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イズモアリタさんへのインタビュー/第4回「いくらでも未来を創造できる」

テキスタイル作家のイズモアリタさんにインタビューしました。
先行きが見えない時代というのは、不安を感じるもの。

でも、自分を整えたら、いくらでも望む未来を創造することができるんです。

それをサポートしてくれるツールの1つが、タロットカード。
アリタさんがデザインしたタロットデッキ「ALRESCHAアルリシア22」と共に解説していただきました。

未来は自分の中で作れる

私が提案してるのは、「全部自分の中で作れるよ」ということです。

外から来る未来に支配されて、怖がったり一喜一憂したり絶望したりするんじゃなくてね。

じゃあどうしたら自分の中で作れるのかっていうと、自分を整えたらできるんです。

不都合な未来を投影する元がわかれば、チューニングできる。
被害者にも加害者にもならず、とてもクリエイティブに楽しんでいく未来を作っていくことができます。

ーーじゃあタロットって未来を楽しんでいくことをサポートしてくれるツールっていう感じなんでしょうか?

リスクを回避することもできます。
こんなことを思い続けると、こんなトラブルが起きるようになる、と事前に知ることができるようになる。

こんな物を食べ続けるとこんな病気になる、とかいうのと一緒です(笑)
「ちょっとこの食べ方違うんじゃないか」と思いますよね。

仕事でも

「このやり方って自分を追い込みすぎてる。
もう少し時間のゆとりを持ちつつ、ちゃんとクオリティを高めて納期にも間に合う。
そんな、もっとシンプルでスマートな方法あるよね」

とか、チューニングすることによって、体を壊さずにいい仕事をずっと続けていけるようになる。

不可抗力みたいなこともあるじゃないですか、地震とか。
そういうことに対しても、ただ不安に思うんじゃなくて「こういう備えをしておくといいよね」と考える。

全て自分の手の内にあるんですよ。
自由を取り戻すっていうのかな。

外から来ることに対して恐れを抱きながら、どうなるのどうなるのって言うのは、結局外に依存しちゃってる状態なんです。
闇は深まるばかり(笑)

自分に主導権を戻すために、ちゃんと自分を見る。
タロットはそのためのツールですね。

ーーアリタさんはプロデューサーの自分もいると仰っていました。

タロットってプロデューサー的な感じもありますね。

確かにそうですね。

闇を救済する

ーーALRESCHAアルリシア22ってすごくカードの絵がかわいいなと思いました。

何かこういう気持ちでデザインしたとかありますか?

9歳からタロットをやってますが、ニチユーさんからオファーを受けてから3か月は、もう1回再勉強したんですよ。

タロットの背景には、東洋と西洋をまたいで伝承された智慧ちえってのがあるんですよね。

アレクサンドリアっていう図書館に、当時の東洋と西洋の智慧ちえが1回全部集結して、ルネッサンス期にもう1回それがヨーロッパに入った経緯があるわけ。

そのルネッサンス期頃にタロットって成立している。
そこから約500年の間に、いろんな変化を見せるわけです。

その歴史を総ざらい、16世紀から20世紀にかけて、もう1回勉強したんですよ。

ヨーロッパにおける東洋の影響とか、ヨーロッパそのもののフォークロア(民間伝承)とか、あるいは当時のヨーロッパを支配したキリスト教的なものとか。

古くはエジプトとか、イスラエルとか、あるいはもっと遠く、インドや中国から伝来した智慧ちえが融合したものが、タロットには含まれてるんです。

魔女狩りとか、科学的な発見を語ると捕まって、ヘタすると命を失うとか、そんな時代のことも全部見えてきました。

過去にあったよくない可能性って未来にもあるわけですけど、自分を見ることによってそれを回避できるし、もっといいクリエイティブなエネルギーに変換できる。
そういう思いをずっと持ってますね。

単にワクワクして楽しいっていうのはテキスタイルの時やってました。

闇もちゃんと見ながら、その闇を救済するっていうのかな、闇を咎めないで包み込むみたいな。

なんかそういうイマジネーションの中で、最終的に「光あれ」みたいな感覚があります。
だから、タロットはテキスタイルを描いた時のモチーフよりも深いかも。

本当に大変な悩みを抱えた人が、札をめくった時に、何かそこに希望の光があるように。
「できる」っていうね。

本当に大変な時に乗り越えられるような札になってほしいなっていう思いはありましたね。

ーーALRESCHAアルリシア22は解説書もアリタさんが書かれていますが、すごく文章が優しいですよね。

タロットの逆位置って何となくダメな印象を持ってたんですけど、解説書を読んで「あ、大丈夫なんだな」って思えました。

例えば「太陽」の逆位置の解説に

「意見がぶつかるとき。
相手の事情を丁寧に確認することで深い共感が生まれる。
不安や無気力に襲われたなら初心を鮮やかに思い出すこと」

とあります。
結果的に深い共感が生まれることに繋がってる、というメッセージがすごく優しいなあと思いました。

解説書を書かれる時に意識したことって何かありますか?


これは仕事のミーティングでもそうなんですけど、問題提議する時は、ちゃんとその解決もセットで表現するってことですね。

「これダメじゃん」て言いやすいんですよ。
そう言い放つことは簡単です。
だけど、全員が「これダメじゃん」って言っても何も進まない。

「これはこういうリスクがあるからダメだ」と言う時、同時に「こういう視点で見ればいいんじゃないか」と解決方法もあわせて思考するっていうのが、ある種マナーかなっていうのがあります。

それを鍛えるのは自分のプロデューサーが苦労しながら培ったことで(笑)

朝、「さあがんばるぞ」って善意の人がすごくニコニコしてカードを引いたら、逆位置だった。
それでガクンってさせるのはダメだと思ったんですよ、描き手として。

「あ、これに注意したらいいのね、よかった♪」ってなった方がいい。
ワクワクしてカードを引いた人が、そのまま元気よく会社に行けたり、その日のイベントを楽しめたりするカードにしたいって思いがありました。

自分の眼前に広がるものに善意を見る

ーーアリタさんがデザインしたハンカチ「星の階梯 かいてい」のことを教えていただけますか?

今回、ニチユーさんのご厚意で、ALRESCHAアルリシア22はドイツのAGM社で印刷しました。
タロットカードの印刷所として最もクオリティの高いところです。

ただ、コロナの影響で、世界的に工場の生産ラインが麻痺していました。
ドイツの印刷工場の流れでは、出版は5月になるよって話でした。
日本の工場だと3か月でできる印刷が、半年かかるという状況になってたんです。

2月22日をイベント日としたかった。
ALRESCHAアルリシア22は大アルカナだけのタロットで、カードの数は22枚です。
私が箱にデザインした生命の木の葉っぱも22枚あるんですね。

今年は2022年で、2が合わさる2月22日に何かしておきたかった。
「星の階梯 かいてい」はタロットをシャッフルするデザインのハンカチで、2月22日にH TOKYOさんっていうハンカチ専門店から発売されました。

三宿にすごく素敵なアンテナショップがあるんですけど、発売日にそこで展示会もさせていただきました。

丸の内のKITTEでも巡回展をしたんですよ。

ハンカチはタロットの裏と同じコンセプトのデザインになっています。

階段があって、7つ上がっていくとね、三角になっていて、それ以上上がれない感じになる。

ここまでは人間の営みなんですよね。

こっから先は、天使的というか、よりスピリチュアルな営みの7つの階段がある。
そこに1つの羽を授かるみたいな。

7つ上ってさらに7つ上ると、さらにもう1個隠れた7つの階段があるんですよ。

上にも7段7段とあって、上と下の階段を合わせると真ん中で結ぶラインが出てくる。

これ伝わりにくいかもしれないけどね。

翼が上と下に2つあるんですけど、その翼が合わさってでっかい大きな翼になる。
真ん中にブラックマターみたいに広がってる。

この大きな翼の奥に、3つ目の7つの階段が統合されてる。
こういう図案には1つの神秘的な力が宿るという発想です。
流れ星もね、人間的な認識に対してインスピレーションを与える感じ。

この上でタロットカードをシャッフルすると、その人にとって一番よき導きとしての鏡が現れてくる。
そういったイメージで描きましたね。

ーー大きな翼に包まれてシャッフルするみたいな感じですか?

そうですそうです。

ーーそれでは最後に1枚、このインタビューを読んでる方に向けて、このハンカチの上でタロットを引いていただいてもよろしいでしょうか?

このハンカチのコンセプトって、自分の眼前に広がるものに善意を見るということ。

それと自分の中のクリエイティブなものに信頼を置くってこと。
被害者になるとか、外から来るものにやっつけられるとかじゃなくてね。
自分自身を整えることでいくらでも未来を創造できる。

ワンオラクルっていうスタイルは、カードをシャッフルして1つにまとめて、3つにわけて、また1つに整えます。

で、上から7枚目を取る。

・・・おお、「ジャスティス」が出ましたね。

これは目隠しをしてる男女の顔が描かれてます。
男性性女性性っていうジェンダーや役割の垣根を超えている。

目を隠してるので、人間が目で見ることによるジャッジ、偏見、例えば肌の色とか、年齢とか、そういう固定概念に左右されません。

上に光ってるのは直感です。
大きな剣がカードのフレームを突っ切ってるんですけど、これは正しくあろうという意思。

波間に揺れてるのは、正義は相対的であるということです。
その時代とかエリアとか立場によって、正義は可変します。

1つの正義を決め付けると、誰かを裁いたり、不寛容が生じたりする。
常にシチュエーションに寄り添えば、正義というものを真摯に組み立てていける。

波間にあっても、きちんとその中で精一杯の正しさを目指す。
はかりは公正な状況判断をするためのものです。
そういったものがこの絵に含まれている。

お互いの偏見・バイアスを超えて、みんなにとって本当によいところにたどり着ける。
そんなカードが出ました。

ーーその時その時のベストでいけばいいよっていう感じでしょうか?

そういうことそういうこと。

ーーインタビューは以上です。
アリタさん、ありがとうございました!

ー完ー

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