し爽快でもあり、また次の人探そうとも思っているのだから強い。

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