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第88回:思い出し笑い「末広がりの連載88回、柳家小三治師匠の80歳を祝う。」(&ツルコ)


©2009 NHK

第88回:末広がりの連載 88 回、柳家小三治師匠の80歳を祝う。

*intoxicate vol.143(2019年12月発行)掲載

  古今亭志ん朝の「光陰というのは、ああ、矢の如しだなぁ」という声が聞こえるよう。大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』ももうすぐ終わっちゃいますね。残念だったピエール瀧の降板でしたが、出演した第4〜8話の撮り直しが行われたそうで、総集編や再放送ではそちらのバージョンが放送されるとか。いい役柄だったのに、なかったことになってしまうのはちょっと悲しいかも。そして大河の災難はさらに続き、またもや逮捕で来年の第1話から撮り直しって! 大変すぎる…。


 『いだてん』は結局最後まで低視聴率のまま、記録をつくってしまいそうですね。朝ドラ『あまちゃん』の時みたいに、途中から話題になって視聴率アップ!を期待してたんですが。古今亭志ん生をビートたけしが演じることで注目されましたが、もし息子の古今亭志ん朝が存命なら、出演のオファーがあったかも? 自分たち一家が大河ドラマで取り上げられるなんて思いもよらないことだったでしょうね。父の志ん生役は嫌がりそうですけど、志ん朝のナレーションで観てみたかったと思います。63歳という若さが惜しまれる志ん朝、ご存命ならもう80歳を越えていますが、志ん生を襲名したり、人間国宝になっていたのでしょうか。


 いま落語界唯一の人間国宝である柳家小三治。この号が出る12月に80歳になられます。今もお元気で高座に上がっていますが、現在のそのお姿のプライベート号が出る12月に80歳になられます。今もお元気で高座に上がっていますが、現在のそのお姿のプイベートな部分も見られる貴重映像が、DVDとしてリリースされてます! テレビ北海道の開局30周年の特別番組として制作された『人間国宝 柳家小三治〜噺家人生悪くねえ〜』は、メディアに出るのがお好きではない御大に250日密着したドキュメンタリー。40代の頃バイクにハマり、自身がリーダーとなって、落語協会のバイク仲間である金原亭伯楽、金原亭馬の助、土橋亭里う馬らと「転倒蟲」というツーリングチームを作ったほどで、ツーリングに通った北海道は、第2の故郷と言っています。番組ではかつて一緒に走った仲間が集う様子も! バイクに関しては高座でもよく話していて、そのマクラは本になってます(『バ・イ・ク』講談社文庫)。番組中、昔のツーリングの映像も流れますが、この頃の映像、昔テレビで観た記憶があります。噺家とバイクのギャップが面白がられていたんでしょうね。通い続けて、ツーリングしながらの落語会も道内各地で行なっており、落語を聴ける機会の少ない北海道に落語を届けていました。番組では、昨年、六花亭のホールで行われた落語会の映像が収録されていますが、この落語会、なんと36年続いているそう! バイクにはもう乗らなくなっていますが、落語を届けることはずっと続けていらっしゃるんですね。昔行った懐かしい場所を訪ね、当時出会った人たちとの40年ぶりの再会など、この長く続く縁となった北海道が小三治にとって特別な場所であることが映されていきます。小三治を取りあげた作品としては、2008年のNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』、2009年のドキュメンタリー映画『小三治』(康宇政監督)などがありますが、それから10年を経た姿を捉えた貴重な記録。カメラを向けられるのを嫌い、取材は大変だったことと思いますが、ご本人にとってもいい機会だったのでは、と思える作品です。


 人間国宝、新年の寄席に出演します。初席はたくさんの噺家さん、芸人さんが登場して賑やか! 新年早々のおめでたい雰囲気の中でご尊顔を拝するのもよろしいかと。


DVD『プロフェッショナル 仕事の流儀 噺(はなし) 家柳家小三治の仕事 笑いの奥に、人生がある』
柳家小三治
[NHK エンタープライズ NSDS-13315]

DVD『ドキュメンタリー映画「小三治」』
監督:康宇政 
出演:柳家小三治
[ ヒポ コミュニケーションズ KOSANJI-532]

DVD『人間国宝 柳家小三治〜噺家人生 悪くねえ〜スペシャルエディション』
柳家小三治
[ テレビ北海道 TVH-010]

BOOK『バ・イ・ク』
柳家小三治/著
講談社文庫
ISBN:9784062750929

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