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「幸せは遠くから来ない」公募インタビュー#26

(坂元 裕星さん 2020年10月下旬)

コミュニティハウス「アオイエ」の代表を務め、人々のコミュニケーションを日々バックアップしている坂元さん。私たちにとって大切なものは何なのか、ご自身が感じていることをお聞かせいただきました。

※上の写真は、ネパールの子供たちと坂元さん(右上)。

アオイエ 現在、東京・京都・大阪に15の物件を構えるシェアハウス。「みんな表現者」をコンセプトとし、ゼミや合宿などのイベントを行ったり、カーシェアや農園との提携など、生活を豊かにするサービスも充実している。
坂元さんは元々住人としてアオイエに住んでいるうち、前代表に誘われ運営に関わるようになり、コミュニティマネージャー、執行役員を経て代表に就任。現在もアオイエの1つに住みながら、マネジメント、企画運営、広報など経営全般に携わっている。

テクノロジーと情報の渦の中で

──事前のやりとりで、幸せとは何か、といったことを話したいと書いてくださいましたね。

坂元さん(以下、サ) はい。えーと、その時(インタビューの応募時)、僕、何考えてたんですかね(笑)。

 うーん。今の日本の人口を見ると、20代は1千200万人※しかいなくて、65歳以上は3千600万人なんですね。65歳以上のところに今一番お金があるとされて、そこからどれだけお金を落としてもらうかが、世のビジネスの焦点になっている状態です。
 20代は今1千200万人でも、毎年5万人ずつ子供が減っているってことは自分たち(※坂元さんは現在25歳)の10歳下20歳下ってもっと人数が少ないんですよね。その人たちのために今何かしておかないと、今度は自分たちが高齢者になった時に日本は絶対やばいなと思うわけです。

 そういったことを考えると、今はビジネスビジネスしたことじゃなくて、どうしたらみんなが幸せに生きていけるのかっていうことを考えなきゃいけない段階にあると思うんですよ。ライバル企業云々とかそんなこと言ってる場合じゃないというか。

※人口についてはすべておおよその値。(人口の分布について参考:総務庁統計局ホームページ

 今もこうやってzoomでお話しさせていただいているんですけど、今はテクノロジーに対してたくさんのお金と時間が使われていて、これが果たして、今の日本の人たちにとって良いことなのかなと。僕は、本来必要なものって心のところだと思うんですよね。ニュースを見ていても、人の幸せとか悩みは、全部人間関係から来ていると思う。人間関係においては、僕は(対面の)コミュニケーションというものが絶対大事だと思っています。そこには文面や画面だけじゃ伝わらない何かがある。
 で、人とのコミュニケーションを作る、大切にする会社とかサービスってなかなかないなと思うんですよね。だから今、アオイエというコミュニティをさせていただいてるんですけど。

 自分が中学3年生ぐらいの時にスライドの携帯とかスマートフォンが出てきたと思うんですけど、今の高校生は生まれた時からスマートフォンがあるわけですよ。自分は中学生の時までは世界にどんな人がいて、世界の人がどんなことをしていて、どんな夢を持ってるかなんて、情報がなかったから知らなかった。だからこそどんな夢を語っても良かったし、選択する幅が狭かったがゆえに、これが幸せだなっていうものが見えていたんですよ。だから大学に行く、そして就職するっていう頭しかなかった。それを選べば安心という王道があったんですよ。

 でも今って、夢を持ってなきゃいけないし、目標を持っていなきゃいけないし、それを叶えればすごい、叶えていなければすごくないみたいに言われていて。例えば「僕の夢はサラリーマンです」と言ったら、「それってすぐになれるじゃん」と言われる。すごいとされないことはやってはいけないこと・なってはいけないものみたいになってると思うんですよ。
 情報がたくさん入ってくるようになって、普通・普通じゃないといったレッテルのようなものが作られることが今すごく多い。それは違うんじゃないのかなと思っていて。

 自分がどうなったら幸せなのかにフォーカスして考えなきゃいけないのに、他人の情報と比べてしまって、世間的に幸せなのか・幸せじゃないのかといった基準で測られているというか。それがすごく悲しいなと思ったんですよね。

ネパールとの出会い/心からの笑顔

サ 僕は大学4年生の時に休学して、ネパールに1年間学校の先生をしに行っていました。それまでは東京で一人暮らしをしていて、学費も生活費も全部自分で賄わなきゃいけない、いわゆる苦学生だったんですよね。週に7日ぐらい働いていたから、学校行ってバイト行って、学校行ってバイト行って。その時はお金のために働いていたんですよ。

 そうやって表参道の飲食店で働いている時に、出稼ぎで働きに来ているネパール人20人ぐらいに出会いました。彼らも自分も毎日働いていたんですけど、彼らは働いていてすごく幸せそうなんですね。どうしてそんなに幸せそうなのか聞いたら、とりあえず国へ行ってみなさいって言われたんです。それで、ネパールへバックパッカーでまずは10日間ぐらい行きました。

 そしてネパールで言われたんですよ、「心からの笑顔の方がお金よりも大事だ」って。びっくりしました。お金がない地域にはお金があった方が絶対いいだろうと思ったし、自分もお金のために働いていて、お金なんてもらえばもらうほどいいって思っていたから。でも、よくよく考えたら、最後に心から笑ったのっていつだっただろうと思って。確かにお金があっても心から笑ってるとは限らない。心から笑って、その上でお金があったらいいんじゃないかって感じられた。
 そしてこの先の人生のために1年間ぐらいネパールにいたいと思って、いろいろ動いたら学校の先生をやりませんかって言ってくださる団体の方がいて、1年間滞在することになりました。

居場所があるから感じられることがある

サ それまで僕が日本で一人暮らしをして感じていたのは、隣に誰が住んでるのかもわからないし、電車に乗ると、1日の始まりなのにみんな地獄に行くような感じで。コンビニに行ったら一言も言葉を発さずに物を買えるし、ファーストフードに行っても携帯や本とにらめっこしていたりで、人間と対面で向き合う時間よりもテクノロジーと向き合う時間の方が長いというか。居酒屋に行っても、自分で選んだ会社、自分で選んだ環境なのにそれに対して悪口を言っている人がいて。周りを見渡しても心から笑顔でいる人が全然いないな、楽しいのかなって思うことがいっぱいあった。

 それを感じたままネパールに行ったら、笑顔でいる人がめっちゃくちゃいたんですよ。自分たちよりお金がないはずなのに、すんごい笑っていて、すんごい楽しそうだった。確かに彼らはお金がないかもしれないけど、そこには心からの笑顔があって、なんでそれが日本人にはなかなか難しいんだろうと思いました。

 ネパールでは、水道も電気もガスもないようなところに住んでいました。携帯も2Gだったので、雨とか霧になれば携帯は全然つながらなくなって、情報が見られなかった。でも1年間外部の情報がなくても生きていけたんですよ。やっぱり大事にしなきゃいけないのは目の前の環境、目の前の人で、そこにフォーカスして生きてるだけですんごい幸せだったんですよね。
 情報が入ってこないから、北朝鮮が日本に向かってミサイル打ったことも知らなかったし、他にも、自殺する人が何人いるか、不倫してる人が、わいせつ行為が、なんてニュースを全然知らなかったんですよ。なくてもいい情報に悲しくなることもなかった。その環境で生きて暮らしていたあの時は、すごく心が楽だったというか。

 僕がなぜネパールで幸せを感じることができたのかを考えると、ネパールには自分のことをみんなが知っているコミュニティがあって、そこに帰れば絶対誰かがいて話を聞いてくれたり、助け合いがあったりして、すごく安心感があったんですよね。

 そういうコミュニティが日本にあったらすてきだなと思って、帰国後に住み始めたシェアハウスがアオイエだったんです(※坂元さんは元は住人としてアオイエに住み始めた)。(住人として住みながら)ネパールにあったような、目の前の人やことを大事にできるようなコミュニティづくりを目指していました。
 でもそのためには、自分にとっての幸せが一体何なのかを(住む人)それぞれがわかっていないと駄目ですね。生まれて育った環境が違うということは、価値観や考えは一人一人違う。「うれしい」というこの一言ですら、あの人のうれしいと自分のうれしいは絶対違うのに、言葉1つで同じように捉えられてしまうこの日本では、それがすごく難しいんだなっていうふうに感じましたね。

 自分がなぜそれが楽しくて、なぜそれが悲しくて、なぜそれが苦しいと感じるか、それがわかっていない人が多いと思うんですよね。他人からなんと言われようが、私はこう思うんだ俺はこういうふうに生きていくんだっていうのがあったら、きっとすごく生きていきやすいし、それを否定も軽視もしない、それが当たり前だと認めるようなコミュニティがあれば、みんながもっと幸せを感じて生きていけるんじゃないかと思います。

目の前に焦点を合わせて

サ 幸せって遠くから来ないと思うんです。本当に大事にしなきゃいけない人って絶対そばにいるから、目の前のこと、目の前の人、近くにフォーカスしてほしいんです。それを一つ一つ大事にできるかが自分の幸せにつながってくると思うし。
 「おかしい」とか「できない」とか、遠くから言ってくる人っているじゃないですか、それってどうでもいいと思うんですよ。そこに考える時間とかお金を使うんだったら、自分が大切にできる人、自分を大切にしてくれる人に使った方がいいと思うんですよ。

 環境が変われば自分が変わる、みたいに思ってアオイエに入居してくださる方も多いんですけど、環境を変えたいと思ったあなたはそもそももう変わり始めてるよ、すごくすてきなことだよと思います。
 環境が人を変えると思っている人って何回も同じことを繰り返しちゃうんですよね。例えば、パソコンがみんなに配られれば学生がみんな勉強するかと言えば、もともと勉強する子はパソコンが来ても来なくても勉強するし、もともと遊んでる子はパソコンが来ても遊ぶ。

 今まで生きてきた何年間かが、全部自分の教科書なんですよね。何回も泣いても悔しくてもいろんな感情を経験して、それでも立ち上がって今生きてるっていうのはみんな一緒だと思うんですよ。だから、なぜあの時自分は立ち上がれて、なぜあの時自分はそういう感情になったのかを、一回振り返ってほしいんですよ。そうすれば、あの時こういうふうに乗り越えた、あの時はこういう感情だった、こういうふうにしたから大丈夫だったということがわかって、自分の思考が変わる。それによってそれからの環境と行動を変えることができて、うまくいったら自分の心が安定するから、その人にしか感じられない価値観、考え、行動を手にして、目標が出てくると思うんですよ。そしてそれが幸せにつながっていくのかなと。

 幸せと言っても、大きな家とかいっぱいあるお金とかそういう外的なものじゃないです。自分の心にフォーカスして自分の幸せはこれだっていうのがわかっていれば、それは勝手についてくると思うので。

 ネパールにはあったと思うんですよね、みんなが心から笑える生活をするためにはどうしたらいいのかを考えていたコミュニティが。それを作っていきたいです。みんなの幸せにめっちゃつながってくると思うので。

 インタビューに応募した時、僕はこの話をたぶんしたかったのかな(笑)。頭を整理して、自分の言葉で発言するというか。

 なんか、僕は今までSNSとか大っ嫌いで。自分のことを(SNS上で)言うとマウントみたいになっちゃうし。
 SNSで生きていくと、SNSに対しての言葉を考えたり、SNSのために写真を撮るとかっていうマインドになっちゃう。それがすごく嫌なんですよ。現実を生きてるのに、(SNSには)知られないでいいはずのこととか知りたくない情報とかがたくさんあって、(そういう場で)自分から発信するのは好きじゃなかったんですよね。

 でも、僕の考えを人に話すとすごくいいって言ってくれる方が多いので、もっと広めた方がいいんじゃないのかなって思った時に、インタビューってすごくいいなと思ったんですよ(笑)。1対1で話して、それを文章にしてくれて、それを見た人がいろいろ感じとってくれるって、一番すてきだなと。それで(インタビュアー田中に)声をかけさせていただいたんですよね、たぶん(笑)。

みんな、違うよね

──坂元さんがコミュニティハウス(=シェアハウス)を運営するのは、目の前の人やことにフォーカスすることで自分の幸せを考えてほしいから?

サ そう、ですね。例えば、(シェアハウスで複数人で生活していると)皿を洗ってない問題ってめっちゃ出てくるんですよね。自分の生まれて育ってきた家は、夕食が済んだら翌日の朝に食器を全部洗う家だったんで、自分は食べ終わっても置いておいて次の日の朝に洗う人なんです。でも、アオイエに住んでいる人の7割ぐらいは、すぐに洗う人なんですよね。そうなると、なんで洗ってないんだろと思われるんですけど、でも僕としては次の日の朝に洗うっていう価値観であって、洗わないとは言ってないんですね。
 そういう、皿を洗うこと一つとっても価値観がこんなにも違うのかっていうのを、シェアハウスに住むのを通して知ってもらいたい、感じとってもらいたいんです。

 言葉にしても行動にしても、“みんな同じ”というマインドでコミュニケーションしてる人って多いと思うんですよ。「わかるわかる」って言う人めっちゃ多いんですけど、「いやわかんねーだろ」って僕は思うんですよね(笑)。僕は僕の人生でそういうふうに思ったのに、君の人生で同じようには絶対に思わないでしょ、って。1回、レッテルとか、固定された概念とか考えを外して、全部リアルに体験してほしい
 もう1つ例を挙げれば、なんで(共用のトイレで)立ちションをしてはいけないルールをみんなは作ったのか、とか。それは(飛沫が)飛ぶからでしょ、誰が掃除するの、と。でも家では立ってしてましたよ、それはお母さんが掃除してくれてたんだよ、みたいなこと。そういったことさえも、住むのを通して、会話を通して学んでほしいんですよ。

 コミュニケーションってどこでも大事だと思うんですよ。会社でも学校でも、彼女できても、家族とでも、どこに行っても大事だと思う。自分がいいと思ってても相手がだめって言うなら、なぜなんだろうと、一回考えようと。それを経て、ああ自分ってこういう人なんだ、こういう価値観があるんだと本当の自分がわかった時に、初めてちゃんと人に(自分のことや自分の意見を)伝えられると思うんですよ。僕も、自分が皿を食後すぐ洗わないで次の日洗う人なんだというのは、住むまでわかんなかったわけですよね。

 でね、それを自分でわかって、ちゃんと人に言っていれば、次は周りの人が守ってくれるようになるんです。新しく入居した人が、なんでこの皿洗ってないんだろうって怒って言った時に、(その場にいる他の人が)「ああ大丈夫大丈夫、この人は次の日の朝に洗う人だから」っていうふうに言ってくれる。
 それっていろいろな場面で役に立つと思うんですよ。飲めないのに頑張ってお酒を飲んで、お酒を飲む人だってレッテルを張られてしまった人は、次からお酒に誘われるのが嫌になってしまうかもしれない。でもちゃんと「俺、実はお酒飲めないんだ」って言える相手が一人でもいたら、次はその人が守ってくれると思うんですよ。「実はこいつお酒が飲めないんだけど、あの時は君が入居してくれてうれしかったから飲んでただけなんだよね」とか。そういうふうにならなきゃいけないと思うんですよ。偽りの自分を演じてしまって、その偽りの自分を本物の自分だと思われてしまったら、すっごい生きづらくなっちゃう。シェアハウスというコミュニティを通して、そういったのもひっくるめて学んでもらいたいし感じてもらいたいというのもあります。

 アオイエの中でコミュニケーションがすごくうまくなったという方がいました。その後、今まですごく仲が悪かった親御さんともコミュニケーションができるようになって、仲良くなれましたって言ってくださって。

 少子化で日本の今後やばいよねって言われてる中でも、自分たちのコミュニティだけは、ここがあれば最低限の生活ができて、ここがあれば大丈夫だって思われるような、そういった場所でありたい、そういった場所であり続けたいなと思いますね。

坂元さんが感じる、遠目で見る幸せ

──坂元さんご自身の、幸せだと思う瞬間は?

サ 今はみんなが笑顔でいる空間を作れてるということが一番幸せなんですけど、具体的にどういった時かというと、イベントとか合宿とかをしていて、自分が前に立ってやるっていうよりも、コミュニティを作っているのは正直自分なんだけど、それをみんながあんまり感じておらずに、そこにいるみんなが笑顔になっているのを遠くから見るのが一番幸せですね。遠目で見て思うくらいがちょうどよくて(笑)。

 あと、今コミュニティやってて思うのは、「住んで本当によかった」「住んで人生変わった」とか、「このコミュニティがあったから今うまく生きてる」とか、言葉で言われるとすごくうれしいですね。ビジネスとして数字として成功していても、うれしいとは思うんですけど、心からうれしいわけじゃないというか。やっぱり結局人なんだなと思います。

──みんなが笑顔になってるのを遠目で見ているのが一番っていうのはどうしてなんでしょう?

サ なんでなんだろう。たぶん、それがかっこいいと思ってるだけだと思います(笑)。『ミッション:インポッシブル』みたいな感じですね。「めっちゃ頑張って世界救ってるのは俺なんだけど、みんな俺を誰も知らない」みたいな、あれが一番かっこいいと思うんですよ(笑)。そういうのがちょうどいい。

──(笑) 俺がやったぞと言いたいわけじゃないんですね。

サ 自分がやったぞと思えたらいいんですよ。みんなからやってねーだろって言われても、いや俺はやったんだって思えてたらそれでいいし(笑)、でもみんなからやってると言われると逆にまだまだだなって思っちゃうから、自分で思うぐらいがちょうどいい。みんな笑顔になってるな、うれしそうだな楽しそうだなって思うぐらいがちょうどいいです。

──コミュニティが成熟していって、坂元さんの手を離れていったところでみんなが幸せになっていくのでもいいですか?

サ 全然いいですね。

ネパールにいつか恩返しを

──ネパールでは1年間、ネパールの小学生に英語を教えていたんでしたっけ?

サ そうですね、下は5歳ぐらいから、上は14歳ぐらいですね。
 (先程の質問「どんな瞬間が幸せか」で言えば)ネパールでは、子供たちの笑顔を見るのがうれしいというか、もう、最高、って感じでしたね。その時は(遠目に見て、ではなく)一緒に遊んだり何かを教えたり、自分が何かすることで子供たちに笑顔になってもらうのがうれしかったですね。成長を感じるのもうれしかったですし。

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ネパールの子供たちと坂元さん(写真下・中央)

──ネパールでの体験は今の坂元さんの芯のようなものになっている?

サ ネパールでのことは大きいですね。恩返ししたいなってずっと思っていて、いつかネパールで何かできたらなって思ってます。日本でやりたいことは今のところコミュニティしかないのですが、コミュニティにはな無限の可能性があって、飲食とかアパレルとかメディアとか組み合わせたり、保険とか地域通貨も作れるしいろんなことができるので、コミュニティは日本でやりたい。

 日本で自分で使う以上のお金を持ったら、ネパールに全部恩返ししたいです。ネパールの子供たちの笑顔をどういうふうに守れるのかを考えたいですね。

「笑顔のもと」

──心からの笑顔って、今の日本だと難しいことなんですかね……

サ インタビュアー田中さんってあまり笑わないですか?

──うーん、どうなんでしょう。

サ (笑) 僕、笑わなさそうな人を笑わすのめっちゃ好きなんです。すごく怖そうな人も、笑顔ってみんなかわいいじゃないですか。笑うとなんだかわいいじゃんみたいな(笑)。そういった瞬間見るのがめっちゃ好きなんです。

──人を笑わすのって難しいですよね。

サ 「全然笑わないっすね」とか言っても笑いますよ、たぶん(笑)。でも心からっていうのはちょっと難しいかもしれないですね。ツボに入れるみたいなのはけっこう難しいなと思うから、お笑い芸人の人たちってすごいなと思いますよ。

 でも、たぶん、人ってあんまり一人で笑わないじゃないですか。動画とかお笑い(番組)を見てても、一人でツボる人はあまりいないと思うし。誰かといる瞬間が一番笑顔になれる可能性があるんだとしたら、やっぱり人といるというのが大事かなと思いますね。

 人といると、「おいしい」とかだけで笑えるじゃないですか。一人で食べてておいしいと思ってもあんまり笑えないですけど、「これおいしいね」って笑えるのって、他人がいるからだと思う。難しいですけど、人といるのが笑顔への第一歩かなという感じがありますね。

(終わり)

※アオイエのサービス等の記載については、インタビュー当時のものです。今後変更の可能性もあります。
※今回はご本人のご意向を確認の上、お名前を記載しています。(普段は匿名のインタビューを基本としています。)
※画像はすべて許可を得て掲載しております。


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