【おやすみ鯨の日記】Funny Bunny

2023年2月6日
 特別になりたいと思っていた中学の時、受験に頑張るみんなに応援の言葉を言い合おうという企画があった。頑張ろう!とか未来のために!とか、思い思いの言葉を書くみんなの中でわたしは、the pillowsのFunny Bunnyのサビを書いた。完全にその頃大好きだった漫画、SKET DANCEの影響をモロ受けていただけなのだが。しかし、小学生から音楽を聞くときはまず歌詞に注目するような子だったので、純粋にその歌詞が好きだったのもある。今ならあの頃の純粋さはないので、この漫画、JASRACに許可取ったんだな…大変だな…という邪念が入ってしまい、純な感動はできなかったかもしれない。
 サビを書いた紙が張り出された後日、わたしはその言葉たちの前に立っていた。純粋にみんなは何書いてんだろうなと気になっていたし、公立受験ではなかったので、受験に余裕をこいていたのもある。てか、全然受験に本気出してないのにFunny Bunnyの歌詞引用してるのなんか恥ずかしくなってきた…。まあそんな今の感情はさておき、掲示を見ていたわたしの横にほんの少ししか話したことない先生が立った。ほんの少ししか話したことがないのでこちらから話しかけることをしなかったのだが、突然先生は、「珍しい音楽、いい言葉を知ってるね」と、言ってくれた。

 わたしはたったこれだけのことで、今でもその先生を思い出す。それは、たくさんの言葉の中で、わたしを見つけてくれたからだと思う。わたしの名前を知っていて、名前と顔が合致していたこと。その掲示の中から、当時のわたしの中の、めいっぱいのかっこつけの応援言葉に対して、いい言葉を知っていると言ってくれたこと。まだ若いわたしにとって、その先生のたったそれだけの言葉はわたしの自尊心を埋めるのに十分だった。
 わたしは、そういうたわいない言葉で、簡単に人は幸せになれると知っている。だから、もしかしたらわたしも誰かにそういう言葉をあげられていて、誰かが当時のわたしのような気持ちを持てていたら嬉しいと、そんな人になりたいと思うのだ。

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