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アドレナリンジャンキーから学ぶプロジェクトパターン

プロジェクトを進めていく上で様々なトラブルがあるかと思います。例えば、進捗が遅れスケジュールが後ろ倒しになることはよくあり、全員が間に合わないとわかりつつもなかなか言い出せない現状を目の当たりにした経験は誰しもがあると思っています。そういった、プロジェクトのアンチパターンについてまとめられ本が今回紹介する「アドレナリンジャンキー」という書籍であり、テンプレートパターンから学べる本になっていて非常に実りがあったので紹介したい。

はじめに

本書籍は数々のプロジェクトのアンチパターンが記載されている。そのパターンを知ることは特に理論がなくても大いに役立ち、それだけでも存在価値がある。ただそれだけに留まらずに、直感が働くパターンについてじっくり考え。そこから何か明確な知見を導き出すればその価値はずっと高くなる。

そういった、一時的に右脳の直感と左脳の言語能力が結びついた時に本質をとらえて言葉にすることができた時に自分の理解力工場を作用すると同時に、他の人と共有したりすることで他者とのシナジーを誘発する助けとなる。

今回は私が気になったパターンのみを列挙する想定であり、列挙されていないパターンも趣深い事例が多数存在するためぜひ一度一読していただきたい。


アドレナリンジャンキー

アドレナリンジャンキーの特徴は
・優先順位が絶えず変化する
・すべては昨日必要である
・納期まで時間が足りた試しがない
・プロジェクトはすべて急ぎ

このような組織にいる人々は緊急性だけを基準に作業をし、戦略的に物事を考えない。納期に間に合わせようと徹夜で仕事をする人や要件事項などの全ての工程を一人で決定したりする人がヒーロとしてもてはやされる。そういった人のやる行動としては、人間には到底無理なぐらい自分を忙しく見せることと溜まりに溜まった意思決定を一気に管理組織へ流し狂乱の渦に落井入れることである。

そういったアドレナリンジャンキーの組織は。何かにつけ顧客サービス倫理を持ち出し逼迫した事態に対応することを見事な機動力と勘違いしているのだ。顧客が何か依頼すると利益になるかどうかにも関わらずそれは直ちにプロジェクトになり、しかも無茶な納期が設定されるこうして新しいプロジェクトができれば当然のことながら既にパンク状態のヒーローの仕事がさらに増えますます忙しくなる。この目まぐるしい忙しさへの飽くなき欲求を満たしてくれることこそがアジャイルだと思っているが間違いである。


永遠の議論

全員が賛成になるまで議論を続けようとすると永遠の議論に陥る。多くの事象は複雑であり、全ての人から賛同を得られることは決してない。また、それを無理矢理にでも同意を得ようとすると同調圧力といったことが発生し、組織として不健康な状態になりかねない。

組織として行動するなら意見を伺い期間内で一度結論をだしきる。たとえ、それが全員からの賛成を得てなくても方針として定めるべきであり、賛成することと方針に従うことは切り離すべきである。

もしそれで失敗すれば方針を決定した人は責務を負うべきであり、そのようなポジションを担っているはずだ。スクラムでいう最終意思決定者はプロダクトオーナーがそのロールを担っており、適切に意思決定ができないと永遠の議論が生じることになる。

映画評論家

一緒に映画作成する仲間はプロジェクトが失敗すれば自分の成功もありえないと考えており、全員が成功する可能性を高めるべく日々自ら問題に関わっていく。一方で映画評論家というのは自分の関わっているプロジェクトが失敗しても自分は成功できると信じている人のことを指し、事実上はプロジェクトチームから分離しているのだ。

評論家が現れるのは映画が完成してから、もしくは、完成間際になってからなので修正処置を取ることはできない。自分自身の成功はプロジェクトの成功とは無関係だと考えているのだ。評論家たちはプロジェクトメンバーにも関わらず、客観的に当たり前なことや時既に遅いことを指摘してプロジェクトチームのモチベーションを低下させる。必ずしも自覚があるわけではないが彼らはもはやプロジェクトの成否など気にせず自分が正しいと思われればそれで良いと考えている。


組織の中でもともと映画評論家の傾向がある人はこのシグナルに反応して現在参加しているプロジェクトに対して他人ごとのように映画評論行いどのように受け取られるか様子を見る。強要されたり見返りがあったりすれば映画評論家は増え、責任感はなくなる。このように映画評論家が現れる原因としては組織や上司が評論家を評価する姿勢を見せた時である。


ただ、何もダメ出しが良くないということではなく、そのダメ出しに主体性を伴うかが重要となってくる。例えば、「ここのコードはリファクタリングしないといけないよね。プロジェクト終了後に改善計画をたて進めていきたいですね」といったコミュニケーションであれば主体性が伴うのでチームのモチベーションが低下することもなく、プロジェクトもいい方向に進めるだろう。

また、映画評論家にならなければいけない立場の人がいる。例えば、プロジェクトマネージャーはそういった類のものであり客観的にプロジェクトを観察しなければいけない。そういった立場であることを組織から承認され、チームメンバーから認識がされている状態ではないといけない。それ以外の人が評論家のような態度を示すと良くない方向に進むため、マネージャーはしっかりと指摘すべきである。

一人一役

プロジェクトチームで全員が全てに責任を負う考え方は一見立派に見えるがうまくいかないことが多い。その原因として、「自分は何をすればいいか?」が不明確でそういった心理状況の時は殆どの人がパフォーマンスを発揮できないからだ。

また、役割が曖昧であると他のチームメンバに対して、「あの人は何の仕事をしているのか?」といった疑心感が募り、また、仕事内容が被るといった不幸が発生する。

プロジェクトは一つの任務につき一人の責任者と明確に対応している必要があり、チームメンバが正確に知っている状態を保つべきである。

案山子

クライアントは沢山の要望を散発的に唱え、実物ができるとこれは思っていたのと違うと意を表することがある。対象のものが見えない時はアイデアはなく、実物ができると今までアイデアを持っていな買った人でさえも、それに対しての批判や要求をすることは多々ある。

クライアントに見せる際は小分けで簡易なプロトタイプを作成し、それをもとに議論をすれば要求違いや手戻りを最小限に抑えることができるだろう。

サイダーハウスルール

プロジェクトチームのメンバーはプロジェクトの作業に関係のない人々が作ったルールを無視または回避する。かけ離れた場所から他人にルールを押し付けることは無視してくれと言ってるのも当然だ。

現に公共のルールや学校の校則などは守られないことが多い。ルールを制定した人、ルールを守る人、ルールを破る人がいるモラルハザードが発生している状態は良くない。また、システム開発の例だとマネージャーがコード規約を決めたなどでプログラマーがやりづらさを感じたりするケースは多々ある。

ルールを制定する上では何故そのルールが必要なのかミッションステートメントを明らかにし、個別具体の例までは決めずにメタなルールを制定すべきである。そして、何より大事なのがチームメンバーでルールを定めるであり、ルール策定に対して当事者意識を持てるような仕組みを作るべきだ。

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