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第24回:思い出し笑い「笑わせる腕になるまで泣く修行」(&ツルコ)

落語#77 ジャケット 2008年度 春風亭小朝プレゼンツ 日テレ男子アナ はじめての落語 大銀座落語祭 完全収録  VPBF-13247

第24回:笑わせる腕になるまで泣く修行

執筆者:&ツルコ
*intoxicate vol.77(2008年12月発行)掲載

 今年は、流行語大賞にまでノミネートされそうな勢いだった小朝さん。たいへんな年になってしまいました。後々、なかったことにしたい二〇〇八年かもしれませんね。金屏風前、兄弟同伴の異例離婚会見を行い、やっぱりあのヒトはみどりと姉妹なのね、と妙に納得した昨年から、この夏以降の狂乱ぶりってば、多くの人を巻き込んで、オソロシすぎでした。当事者は次に何を言い出すのかとドキドキしてたと思いますが、部外者は赤裸々なネタの提供にワクワクしたりして。終結の頃にタイミングよく小室逮捕があったので、矛先がそれ、さぞホッとしていることでしょう。

 その小朝さんが仕掛け、毎年夏に行われていた『大銀座落語祭』。残念ながら、来年はもう行わないそうですが、今年の出し物の一つに、日本テレビの男子アナウンサー六人が落語に挑戦!というのがありました。〝語り〟が仕事のアナウンサーであるから、落語を経験することでスキルアップを、というかなり無理矢理な企画なのですが、それぞれ別の師匠について、初めての落語のお稽古。五月からスタートし、七月に行われる大銀座落語祭のプログラムの一つとして初高座を披露、という段取りです。六人が呼び出され、ミッションが通達され、小朝さんに会い、師匠と噺が割り当てられて、みなさんびびりながらもお稽古開始。『キューピー3分クッキング』の高橋雄一アナは、若手実力派の柳家三三から『やかん』。笑いには興味のない『ストレイトニュース』の桝太一アナは、人間国宝・柳家小さんの孫である柳家花緑から『宮戸川』。『新ニッポン探検隊!』の藤井恒久アナは、小朝の義理の弟ではなくなった林家正蔵から『お菊の皿』。『メレンゲの気持ち』の菅谷大介アナは、歌もプロ並みの柳亭市馬から『がまの油』。『おもいッきりイイ!! テレビ』の森圭介アナは、芸よし姿よしの入船亭扇遊から『片棒』。『ズームイン!! SUPER』の羽鳥慎一アナは、古典落語の中堅、金原亭馬生から『あくび指南』。初高座に向けて、みなさん本気で取り組んで、無事に披露できた落語が、このたびDVDで登場しています。本編の後、特典映像が収録されていて、こちらは六人それぞれの経過を密着取材したドキュメンタリー。お稽古で、師匠のすぐ目の前に座って落語を演じるって、そりゃあもう緊張しますよね。入社してからいちばん大変だったという人がいたり、「やめたい」と泣きが入る人がいたり、各自苦労して稽古をしていく様子を追っています。特典映像を観てから、本編(落語)を観ることをおすすめします。

 男子アナ六人は、揃って高座に上がることができ、落語を披露、メデタシメデタシ、だったんですが、さて小朝さんのほうはといえば、この後、大銀座落語祭がきっかけで元妻がキレていき、泥沼に突入していったのでした。

 さて今年も残すところあとわずかですが、年末に公開される新しいシネマ歌舞伎が超オススメ! 今年の夏に歌舞伎座で上演された『らくだ』と、勘三郎親子三人共演の『連獅子』。どちらも勘三郎出演の二本立て。このシネマ歌舞伎、前作が『文七元結』でしたので、今回の『らくだ』といい、落語好きにもたまらない演目が続いてますね。『らくだ』は、小心でお人よしのくず屋さんを勘三郎が演じていて、お酒に酔ってだんだん人格が変わっていく様子、坂東三津五郎とのやりとり、舞台上でのハプニングなど、最初から最後まで笑い所満載です。変わって『連獅子』のほうは勘三郎、勘太郎、七之助親子による華麗な舞台を山田洋次が監督。望遠で撮影していた今までのシネマ歌舞伎と異なり、初めてカメラを舞台に上げて撮影をしたもので、客席から観るのとは違う角度からの映像など、すごーい迫力。実際に舞台をご覧になっているかたでも、この映像ならもう一度観ても新たな感動があると思いますし、普段なかなか劇場に足を運べないかたにはなによりの作品かと。新しい年を迎えて、この二作を観れば、初笑いとおめでたさ、両方が楽しめますよ。


DVD春風亭小朝プレゼンツ日テレ男子アナ はじめての落語 大銀座落語祭 アナ落語−完全収録−
[バップ VPBF-13247]

思い出し笑いライン


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