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MBAの何が仕事に役に立っているの?

受験を考えている人からも必ず聞かれるし、アルムナイ同士でもこの話は盛り上がる。確かに、膨大なお金と時間をかけるわけだし、他の学位よりもビジネス=仕事に直結しているから、気になるポイントですね。

でも、いくらMBAがビジネス分野に近いって言っても、あくまで修士号の一つ、勉強や研究の類には変わりなくて、いきなりいろんな分野の専門のビジネス実務ができるようになる魔法の杖みたいなものではない。

もちろん、スタートアップとかに入って、マーケの授業で触れたいろんなフレームワークを試せるとか、BizDevを実務として行えて新規事業開発とか、直接的に授業内容等が応用できる場合も多いとは思う。ただ、例えば組織だった大企業に就職するとか、専門特化している領域の仕事をするとかだと、やっぱり私は仕事の経験以上にダイレクトに仕事に役立つ経験はないと思う。(MBAに限らず)

じゃぁMBAって意味ないの?仕事で役立たないの?
まったく意味ない、仕事に生かせないとは思わない。むしろ、MBAで身に付く素養、スキル、感性は、数値化し難い、見えにくい何かだと思っている。見えにくい何かに数年、数千万(ちょっと盛ってるかも)もかけるの?費用対価悪くない?って思う人もいると思う。それに対しては、前に書いた記事も見てもらいたいと思う。(MBAってぶっちゃけ元取れるんですか?)

じゃぁ見えにくいけれど仕事に役に立つ何かって何?
陳腐な言い方かもしれないけど、ソフトスキル=対人能力ってのじゃないのかな。人種、バックグラウンド、年齢とかに関わらず、またどんな状況の人たちにもそこそこ対応できる力、巻き込んで一緒に仕事していく力、アウトプットを出していく力。プラスアルファで言うと、その力を母国語でない英語でも発揮できるっていう自信がMBA修了後に速攻生かせることだと思う。

もしも仕事において、同僚やクライアント等関わる人たちが日本人だけで、日本市場だけを見ている場合には必要ない力かもしれないけれど、そういう人は少なくとも海外MBA行く必要はないはずなので今回の記事のスコープ外。
でもまぁ、同じ日本人でも、個性は人それぞれで、自分と違う人を受け入れて一緒に仕事をしていく、もしくはさせていく時には、MBAで得られうる対人能力は無駄ではないかもしれないのかな。

なんで対人能力を得られるのか。
スクールによって違うのかもしれないけれど、少なくとも私が行っていたスクールでは、国籍、ミックスカルチャー、性的嗜好、キャリアバックグラウンド、年齢、色々な要素がバラつくように学生が選ばれ、そしてひたすらチームワークでの課題を与えられ続け、さらにそのチームも何パターンも経験し、自分らでもケースコンペとかに参加するために自発的にもチームを作り、チームワーク、チームプレーの権化となるべく切磋琢磨。育ってきた環境が違うから好き嫌いは否めない(だっけ?)なんて言ってられないんです。育ってきた全てが違う同士で結果をなんとか仕上げて出さなくちゃいけないんです。英語が母国語の人もいれば、そうでない人もいる。感情を曝け出す人もいれば、意見を押し出せない人もいる。要領よくやりたい人もいれば、みんなで仲良くやりたい人もいる。特に初めの頃はお互いに「ていうかアンタ誰やねん」状態なのに、みんなやる気がありすぎて「俺が仕切ったる!!」「いや私の方が経験あるからちょっと黙っとき!!」みたいな感じで空回ったりチームの雰囲気が悪くなったり。そういうしっちゃかめっちゃかを何回も何回も経験する。みんなそれぞれ、「あれ、もっとうまくいく方法があるはず、、、」と考え出す。そしてそれを各自そのチームや、別のチームでその考えを試していく。(全員ではないかもしれないけれど、基本的に学ぶ能力の高い人たちが集まっているので、自然とPDCAを回していく)

そして学業面以外で遊んだりする時も、世界中のいろんな考え方や行動様式、そういうものに出会い、戸惑い、慣れていく。もちろん、意外にも日本人と似てるじゃんって思う価値観や、涙が出るくらい利他的な行動をする神様仏様のようなクラスメイトたちに出会って、学びたい、真似したいな、って思うような経験もたくさんあった。私は特に、自分を生かす、つまり自分が今このタスクやこの人たちのために一体何ができるかを考えて実際に行動する、contributionの精神を学んだので、ある意味こういう人間面の成長も、MBA後の仕事、そして仕事以外の生活にも役立っているのではないかと思います。

上記のような様々な角度における多様性にまみれて、物事を進めていく経験はどんな仕事でも役立てると思います。なぜなら、仕事って結局人と人とが一緒に働くことなはずなので、自分と違う人たちとどうやって一緒に働いていくかについての多様な経験が短期間で得られることは、すごく有意義なはずだから。

少なくとも、海外でのMBAに興味がある人、役に立つんかい?って考える人は、海外と関わるビジネス、仕事に興味があるんだと思う。そういう興味がある人全てに、あったらプラスになる経験、役に立つ何かだと思う。どんな人たちとでも多分なんとかやってけるわー、だってあんな多様性の集約環境でなんとかしてきたし、しかも英語でよ、っていう経験、自信が、MBA後での仕事に役立つんだと思います。

この辺りはアルムナイで話していても、結構みなさん納得感高めの解の一つだと思います。もっと10個も20個もこれは役に立ってるわー!があったらいいのかもしれないけれど。でも、そもそもMBA後のその仕事はきっと新しい環境や挑戦で、そのこと自体にも感謝するべきだし、仮にMBA前には転職とか、常に自分をアップデートしていこう、世界の潮流を知ろう、学び続けよう、とかそういう発想がなかった人にとっては、そういう発想を得ることや経験をするだけでも、MBAという経験がものすごく役に立っているんじゃないのかな?とも思います。


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