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遺族年金の改正で何がどうなる!?

皆さんこんにちわん!
暑い日が続きますが、お元気でお過ごしでしょうか。

さて、2024年7月24日の日経新聞で、政府が遺族年金制度の大幅な改悪を検討していることが取り上げられました。

このニュースがSNSでも大きな話題となっています。
というのも、この改正がこのまま進められたら多くの国民、特に女性の人生に大きな影響を及ぼすからです。
イヌ先生もこのニュースは軽く見過ごしてはいけないと思いました。
いったい何が問題で、どういう風に皆さんの生活に関わってくるかを解説したいと思います。

そもそも遺族年金制度って?

まず、話題となっている遺族年金制度について解説していきますね。
「年金」と聞くと、まっさきに思い浮かぶのは65歳以降に貰える「老齢年金」だと思いますが、実は日本の公的年金制度には老齢年金のほかに「遺族年金」と「障害年金」という制度があります。

遺族年金制度は、かんたんに言うと「一家の稼ぎ頭が亡くなってしまった場合に、残された子供や配偶者に国から一定の年金が給付される」制度です。

現行の制度では、加入者が亡くなった時点で18歳以下のお子さんがいる場合にもらえる「遺族基礎年金」と、会社員や公務員の方が加入している「遺族厚生年金」の2階建てになっています。
自営業・フリーランスの場合は「遺族基礎年金」のみ、会社員・公務員の場合は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の両方がもらえる仕組みです。
この辺りは老齢年金と似たような感じですね。

実際にどれくらい年金をもらえるのかは、以下のようになります。

夫が亡くなった場合

オリックス生命保険HPより引用

妻が亡くなった場合

オリックス生命保険HPより引用

注目してほしいのが、「子どものいない」ケースです。
配偶者が自営業の場合、夫も妻も支給はありませんが、配偶者が会社員の場合は男女で違いがあります。
子どものいない妻は遺族厚生年金をもらう事ができますが、子どものいない夫は支給されないとあります。

これは、男性が会社員で女性が専業主婦というケースが多数派だった時代に設計された制度だからです。夫に先立たれた妻が再婚せず働いて生きていくのは大変だから、きちんとした年金を支給するけど、男性は働けるからいらないよね、という意図なのでしょう。

男女格差を是正…!?

実はイヌ先生も、現行の遺族年金制度は共働きが多数派の今の世の中の実情に沿っておらず、男性の経済的リスクが大きくなりがちなので、是正すべきと事あるごとに口にしていました。
例えばお客さんから生命保険の相談を受ける際に、公的保険の試算は欠かせません。必要な保障額を計算しながら、この遺族年金制度の説明をすると、多くのお客さんは男性の遺族年金の支給が少ないことに驚かれます。

「共働きで女性の収入も合算してライフプランを立てていくのが珍しくない世の中なのに、遺族年金制度はまだ古いままなんですよね。早く改正されるといいんですが…」と常々、お客さんと話していました。

イヌ先生が考えていた改正は、「会社員の妻が亡くなった場合に、子どものいない夫は何ももらえないというのではなく、夫にも一定の遺族厚生年金が受給されるべき」という方向性でした。
ところが!

今回、「遺族年金の男女差を是正する」というお題目で検討されているのは、なんと「女性が受け取れる遺族厚生年金を大幅に減らす」ことで男女差を是正するという、「そこに正義はあるのか!?」と言いたくなるようなバッドな方向性でした。

具体的には「会社員などが亡くなった時に現役世代となる20〜50代の配偶者が受け取る遺族厚生年金について、男女とも5年間の有期給付にする」というものです。
男性に5年間の給付を与えるけど、そのかわりに女性の給付期間も大幅短縮して5年にするよ、ということですね。

確かに、一見すると男女差のない是正です。しかし!
就労のハードルや平均年収、子供を産んでからの仕事への復帰や産休・育休の取りやすさなどに多大な男女差がある中で、年金制度だけ実情を無視して男女平等にするのはどうなんでしょう。

少子高齢化や国際社会での競争力の低下、経済の低迷といった背景があり、財源をカットしたい政府の意向は理解できますが、ここをカットするのはあまりにも国民をないがしろにしているのではと怒りのイヌ先生です。

ここで注意していただきたいのが、「子どものいない」という表現についてです。
言葉通りの意味ではなく、ここでいう「子ども」とは「18歳到達年度の末日までの子ども、または20歳未満で1級・2級の障害状態にある子ども」を意味します。
つまり、高校卒業した子どもがいる場合も「子どものいない」妻(夫)と見なされるわけですね。

子育てを終えてから5年だけは遺族厚生年金の支給があるけど、あとは老齢年金をもらえるようになるまで何もないよ、という制度になってしまったとしたら。
子育てのために、あるいは病気やケガ、配偶者の仕事の事情(転勤が多いなど)で就業することができなかった女性が、40代なかばや50代を過ぎてから十分な生計を立てられる安定した仕事に再就職できるでしょうか?

本来、それが可能である社会になるのが理想だとイヌ先生は思います。
ですが、現状はとても理想に追いついていません。

出典:厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査の概況 第2表

厚生労働省の調査によると、全ての年齢層で女性の平均賃金のほうが低く、最も差が大きい50代前半では月あたり13万4000円もの開きがあります。
収入面でこれだけの格差があるのに、セイフティーネットである年金制度において現実を無視した男女平等を実現するのはナンセンス…!

慎重な議論を今こそ

今回の改正案については、「現在受給している人が不利益を被らないよう十分な経過措置を置く。来年の通常国会に提出する公的年金制度の改正法案に盛り込むことを目指す」とのこと。
多くの国民、特に女性の人生を大きく変えてしまう改正内容なのに、なんだかとってもスピーディーに検討が進められている印象があります。
選択制夫婦別姓の導入や、女性のヘルスケアについての法改正は「慎重に議論していきたい」という姿勢でなかなか実現化に至らないのに……

今こそ慎重な検討を重ねてほしいと強く思います。もちろん、私たち国民の側も、こういったトピックスに強く関心を持ち、適切な方法で意見を表明していかなくてはいけないですね。

年金制度はふだん健康で元気に過ごしているとあまり馴染みがない制度ですが、いざという時に私たちの生活を支えてくれる命綱のような存在です。
正しく理解して、年金だけでは足りない部分はNISAなどでの資産形成や、民間の保険でカバーしていけると怖いモノなしです\(`•ㅅ•´)ノ

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それでは、また次の投稿でお会いしましょう!

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