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第11回:思い出し笑い「UDEN…?」(&ツルコ)

落語#64 【intoxicate様】ラーメンズ第15回公演「アリス」

2004 TWINKLE CO.,LTD.

第10回:UDEN…?

執筆者:&ツルコ
*intoxicate vol.64(2006年10月発行)掲載

「アグネス・チャンが初恋の人」

なんてヒトにニッポンをおまかせしてしまうことになった国民のわた
くしたちです。まあ、それをいったら、いずれ天皇陛下は柏原芳恵が好きだったりしたわけで。いいけど。別に。こんなとこで、自分の好みをとやかくいわれたくないですよね。


好みといえば、数あるお笑い芸人さんたちのなかでも気になる片桐仁。映画とかCMで見るたび、そういえばラーメンズ、と気になってたんですが。いいお知らせと悪いお知らせがありました。悪いほうは、片桐さんの出演してた映画「UDON」が残念ながら打切りが決まったとか。観たかったのに。いいほうは、ラーメンズ幻のCD復刻です。


ラーメンズを初めて見たのは、99年に始まったNHKのお笑い先駆け番組「爆笑オンエアバトル」。小林賢太郎と片桐仁、2人のコントはとても印象的でした。高い得点がついて、ラーメンズは毎週のようにオンエアされてましたよね。その頃にやっていたコントが、外国人の日本語教室というシチュエーションで、小林賢太郎が先生(も外国人)、片桐仁が生徒役となり、“ニッポンで役立つとっさのひとこと”な会話のやり取りをしていく「日本語学校」。
「これは山手線ですか」「そうです埼京線です」
「わからない」「しらない」「小麦粉かなにかだ」
「東京、神田、新バシ!」
「おでん」「うどん」「うでん?」「おどん?」
などなど、こんな日本語覚えてどうする?な言葉をくり返していくおかしさ、くり返すことで変容していく言葉、ただの駅名なのに変化をつけた言い方で笑いになる。ふだん当たり前に使っている日本語を、言葉の響き、イメージなどから、言葉遊びのようにして意味があったりなかったりするやり取りを反復させて、彼ら独自の笑いの世界をつくりあげてました。


そんなラーメンズの代表コント「日本語学校」を収録したCDが、以前、数量限定でリリースされていて、いまやかなりな高値がついていたらしいのですが、それがこのたびめでたく復刻されました。「新日本語学校」とタイトルも新たに、「日本語学校」の“アフリカ篇”“中国篇”“フランス篇”“イタリア〜バリ篇”の4篇が収録され、「とっさのひとこと」のほかにも、「ニッポンの素敵な都道府県」での「チバ! シガ! サガ!」連呼など、なつかしいネタの数々に再会できます。


さらに今回の復刻では新録のコントで、「北海道、住民の半分が熊」「北海道、住民の半分が蟹」から始まり、47都道府県をおもしろおかしくやり取りしていく、25分以上に及ぶ大作「不思議の国のニポン」が追加収録されているのがうれしい。


ここ数年で、若手のお笑い芸人の顔をTVで見ない日はないのですが、ラーメンズはそのなかに入っていないなと思ったら、彼等は活動の場を舞台中心にしていたんですね。「自分がやりたいことだけやりたい」ということらしいのですが、確かにTVに出て知名度が上がり、有名になったとしても、お笑い芸人としてコントや漫才ができるわけではなくて、バラエティ番組でただワイワイと騒いでいるだけ、便利に使われてお次と交代、な使われ方では、「自分がやりたいこと」は保てないですものね。


そんなわけで、気になるラーメンズ、公演のチケットをとるのは大変なのだそうですが、その舞台を収録したDVDがちゃんと出ているからありがたい。最新作は、第15回公演となる「ALICE」。演劇的なラーメンズのお笑い世界は健在でした。全国13都市で3万人以上を動員し、ラーメンズ史上最大規模だったとかで、もうそんなことになってたんですねえ。ここでは、今回復刻されたCDにも入っている「不思議の国のニポン」もやってますので、観るもよし、聴くもよし、のラーメンズなのでした。


DVD『ラーメンズ第15回公演「アリス」』
ラーメンズ
[発売元WOWOW 販売元ポニーキャニオン PCBE-12079]
CD『新日本語学校』
ラーメンズ
[ポニーキャニオン PCCA-2292(廃盤)]

思い出し笑いライン


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