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夢中でサッカーを見る理由/第8回友人インタビュー

(Gさん 2021年6月下旬)

Gさんは時間さえあれば自宅でサッカーの試合や関連番組を見ているそう。小学生時代に『キャプテン翼』が流行り、中学生時代にJリーグが発足した世代であるGさん。元々のサッカーファンなのかと思いきや、頻繁に見るようになったのはここ2年ほどとのこと。
サッカー番組にのめり込むようになった経緯や、どんな気持ちで見ているのかなど、スポーツに関心の薄いインタビュアー田中が聞いた。

※特定の名称等が出てきますが何のプロモーションでもありません。

「やる」のは無理

──サッカーに関しては「見る」ほう専門ということですが、小学生の頃、『キャプテン翼』が大ブームだった頃もやらなかった?

Gさん 『キャプテン翼』はアニメも漫画も見ていて、ゲームもやってましたけど、それは(実際やるのとは)別ですね。『シュート!』とか『オフサイド』とか、サッカー漫画はいっぱいあったし、小、中、高ずっと面白いサッカー漫画は読んでいましたけどね。

 やるのは下手です。サッカーは全然向いてない。思い切り蹴ると膝とか痛くなりますし、それにサッカーって鬼のように走るんですけど、体力ないですし。(一試合で)普通に10キロとか走るんで、無理です。10キロなんか走れない。

 高校時代の同級生でJリーガーになった人がいるんですけど、その人にサッカーをちょっと教えてもらったことがあって、その時「やべえ」と思いましたね。

──「やべえ」っていうのは?

Gさん 私が知ってるサッカーは玉蹴りだったな、みたいな感じ。次元が違う。別もの。サッカーっていうのは、“体のぶつかり合いなんだ”ってことを教わった。

 バスケットで言うスクリーンアウトみたいに、相手がジャンプできないように背中をぶつけて、ボールが来るエリアを自分がガードした上でジャンプする、それの繰り返しなんですね。

 実際その人が体をぶつけてくれて体感したんですけど、めちゃくちゃ痛いし、それを90分間やり続けるみたいな感じだから、めちゃくちゃケガするだろうし、めちゃくちゃ体格良くないとできないなと。(自分は)こんなことやるのは100パー無理だなと思いました。

Jリーグはちらちら見る程度だった

──サッカーの試合を見るようになったのは?

Gさん 中田英寿が活躍していた頃、(自分が)大学生ぐらいだったかな。1998年に初めて日本がワールドカップに出て、強くなってきてたし、日本代表の試合は見てたかな。Jリーグは見てないです。

──Jリーグが発足した当初(※)も見てない?
 ※1993年リーグ戦開始。大きな盛り上がりを見せた。

Gさん 一試合を通して見るとかはしてないですね。大きい大会の決勝とかはテレビの地上波でやるんですよ。それはたまに見てたかもしれないです、気が向いたら。

 でも、Jリーガーになった同級生がどうなったか気になるので、そのチームの試合結果だけ追っかけたりはしてました。スタジアムには行かなかったですけど。

 Jリーグは、天皇杯決勝とか、クラブチームのタイトル戦決勝とか、そういうの大きな試合だけ、ちらほら見ていました。
 元々スポーツ全般好きではあります。

──スポーツ観戦は好きということ?

Gさん テレビでならですけどね。(試合会場に)行くっていうのはめんどくさいしお金かかるししないんですが。

海外サッカーに興味を持つ

──今では海外のサッカーもよく見るんですよね。いつ頃から?何かきっかけが?

Gさん 中田(英寿)も海外に行った(※)じゃないですか。その頃、サッカー好きな人はWOWOWとか入ってずっと見てましたけど、そういうのはお金かかるし機器もつけなきゃいけないし(自分は見なかった)。海外の有名な選手の名前ぐらいは知ってましたけど。
 ※1998年、Jリーグのベルマーレ平塚からイタリアのセリエA・ペルージャへ移籍。参考:Wikipedia

 でも、(5年ほど前に途中入社した)今の会社にサッカーに詳しい人が多くて、(海外のサッカー事情について)いろいろ聞いたり話したりはしてたかな。(サッカーおよび海外サッカーに)興味を持ったのはそれが最初だと思います。

 大きく分けて、サッカーって、ワールドカップみたいな国別対抗の試合のために国籍で組むチーム同士の試合と、国籍問わずいい選手をスカウトしてきてやるクラブチーム同士の試合っていう、国対抗と会社対抗みたいな感じの2つがあって。

 ワールドカップはだいたい全試合テレビ放送もされるし、4年に1回だから、まあオリンピックみたいな感じで見ていましたけど、クラブチーム対抗のほうはリーグとか地域とか、毎年毎年(試合数が)いっぱいあるから、追っかけるほど暇がなくて私は(以前は)あんまり見ていませんでした。

 この頃は、サッカーファンレベル(※)で言うと、(自分は)2とか3とかですね。にわかサッカーファン的な。
 ※Gさんがこの時考えた独自のレベル設定です。

──10のうちの2とか3ですか?

Gさん (最高値が)どこまであるのかわかんないですけど。(このレベル設定で言うと)ちょっと選手の名前を知ってるだけじゃなくて、試合の結果を追いかけてるのが3ぐらいかな。4になると、WOWOWとか入って海外サッカーを見始める。5になると好きなチームをめちゃ熱狂的に応援するとか、スタジアム行ったりグッズ集めたりとかになって、6になるともうJリーグとか問わずサッカーが好きで、各地で観戦するようになっていく感じ。

──ではGさんは、今はそのサッカーファンレベルで言うと?

Gさん 4とか。かな。

DAZNに加入する

──4。少し上がりましたね。

Gさん うん。詳しくはなってきました。

──ずっとレベル3ぐらいだったのが、4になったのは何かきっかけが?

Gさん DAZN(ダゾーン)(※)が(日本に)来て、2年前くらいに加入したから、っていうのはあると思います。
 ※DAZN スポーツ専門の定額制動画配信サービス。日本でも2016年にサービス開始。参考:Wikipedia 

──DAZNに加入したのは、サッカーを見るためではなかったんですか?

Gさん と言うよりは、DAZNがどんなものなのか、何のスポーツをやっているのか体験してみたかったんです。で、体験入会してみたらいろいろやってたから、そのまま入りました。

 (2016年に)DAZNがJリーグの試合の放映権を全部買ったんですよね。そしたら、Jリーグの経済状態がすごく潤って、そのおかげで各J1リーグのチームは勝てば賞金をたくさんもらえるようになった。結果、DAZNは日本サッカーの発展に寄与したと言われていて、(その情報を知って)ちょっと入ってみたくなったんですよね。

 昔は海外のチャンネルを見るサービスを契約するとなると、チューナーとかの機器を置かないといけなくて、面倒だなと思っていたんです。
 DAZNはその時代よりも今風になって、(新しい機器は不要で)ネットで見れる。(※ネットでライブ配信とオンデマンド配信が見られる。)

 それに、自分は海外ドラマを見るわけじゃないから、DAZNはスポーツに特化したサービスという点がいいなと思って。

 見たら、DAZNでは、バスケとかもテニスの試合もいっぱいやってる。今は野球もあって、日本のプロ野球ほぼ全試合やってるんです。
 サッカーについては、DAZNはヨーロッパ五大リーグのうちの3つを押さえてるんですよ。イギリス、イタリア、スペイン。フランスもちょっとやってるから4つかな。

(※掲載している情報はすべて、今後変更の可能性があります。)

ありがたきハイライト放送/スポーツニュースが好きだった

Gさん (自分にとって)一番大きかったのが、DAZNにはJリーグとかプレミアムリーグとかの主要な試合を5〜6分にまとめる「ハイライト」っていう機能があること。他の、例えばWOWOWとかにそういう機能があるのかないのかは知らないんですけど。
 
 普通に一試合全部見るかハイライトを見るか、試合が終わって3〜4時間したら選択できるようになるんです。まあ、(各国でやっている試合の)全試合ではないんですが。
 Jリーグは全試合のハイライトがあって。Jリーグの下のほうの順位のチームの試合でもハイライトが見れて、どんな選手が活躍したのか大体見れる。(自分は)サッカーの試合90分ずーっとは見れないので、それはいいなあと思って見るようになりました。
 
 私は元々スポーツ全般が好きで、特にスポーツニュースが好きだったんです。フジテレビの『すぽると!』とか、日テレの『Going!Sports&News』とか、そういう番組が、大学生の頃夜11時台とかにやってて、そういうの見て情報を仕入れてました。当時、寝る前にスポーツニュースをちょっと見る、そういう感じが好きでした。

 スポーツニュースでその日の試合の結果とかハイライトシーンをやってたのを見てた感覚で、今、DAZNのハイライトを見てます。最近はスポーツニュースがすごく減ってるし、そういう番組はわざわざ録画して見たりはしないので。

 で、DAZNに入ったらハイライトがあるわ、24時間ずーっとスポーツニュースやってるみたいな感じだからいつでも見れて情報が入ってくるし、わかりやすいし。好き、ですね。

(※掲載している情報はすべて、今後変更の可能性があります。)

スポーツを見ることの面白さとは

──Gさんはどうしてスポーツのニュースやハイライトを知りたいのでしょう?

Gさん (笑) 時間がないけど、結果と選手が気になるから。

──それは、サッカー界全体とか、野球界全体の状況を把握しておきたいから?

Gさん 単純にコンテンツとして面白いですよ。例えばドラマとか映画だったら、どういう展開になっていくのか気になるでしょ?それと一緒で。

 なんかあれですよ、「事実は小説より奇なり」といった感じで、絶対勝つでしょって思ってた強いチームでも些細なミスで負けたりする。かと思えばルーキーが出てきて活躍したり、エースって言われてた人がケガしたり。ケガとかすると、1年戻ってこないってパターンもあるし、その日を最後に引退ってパターンもあるしで、けっこう大ごとなんですよ。そういうことが毎日毎日何かしら起きてる

 (スポーツ選手というのは)小学校に一人はいたようなスポーツ万能だった人がどんどんどんどん肉体強化していって、生活とか家族とか人生とかを賭けてやってるわけじゃないですか。そういう人がいろんなとこで試合して、天候とかにも左右されながら、ちょっとした出来事で……ケガしてオワタ、みたいな人とかもいて。人生賭けてやってるから、そんな、急に人生が変わるようなことがけっこう起きる

 30歳過ぎでベテランと言われたりする世界だから、選手の年齢も気になるし。サッカーだと得点王とか、そういうタイトルみたいのとかも気になるし。
 毎試合、結果ぐらいは追っかけとかないと、今年は誰が活躍したのかもわからなくなっちゃいますから。

野球とサッカーが逆転したのは、単に

──元々は野球をよく見ていたんですよね。今は野球よりサッカーのほうが上回った?

Gさん そうですね。サッカーはDAZNでハイライトが見られるけど、プロ野球は今のところないので。プロ野球でもハイライト機能をやってほしいんですけど。

 野球もテレビ地上波で(試合中継をよく)やってた時、(時間を割けず)試合の最初から最後までは見られなかったですけど、でも野球ってわかりやすくて、7、8、9回を見てればほぼわかるんです。7、8、9回にピッチャーがころころ変わって、勝ってるチームが最後締めて終わり、だから、どっちが勝ったかは9回の表裏を見ればわかる。
 でも、サッカーは最後に3点入れたほうが勝ちとは限らないので、試合を全部見てないと本当にわかんない。だから疎遠だったんですけど、DAZNにサッカーのハイライトがあるから見るようになって。逆に野球にはハイライトがないから、おっかけんのツラッ、ってなって。それでサッカーを見てます。

──じゃあ、野球にハイライト機能があったり、見たい周辺番組などのコンテンツがあれば、逆だったかもしれない?

Gさん そう思いますね。

ビジネスの視点で見るサッカー

──そうなんですね。サッカーのほうが面白い!ということではないんだ。

Gさん うん、でもサッカーのほうが(自分が受けとる)情報密度が濃いから、面白い。ではありますね。
 
 野球は歴史も含めてけっこう知ってたんですけど、サッカーのことは元々ちゃんと知らなかったから目新しくて、一個一個が面白いというのはあります。
 そしてまた、サッカー自体だけじゃなくて、サッカーの周りにあるものもいろいろ面白いんです。

 例えば、DAZNが日本に来てJリーグが潤ったとか。今、(自分は)学生じゃなくて会社員だから。なんでDAZNはそんなにお金払ってくれるのとか、どうやってDAZNは儲けてるのとか、そういうのも単純に面白いですし。

 選手がサッカーを辞めた後の話……ロナウド(※ブラジル出身のロナウド)が今はスペインのクラブチームのオーナーになってるとか、ビジネスマンがどこかのクラブチームの経営を立て直すために活躍した話とか。スポーツビジネスって大きいから、面白い話がけっこうあります。

 お金中心にサッカーを見てる人と、純粋にサッカーの試合を見てる人といろいろいるんですけど、そのどっちの話も面白いですね。(試合で)強けりゃいいってわけでもなくて。
 
 そう、サッカーはお金の使い方の仕組みが面白いんです。他チームから、契約期間内の選手をほしいと言われて交渉が成立したら、相手チームから移籍金をもらって選手を移籍させるんですね。選手の移籍でクラブが潤うわけです。そのお金で設備投資してもう一個グラウンド作って、少年少女呼んでユースチーム作って、ユースに指導者をつけて若手を育てていったら、5年後にそのチームがすごく強くなるとか、そんなことがある。だから選手の移籍は大ごとで、ニュースになるんですね。

 サッカーって激しいスポーツだから選手の引退が早いので、ちゃんと若手を育てているチームじゃないと長いこと上位にいられない。そういう風に設備投資していくとクラブがだんだん強くなっていったり、地元とも密着して相互に活性化していったりする。そういう経営の仕組みも面白いですねー。

 あと、ユニフォームを見ると、スポンサーの企業名が入ってますよね。スポンサーがその年で変わったり変わんなかったり、とかもあるし。気にすると、なんだ?って思うところがいっぱいあるんですよ。

 日本でも、大きい都市だけじゃなく、小さい規模の町レベルでもサッカーチームってあって、地域振興のためにやってたりする、そういうのも面白いですよね。そういう地方のチームが東京のチームを倒したりするので。野球で言うと、草野球チームが巨人軍を倒したりするような感じ。
 うまく経営してる地方のクラブチームとかもあって、ちゃんと毎年黒字を出してたり。額は多くないかもしれないですけど。

求めていた番組があった

──見ているサッカー番組について教えてください。

Gさん 私はDAZNばっかり見ているんですけど、DAZNのいいところはハイライトがあるのと、もう一個、解説が充実してるっていうのがあります。

 DAZNは海外の試合を流すだけじゃなくて、それプラス、大きな試合だと日本の元サッカープロ選手やサッカー好きのアナウンサーが(日本語で)解説してくれるのがすごくわかりやすくて。佐藤寿人だったり、戸田和幸とか、内田篤人、名波(浩)、播戸(竜二)とか、日本代表クラスの人がゴロゴロいて解説してくれて、そんなレベルだった人がどんなことを思って試合を見てるのかがわかる。超面白いです。

──それを聞きながら見るのと、ないのとでは全然違う?

Gさん 全然違いますね。野球でも、アナウンサーと、もう引退した桑田とか清原とかが巨人の試合を解説するとかあるじゃないですか。現役を引退した監督や選手を呼んで、アナウンサーとセットで話すのが俺のイメージしてる試合の解説で。
 アナウンサーというのはファンに近いので、アナウンサーだけだと言ってること本当かな?って思う。でも、プロだった人が言うとほんとっぽいじゃないですか。だから、元プロの人がちゃんと意見を言ってるのを聞くのは楽しいです。

 それと、試合が終わった後の分析番組みたいな、いわゆるスポーツニュースで、結果を報告しつつ、分析観点でワンプレーワンプレーを解説してくれるのがすごく面白い。

 試合自体を見られるかどうかも重要なんですけど、ハイライトも含めて試合の周辺コンテンツがめちゃくちゃ充実してるからDAZNはすごいなって思って。

──GさんはDAZNに加入してみてすごくよかったんですね。

Gさん そうですね。「これだ」と思いました(笑)。

──おお。求めていたものが。

Gさん (自分が)最近求めていたものでした。地上波だと、野球もサッカーも見られなくなって(試合中継が減った)、スポーツニュースも減って、『やべっちF.C.(※)』も終わったしどんどんサッカー番組が減っているけど、DAZNの中だけはめちゃくちゃ充実してますから。
 で、DAZNはお金もある、タレントもいる、解説もある、見たい試合もあるで、非の付け所があまりないけど、あるとしたら、ドイツ(の試合)がないとか、UEFA EURO 2020の試合は全然やってくれないので、足りない試合はあるけど、ま、(自分には)そこまで時間もないので、今ので十分。Jリーグが全部見られるので。

 ※『やべっちF.C.』テレビ朝日系列にて2002年4月7日から2020年9月27日まで生放送されたサッカー情報番組。DAZNで後継番組の『FOOTBALL PROGRAM YABECCHI STADIUM(やべっちスタジアム)』が配信されている。 参考:Wikipedia 

(※掲載している情報はすべて、今後変更の可能性があります。)

Jリーグも面白いのは/レベルの高さと面白さ

Gさん 今の会社にいるサッカーファンと話して知ったのは、サッカー好きの人は海外(の試合)を好んで見る人が多いということで。

──そういうものなんですか?

Gさん (サッカー好きは)世界の最高峰と言われているヨーロッパ五大リーグ(※)の試合をよく見るみたいです。
 ※リーガ・エスパニョーラ(スペイン)、プレミアリーグ(イングランド)、ブンデスリーガ(ドイツ)、セリエA(イタリア)、リーグ・アン(フランス)の5リーグを指す。

──Gさんは世界のサッカーだけじゃなくJリーグも好き?

Gさん はい。追い求めていくとバルセロナとかレアルマドリードとか、マンチェスターシティ、マンチェスターユナイテッドとかの世界最強って言われる数チームに行き着いちゃうんですけど。

 でも、Jリーグも(選手が)人生を賭けてやっている試合ですから、面白いです。

 若手がいて、ベテランがいて、チームがうまく回って勝ったり、仲悪そうに負けてったり。負けたら負けたで(J1とJ2の)入れ替え戦を戦って盛り上がったり、勝ったら勝ったで優勝目指して戦って。その時々でドラマがあるので、面白いですね。

──少し戻りますが、そもそもスポーツというものはレベルが高い試合ほど面白いもの?

Gさん そうですね。

──「すごい!」と思うからでしょうか?

Gさん 「すごい!」の数が多いから、そうですね。(レベルが高い試合ほど)面白いものだけど、サッカーは、まあ、そうでもないかな……

 野球って、数字が多い。打率とかヒット数、フォアボール数とか、ゼロで抑えるとか、変化球の種類とか、数字がすぐ出てくるので、やっぱり140キロのストレートより150キロのストレートのほうがすごいし160キロのストレートのほうがすごいじゃないですか?だからその世界での試合を見たいと(いう気持ちになる)。
 
 対してサッカーは、例えばシュートのスピードとかは(測定値の表示は)出ないです。結果、(シュートが)入るか入らないかが重要で。サッカーは、この試合はAチームとBチーム、どっちがどうやって勝ったか、みたいなほうが面白いと思います。私は、ですが。

──どうやって勝ったかっていうのは、戦術とか?

Gさん 点の入れ方かな。どうやってパスを回してどう入ったか、誰が決めたか。どうやって敵をかわして持ってったか。(走る速度やボールの奪い方が)速かったりするのもそれはそれで面白いけど、そうでもなくても、また別の面白さがサッカーにはあると思います。

好きな番組のこと

──DAZNの内田篤人の番組『ATSUTO UCHIDA’S FOOTBALL TIME』を毎週欠かさず見ているんですよね。それはどういう番組?

Gさん 海外のクラブチームに行った日本人選手がどういう風に活躍してるかしてないか、行った先のチームが勝ったか負けたかとか、日本人選手のプレー解説とか。
 内田(篤人)が実際ドイツに行ってめちゃくちゃ活躍した選手だから、海外サッカーとか海外のチーム事情をよく知ってるので、そういう解説が中心の番組です。

──この番組のどういうところが面白いですか?

Gさん 元日本代表レベルの人が解説してるので、単純に面白いです。監督人事の話とか、舞台裏の話、チームの中にいないとわかんないこともいっぱい出てきて楽しい。国によって違うことがいろいろあるので、「へえ〜」と思うことが多いです。

 (DAZNで好きなのは)その内田篤人の番組とJリーグ中心のやべっちの番組と、あともう一個『FOOTBALL FREAKS』っていう番組があって、それはサッカーアナウンサーとスポーツ記者の3人しかいないっていう(※4人のこともある)。
 プロ選手がいない。サッカー好きおじさんが集まって、試合結果を受けてファンとしてあーだこーだ言う番組。アナウンサーとか記者だからめちゃくちゃ詳しくて、それぞれに好きなチームとか好きな国リーグがあって、ディスりあったり、あんたの好きなチームまた負けたね、うるせえ、とか言ってる。これはこれで面白い。しゃべりがうまい人たちなんで。

 そういう風に、試合以外の、DAZNでしか見られないサッカーの番組がめっちゃある。『Jリーグ ジャッジリプレイ』っていう、審判がどうだったかを議論するマニアックな番組とか。

 それからDAZNには『Jリーグプレビューショー』という番組があって、私はこれがけっこう好きで。
 今まで(自分は)予備知識なく試合結果だけ見て、ああこっちが勝ったんだ、という感じだったんですけど、この番組は“プレビュー”ショーですから、試合をやる前に例えば「明日横浜マリノス対鹿島アントラーズがあります」、で「横浜F・マリノスは直近5試合4勝1敗で鹿島アントラーズは2勝3敗です」「だからマリノスのほうが調子がいいけど、鹿島も直前の試合は勝ってるので、これでマリノスを倒して波に乗りたいところです」「活躍しそうな選手は誰々です」「お互いの戦術はこうなんで、中盤での争いがキーになります」というような情報を、選手への取材も入れながら教えてくれるので、試合への期待感が上がるんです。スポーツなんて結果がコンテンツの面白さの8割ぐらいを占めちゃってるんですけど、その中で結果が出る前のわくわく感をちゃんと演出してくれるので好きですね。

──予習ですね。

Gさん スポーツをずーっと見てきましたけど、予習の番組は今までほぼなかったです。

 で、これを見てtoto(※)を買ってます。

 totoはそれまでは、このチームのほうが強そうだからなー、って適当に予想を書いていましたけど、『Jリーグプレビューショー』を見るようになって「確かにこっちのチームが勝つかも!?」とか思うので、totoがすごく面白くなりました。
 とは言えほぼ外れるんですけど、でもtotoの収益はサッカーに使われるって書いてあるので(※正しくは "スポーツの振興のために”使われているとある)、寄付してるつもりで買ってます。ただ当てたいというより寄付目当てでやってるので、大義では(笑)。当てたいですけど(笑)。

 ※toto(トト) スポーツ振興くじ(サッカーくじ)の愛称。サッカーの試合結果あるいは各チームの得点数を予想し投票する。的中すると当せん金を受けとることができる。収益は、選手や指導者の育成、グラウンドの芝生化、地域のスポーツ施設の整備など日本のスポーツの振興のために役立てられている。参考: Wikipediaスポーツ振興くじ助成の仕組みと収益の使いみち 

──(笑) 外れても、貢献できてると。いい仕組みですね。

Gさん 収益が使われて、選手たちが強くなって、日本のサッカーが強くなって、となっていくであろうサイクルができてるんですね。

(※掲載している情報はすべて、今後変更の可能性があります。)

超絶うまくできてるサイクル

Gさん サイクルの話で言えば、(自分は)サッカーに興味が出て、お金出してでもサッカーが見たくなったり情報を知りたくなってDAZNに入って、DAZNにお金を落としてるわけですけど、 DAZNが放映権を買ってJリーグにお金が入って、Jリーグが各チームにお金を分配して、各チームはそれで強化して、ファンはまたサッカーを楽しんで、と、すごくいい流れができてるんじゃないですかね。それを最初に作った人すげーな、と思います。

 強化して実力を上げた選手が移籍して元のチームに移籍金が入って、選手自体はどんどん有名になって強いチームに入ってお金をいっぱいもらえるようになって、引退したらDAZNの番組に出て解説して、っていうセカンドキャリアもちゃんとサポートして。で、そのプロのテクニックと経験が番組で共有されて、それを高校生が見て、サッカー強くなって、クラブチーム入って、クラブチーム強くなってと、超絶うまくできてる。だから飽きないのかもしれません。

応援するチームを作りたい

──サッカーの全体的な感じが面白いとなると、特に贔屓(ひいき)のチームはない?

Gさん うーん、作ろうとは思ってるんですけどね。何個か候補のチームはあるんですが。

──なぜ作ろうと?

Gさん 優先度がつくじゃないですか。
 例えば、全試合は見られなくても、このチームの試合だけは見よう、とかできるので、ハリが出るというか。

──なるほど。
 自然と好きになっちゃうチームがあるとかじゃなくて、作ろうと思って作るもの?

Gさん いや、なんか、(自分はチームのことを)知らないと好きになれないっていうところがあって。

 例えばどのチームにも歴史がある。鹿島だったらジーコが作って勝利の哲学を植え付けたチームで強い、とか、横浜F・マリノスは横浜フリューゲルスがなくなった後にユースで作ったチームで、またJ1に戻ってくるぐらい強くなったとか、ガンバ大阪は3点取られても4点取れみたいな感じのサッカーだった時代があるとか、各チームにそんな歴史と、サッカーに対するポリシーがある。チームの歴史と、ポリシーと、選手っていう3要素(で応援するチームを選びたい)。

 あと場所か。例えば沖縄のチームを(在住の関東で)応援するのはなかなかしんどいでしょ。

──見に行けないから?

Gさん うん、見に行けないから、住んでいるところの近くがいいですねー。遠くでもいいんですけど、ちょっと優先度が変わるじゃないですか。

 まずJリーグで好きなチームを作りたいですね。出身地のチームか、(在住の関東の)鹿島アントラーズか、湘南ベルマーレか、横浜F・マリノス、FC東京の5つが候補かな。

──川崎フロンターレは?

Gさん 川崎は……強すぎるな。でも川崎も確かに近いし(いいかもしれない)。近いのは重要です。

──強すぎるとだめですか?応援しがいがない?

Gさん いや、だめじゃないし、試合結果とかめっちゃ見てますよ。でもなんか……「強いから好き」みたいな感じになるじゃないですか。

──「強いから好き」じゃだめなんですか?野球だと巨人が好きでしたよね(笑)。

Gさん 確かにね。まあでも、川崎は好きですよ、はい。大丈夫です。

──大丈夫です、って何ですか(笑)。

「引退」が好き

Gさん あと、(自分は)スポーツ全般で引退がけっこう好きです。

──引退が好きとは、どういうこと?

Gさん 誰がいつどういうタイミングで引退するのかとか。スポーツ選手がガチでやってる中で、ケガして人知れず辞めてくパターンや、華々しく「ありがとー!」みたいな感じで花道作って辞めてくパターンがあったりいろいろなので、どういう引退の仕方かを見たりとかするのが好きです。

 J1に出られなくなっても、J2に年齢高いままスライドしていって、引退せずにずっとサッカーやり続けるみたいな人もいますよね。カズとか、中村俊介もまあ、そうですけど。そういう形で自分もサッカーやりながら若手育成も、みたいな感じの人とかもいますし。

 スポーツ選手にとって引退って一回死ぬみたいなもので、ずっとがんばってきたことがちゃんとひと区切りつくところだから、まあなんか……面白いんですね。引退はスポーツ選手の1キャリアの、最後だから。
 引退する人って絶対毎年出てくるものでしょ。ドラマチックで好きですね。

──選手が引退する、となると、わくわくする気持ちに?

Gさん いや、わくわくではないけど(笑)。寂しいですけど。

 引退の仕方もその人それぞれの考え方ですしね。内田(篤人)みたいに、第一線でできなくなって、膝もぶっ壊れて、チームにも迷惑かけてるからと32〜3歳でも引退しますというような人もいる。手術すればまだなんとかなったのかもしれないし、どうにもならなかったかもしれない、でもシーズン途中でもう迷惑かけてるから辞めますという決断を彼はした。

 そんな人もいれば、一回辞めたけどまたクラブチームの選考試験を受け直したり、戦力外だからもう来年はいりませんってチームから言われて、でもサッカーをやりたいから歩き回ってチームを探して、J2とかJ3の下のほうのチームに入り直して頑張るって選手もいるし、ケガがどうにも治んなくて辞めるとかもあるし、20代で、プロ入ってこれから稼ぐって時に病気で辞めざるを得ない人もいますから。

 人生模様……みたいなものが見えるというか。

 (自分が)同じ立場だったらどうするんだろう、ということを考えさせられたりもするから、なんか、知らないうちにいなかった、とかよりも、ちゃんと(引退の様を)知ったほうが私自身のためになるかなって。本当にいろんな選手がいるから。

  例えば、日本に来た外国人選手が、置いてきた家族が大きい病気にかかったから辞めます、とか。コロナ以後、どうしても地元に帰りたいからという理由で急に辞めちゃう外国人選手とかもいる。そうですよね……と思ったり。
 ずーっとそのクラブでやっていたのに32〜3歳になって急に切られて、長年育ててもらってきたけど関係性がこじれて、最後はすごく苦々しい形でそのチームを去らないといけなくなって……とか。今まで頑張ってきたのに花道なしですか、みたいなパターンもありますね。

──いろんなものが見えるのが「引退」なんですね。

Gさん そうですね。

 いろんなコンテンツがある中で(自分が)スポーツを一番見ているのは、人生模様が出るからですね。
 
 やっぱり、スポーツの「事実は小説より奇なり」のようなところが私にとって面白いんだなと思います。

(終わり)

※特定のサービス名等が出てきますがプロモーションではありません。
※個人の記憶と意見と感想に基づくお話です。
※サービスの内容はインタビュー当時の情報であり、今後変更の可能性があります。

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