I+私=one

どこまで行っても一人で進み続けて音楽も小説も漫画も我流に作り続けてきた。本当はバンドやコンビの芸人や漫画家タッグなんかをうらやましげに横目に見ている。しかし生来の意地っ張りで人といると緊張しまくる性格が邪魔をして今後もきっと一人で進む運命なんだろうと思ってしまう。誰かと何かを共にできるのは誰かと見た景色に魔法が潜んでいてその効果を確かめられた人だけなんじゃないかと感じたり。電光石火で時間は過ぎるというのに。たまには何かを誰かに求めたくはなる。でも恐ろしいくらいの長さの時間を孤独に過ごしてしまったせいか素直に手を挙げることすらできなくなってしまった。

仲間で一致団結して敵を倒すアニメや友情勝利的な某メジャー出版社に酔った勢いで持ち込みの電話をかけて玉砕したからなんだろうか?いざ独学で積み上げてきたものを否定され、一から再出発しようとしてる人間には世の中のだいたいの人たちがまぶしく見えてしかたがない。そして自分のちっぽけさに押しつぶされそうになる。投げ出しそうな中であてもなく引いた線と線、点と点を結んで紡いだ何かをまるごとなかったことにされたような感覚が眠れぬ夜に変わっていく。

結果を出せなければ大衆の記憶に足跡を残すことすらできずに無名に「何もなかったこと」だけが残る。しかしそれをそのまま認めるのは脳のどこかがむなしいと感じてあがきたくはなる。そのあがきすらも意味のないものとして終わる宿命でも全力で走りたくなってしまうのだ。数か月前は嬉々としてペンを握っていたのに半分以上燃え尽きた目で原稿用紙を眺めている。どうにかからっぽになった情熱を振り絞ろうとしている。10年前のあの日に形をしっかり残したミュージシャンの言葉や生き方に一歩でも近づきたかった。何も持たない人間だからなおさら。タロットカードの愚者のように今日も愚鈍に進むしかない。うすのろと言われても。

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