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第9回:思い出し笑い「横丁の若様が仕掛人 大銀座落語祭2006」(&ツルコ)

ツルコさん

執筆者:&ツルコ

第9回:横丁の若様が仕掛人 大銀座落語祭2006

*intoxicate vol.62(2006年6月発行)掲載

すごかったみたいですね、GWに行われたクラシックのお祭り、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン。第1回めの昨年が驚きの30万人動員だったのが、今年は赤ちゃんから大人まで70万人近くが訪れたそう。すごいぞ! きっかけがあれば、行きたいんだよね、みんな。好きなものならどんどん調べていっちゃうけど、興味はあるんだけどねー、くらいの段階だと、なにかで背中を押してほしいもの。入りやすくしてくれるって、大事です。


落語もあるのよ、そんなお祭りが。しかももうすぐ、同じ銀座で。今年で3回め、ラ・フォル・ジュルネより1年早くスタートした、その名も「大銀座落語祭」。今年は銀座の6会場で、朝から夜まで、東西の噺家さんたちが、入れ代わり立ち代わり、総勢180名も登場します。昨年までは5会場でしたが、今年は新橋演舞場でグランドフィナーレの追加公演が決定しました。

こんな大変なこと、いったいだれが仕掛けてるんでしょ。それはご存じ、横丁の若様(すでに殿様か)・春風亭小朝なんですねー。落語界に名プロデューサーあり。落語って、個人商売ですから、自分以外はみんなライバルなわけで、はっきりいって自分が売れていればそれでOK、なんですが、小朝さんのスゴイところは、さらに落語界全体を視野に入れて動いてる。早くからテレビに出演し「横丁の若様」で噺家としての知名度を全国区にし、もちろん落語の実力も文句なし。だれもやっていないことにチャレンジ!と歌舞伎座での高座を実現させ、さらに武道館公演まで! そして自分のことだけではなく、「これは」と目をつけた若手噺家をプロデュースして落語会を行ったり、まだ記憶に新しい林家正蔵襲名の大イベントも、義兄・小朝のフォローあってこその大成功。そして最近では、現在の落語界のキーパーソンといえる面々を、流派を越えて集結させ「6人の会」を結成。「東西落語研鑽会」を立ち上げたり、様々な活動をしていますが、なかでも大規模なのが、この「大銀座落語祭」です。

2004年にスタートした、このお祭り。初回は1万5千人を動員するという快挙でした。そして昨年は、〝上方落語がやってきた〟と題し、江戸落語と上方落語が一堂に会しての初イベントとなり、2万人を集客。こんなスケールの大きいことができるのも、小朝だからこそ。3年めとなる今回もますますの盛り上がりが期待できそう。


3日間で30以上の会があるので、どこに行こうか迷いますよね。「6人の会」のメンバー、小朝、正蔵、鶴瓶、志の輔、昇太はそれぞれの会がありますし、花緑は風間杜夫さんとの二人会が話題です。噺家さん以外にも、ウッチャンナンチャンの南原清隆が落語に挑戦。稲川淳二もお得意の怪談噺で登場します。「珍品堂」と称する、普段聞けないような珍しい落語が聞ける会などもご用意。古典落語をじっくり聞くもよし、新作落語で大笑いするもよし。英語や中国語、手話での落語だってあるんです。人気の会はチケットが早々に完売してしまいますが、入場無料の会もありますし、当日ふらりと出かけて入ったら、思わぬ面白い落語に出会えるかもしれませんね。今年は銀座の街もこの落語祭の告知に協力、また新たな試みとして、街頭での路上パフォーマンスも予定しているそうなので、街を歩いていて大道芸や青空寄席に出くわすかも。情報は随時HPにアップされるので、チェックしてみて。

この流れはどうよ!?と気になるのが、木久蔵一門による「子供寄席」という、子供向けの会の後が「小沢昭一の吉原へご案内」。残って廓噺を聞こうなんて粋なお子さんがいるかどうかはともかく、ラ・フォル・ジュルネでも「0才からのコンサート」があったそうですし、早期教育っていうのも大事かも。落語から人生いろいろ学べるしね。なにはともあれ、趣向をこらしたテーマで、若手から大看板まで、お客さまに楽しんでいただこうと勢ぞろいしてお待ちしてますので、7月の連休は銀座で落語をどうぞ!

思い出し笑いライン


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