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第21回:思い出し笑い「来年の3月」(&ツルコ)

落語 #74赤めだか (扶桑社文庫)

執筆者:&ツルコ

第21回:来年の3月

*intoxicate vol.74(2008年6月発行)掲載

「らくご☆まがじん」という、つのだ☆ひろ?みたいなフリーペーパーをご存知? 女子大生がつくっている落語シロウトさん向けのかわいい落語マガジンなんです。現役女子大生(つのだ☆ひろって誰?世代)のお嬢さんたちが、噺家さんを取材したり、落語に関するあれこれを取り上げて紹介しているんですが、おかしいのが、取材されてる噺家さんたち、女子大生に囲まれ写真の表情のでれでれっぷり! なかなかそういう機会ってないものね~。創刊1周年を迎えた最新号では、「ぴちぴち女子大生が選ぶ イケメンらくご家グランプリ2008」の発表が! TVや新聞でも取り上げられてましたね、これ。女子大生編集スタッフが、東京の噺家約420人の中から写真を参考に48人をノミネートし、24大学の女子大生100人にアンケートした結果だそう。「50歳以上の部」「35~49歳の部」「30~34歳の部」「29歳以下の部」のそれぞれで10~12人がノミネートされ、1位から3位が選ばれてるんですが、なんということでしょう!あの人が入っていないじゃないですか! あの、様子よし、声もよし、色っぽくて、すごみがあって、生意気で、仕草や表情がもうたまらなくすてきな立川談春が! うそー。ちなみに該当している「35~49歳の部」の1位は林家いっ平ですよ(泣)。芸は一切関係なく、写真のみの判断なんですけどそれにしたって。


 最近、初めてのエッセー集『赤めだか』が話題の立川談春。雑誌「en-taxi」で連載していた、前座~二つ目修行時代の青春記なんですが、書評で最後が泣けるって読んでいたのにうっかり忘れて電車の中で最後の章を読んでしまい、人前で泣くはめに。師匠が師匠なら、弟子も弟子な、緊張感あふれる毎日を積み重ねながら、成長していく記録なんですが、立川一門の内側も興味深く、立川談志という人のすごさを改めて認識させられるものでもありました。たったの17歳で、高校を中退して社会に、しかも落語家を目指したい状況のなかで最も過酷ではないかと想像される立川流という荒波の中に! そして想像以上の過酷さでした。でも、中学生のときに学校で連れられて行った寄席で、談志に遭遇。落語は聞けなかったものの、強烈な印象を与えられ、その後、初めて落語を聞いたときには腰が抜けたほどの一目惚れ。以来、ひたすらに一途。


 この6月には、なんと歌舞伎座で、談志・談春の親子会があります(もちろんチケットは即完売)。2005年に談春初のCDが出ましたが、ここにボーナス・トラックで、「談志のお墨付き」という、高座のマクラで師匠談志が談春のことを話している音源が収録されてます。そこで「けっこうなもんだと思います」「円生になれる可能性」とまで師匠に認められているほどですから、この親子会も満を持してなのでしょう。


 いまや、チラシができあがる前に、会のチケットが完売してしまったりするほど人気の談春さんですが、ぴちぴち女子大生のお嬢さんたち、ぜひがんばってチケットをゲットし、談春さんの落語を目の当たりにし、そして惚れて、来年の3月には2009年グランプリがとれますよう、オバサンからのお願いでした。本人が望んでるかどうかは置いといて。


CD『20年目の収穫祭』
立川談春
[YBCR-1001-2(2CD)(廃盤)]
「九州吹き戻し」(ボーナストラック【談志のお墨付き】「文七元結」
CD『立川談春』
立川談春
[YBCR-1003-4(2CD)(廃盤)]
「紺屋高尾」「明烏」
BOOK『赤めだか』
立川談春
扶桑社
ISBN:9784594073626
DVD 『ひとり会'92~’ 98 初蔵出しプレミアム・ベスト全七夜DVD-BOX(6枚+特典1枚組)』
立川談志
[竹書房 TSDS-75515]
フリーペーパー
『らくご☆まがじんvol.5 2008年春号』
えんぴつむすめ

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