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2020年映画ZAKKIちょ~ 2本目 『エクストリーム・ジョブ』

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2019年製作/上映時間:111分/PG12/韓国
原題:Extreme Job
劇場公開日:2020年1月3日
観賞劇場および観了日:
TOHOシネマズ錦糸町オリナス 2020年1月3日 (1回目)
シネマート新宿 2020年1月12日 (2回目)


まずは、本作1回目を観終わった直後の筆者の表情をご覧ください。

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2020年公開の新作1本目として三が日中に観た本作。
劇場を出て、思わずリキんだ破顔のガッツポーズを出してしまったほど、

超ウルトラ爆笑スーパーファンタスティックな大大大傑作キタァァァ!!!
今のところ2020年、いやさ、20年代ぶっちぎりベスト1映画!!

公開日が1月3日ということもあり、正月三が日の初笑い映画として、
これほどふさわしい作品あるだろうか?(いや無い)
昨年、韓国で1,600万人動員(ちなみに2019年時点の韓国の人口は約5,200万人、つまり韓国全体で約3人に1人が観たという計算に!)という、気が狂ったほどのメガヒットを記録したのも納得!
韓国は映画リテラシーが高い国と認識してるが、如実に、本作の尋常じゃなく完成されたクオリティがこの動員数として現れている。

ちなみに、本作2回目を観終わった筆者の表情もご覧ください。

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作品のキャラクターや物語、世界観を知ったうえでの2回目の鑑賞後は、
ノリノリうきうきハイテンションな多幸感に包まれた。

そんな、映画という媒体でかかる、理想のエンターテインメント作品として、一分の隙も無く完成された本作の「良かった点」と「超良かった点」を挙げて(揚げて)いきたいと思います。

え?
「良くなかった点」なんかひとつも無いよ?


○良かった点

1.大衆娯楽映画として不足無しの練られた“脚本”

あらすじとしては、5人の麻薬潜入捜査チームが、麻薬を牛耳っている組織のビルを張り込む為に、真向かいのフライドチキン屋を買い取って営業を始めたところ、売り始めたカルビたれ漬けチキンが評判になり、行列ができるほど大繁盛してしまう、という話。

このあらすじを読んだだけだと、TVドラマや漫画とかでよくありそうな話だし、大きく関心を引くものでも無いかもしれない。

しかしこのあらすじを、キレのよい会話劇と、シーンごとにハマったギャグと、ダイナミックでカタルシス爆発のバトルアクションの「要素の絶妙な配置によるバランス感」、余計な説明台詞も、無駄な過剰演出も無いノリノリのテンポの良さで、爆笑に次ぐ爆笑!気づいたら111分経ってたというくらい、「巧みな話運びのグルーヴ感」でキッチリと料理されて、極上のメニューとして観客に提示してきているのである。

2.個性爆発の“キャスト”

どんなに脚本が良くても、キャストたちの演技が良くなければ、映画は成立しない。
メインを張って活躍する、5人の麻薬潜入捜査チームの、ハッキリ分かれた個性の演技は、キャラクターへの感情移入が容易に出来るほどで、観終わってもこの5人を思い出してしまい、また会いたくなるような人間臭さが現れていた。
その中でも、主人公と言える、リュ・スンリョン扮する班長は、一見スターっぽくない、割と地味目の風貌だし、真面目だけが取り柄のような男だけど、喜怒哀楽の感情すべてを曝け出したキャストの演技と、巧みな話運びのグルーヴ感も相まって、観終わった後は「こんな人と一緒に仕事したい!」と思わせてしまうほど。

また、敵である麻薬組織のボス役シン・ハギュンは、本作のキャストの中では、一番知名度があり、実力あるスター俳優の安定感のある演技による悪役っぷりが、作品の質をワンランク上げていた。
また、このボスの部下である、むちゃくちゃキレの鋭い動きで戦闘力が高い、スーツで身を固めた女ヒットマンのおかげで、格闘バトルアクションものとしても、見応えバツグンだった。

3.思わずヨダレの出そうな美味しそうな“フライドチキン”描写

本作は、刑事と麻薬組織の対決を描いた犯罪撲滅ものでありながら、
フライドチキン屋繁盛記としても成立している。

韓国ではフライドチキンは、一般的によく食べられている国民食とも呼べるらしく、韓国中にフライドチキン屋が乱立して競争が激しい状況だそう。

そうした環境下で描かれる本作におけるフライドチキンにまつわる描写の数々は、観ていて、非常にお腹が空いてしまう。
チキンを包丁で切り、油で揚げる一連の流れを絶妙なカット割りで見せるシーンは、まるでテレビのCMでそのまま使えるんじゃないかというくらい、演出面でも力が入った綺麗な見せ方。
目でも耳でも楽しませてくれる。
特にチキンを油で揚げる音は、音響スタッフが相当気を遣って良い音を聞かせようとしてきているのが伝わってくる。

店が繁盛する要因となる、カルビのたれを漬け込んだ「水原チキン」は、実際に韓国では人気メニューらしいが、本作ではチーム内のひとりが発明したメニューとして扱われている。
日本でも、東京の新大久保などのコリアンタウンや、全国の韓国料理店でなら食べられるところもあるそうなので、本作を観て気になった人はチェック。

それにつけても、観終わった後に、ここまでチキンが食べたくなる映画、初めてかもしれない。
かつて「スーパーサイズ・ミー」という30日間、マクドナルドのメニューを食べ続けたらどうなるのかという実験型ドキュメンタリー映画を観に行った後に、いても立ってもいられず、すぐにマクドナルド食べに行ってしまったが、本作観た後は、とにかくパリッパリでジューシーなフライドチキンが食べたくなる!その場しのぎでファミマやケンタッキーのチキンでもいいけど、やっぱり劇中の味付けされたチキンを出してくれる韓国料理屋に行きたくなる。

◎超良かった点

前述の3つの点が合わさっているのを観ていて、本作に対する評価はすでに「傑作」判定であったものの、そこから更に個人的なツボに刺さり、本作をファッキンスペシャルなものに格上げしていた点は、クライマックスの大乱闘シーンからラストまでである。
本作は格闘バトルアクションものとしても見応えありと述べたが、本格的に描かれるのは、クライマックスの大乱闘のみである。

それまで、行列のできるチキン屋さんとしてのお店の切り盛りや、ドジ踏みまくりながらも何とか麻薬組織の尻尾を掴もうとする刑事としての姿を見せられて感情移入しまくりの5人の正体が、同僚の刑事の台詞で明かされていくのだが、そのシーンに入る前の、ノリの良いブラスの音が気持ちいいメインテーマ曲と共に、5人のキャストが横並びになるカット(下画像)の演出にはマジで全身に鳥肌が立った!
チームものとしてのカッコよさがこのカットに集約されていた。

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チーム内の紅一点の女刑事vs麻薬組織の女ヒットマンとの本格格闘バトルも含めた、チームでの大乱闘の後、そんなに喧嘩が強そうに見えない班長と麻薬組織のボス両者の拳がぶつかり合う熱いタイマン勝負も最後の盛り上げどころとして良かった。

その後、大乱闘が終わり、現場には応援の警察たちが駆けつける中で、班長を含むチーム4人が現場でソファに座るシーン、ここがなんと、筆者が中学生の頃から好きなフェイバリット作品「男たちの挽歌2」のラストシーンのオマージュ!しかもかかる曲が、「男たちの挽歌1」のラストでエモーショナルにかかるレスリー・チャンによる名曲「當年情」。
このシーンを初めて観た時、一瞬、唖然としながらも涙を出しながら思わず足もとジタバタさせるほど大爆笑!

その後、蛇足なシーンも無く、スパッと終わる潔さもホントに良い…。
本当に観てて楽しかったのに、最後にもの凄く欲しかったお土産を貰ったような感覚で、すべてが完ぺきだった。
もう大げさでもなんでもなく、最高以外の言葉が見つからないとは
本当にこの事である。

結論

”笑えてスカッとする映画が観たい!”という人に、全力1,000%でオススメしたい!!!!!

観終わって、「あのキャストがもっと弾けてたら…」とか「もうちょっとあのシーンが短かったら…」とかの不満も無く、完全に出し惜しみの無い、まさしく本作のタイトルである「エクストリーム・ジョブ(極限職業)」っぷりを本作のスタッフ・キャストによって見せつけられた。

これから筆者が死ぬまで観続けるであろう、韓国映画史のクラシックとなるエンターテインメント作品がまたひとつ、誕生した。

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以上。

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