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おきなわ島ふーどグランプリ最優秀作をプロデュース

6次産業化中央プランナーでもある岸菜賢一(きしな・けんいち)が開発を支援した「完熟シークヮーサー島胡椒」が今月、「おきなわ島ふーどグランプリ」の最優秀賞に選ばれました。商品開発の支援にかける思いを聞きました。


沖縄らしさをアピールできた


——「完熟シークヮーサー島胡椒」とは、どのような商品ですか。


久米島には、ヒハツモドキと呼ばれる細長い胡椒があります。完熟すると緑色が赤く変わり、風味も加わります。その特徴を生かそうと沖縄特産のシークヮーサーと唐辛子を加え、配合の割合を工夫しました。

シークヮーサーの酸味、島胡椒の甘味、発酵のまる味が混じって、満足できる味にたどり着くまで試行錯誤を繰り返しました。

ラベルも、私たちが提案したものです。島の形とシークヮーサー、唐辛子をデザインして沖縄らしさと南国風味をアピールしました。

「柚子胡椒」の柚子の代わりに、沖縄特産のシークヮーサーの皮と果汁を使ったと考えてください。激辛です。マグロの刺身、餃子や唐揚げ、鍋料理にもよく合います。


何回も試食を重ねましたが、辛いので少し試食するだけで、味がよくわからなくなります。味を決めるのに、とても悩みました。

そんな経過を経て、最優秀賞に選ばれて、本当に良かった。ほぼ満点の出来上がりだと思っています。

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——ほかの商品の開発も支援されたんですね。


最優秀賞に選ばれた「完熟シークヮーサー島胡椒」のほか、「オキナワ ブルーハワイ」、「久米島赤鶏 滋味スープ」、「とろーり もずくの甘醤油たれ」の開発も支援しました。


「オキナワ ブルーハワイ」は、お茶にして飲まれているバタフライピーの青色の液体に砂糖を溶かしてシロップをつくり、パッションフルーツの香りを加えています。合成着色料を使わない商品です。炭酸水で割ったらトロピカルな味のジュースになり、かき氷にかけることもできます。


「おきなわ島ふーどグランプリ」は、沖縄県産の農林水産物を使った加工品のナンバーワンを競います。6次産業化を目指す人材活性化事業の試みです。

私は専門家として、研修段階からかかわり、現地を訪ねたり、リモートで相談に乗ったりして、生産者と一緒になって、加工品の開発を支援しました。

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入り口から出口まで 支援のモットーに


——どんな思いで取り組んでいますか。


「世に存在しなかった商品をつくろう」「世界初の調味料を完成させよう」という意欲的な取り組みです。ものづくりが大好きな私にとっても、やりがいのある仕事になっています。


入り口から出口まで、をモットーに、やるからには徹底して応援したい。商品開発で終わりでなく、販路を開拓するまで見届けたい。事前面談から最後のフォローアップまで一貫して応援したいと考えています。


——それほど、沖縄に入れ込む理由を教えてください。


本州と沖縄には溝があります。過去の歴史があっても温かく純粋な沖縄の人が好きなんでしょうね。

「ないくるないさー」という沖縄の方言にも表現されているでしょう。沖縄の人たちの芯の強さにあこがれます。だから、これからも沖縄に通い続けたいと考えています。

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「チームきしな」のプレーイングマネジャーに


——スポーツチームの監督に自分をたとえていましたね。


サッカーのチームでいうなら、プレーイングマネジャーを目指したいのです。みんなが一緒になって、サッカーボールを追いかけるトータルフットボールのような形ですね。


人と人の横のつながりを大切にしたいと思います。


困っていない人は、6次産業化を目指す取り組みに手を挙げません。成果が出たら、素直に喜んでくれます。支援した相手の喜ぶ姿は、次の展開に向けた原動力になります。


1次産業の生産者、2次産業の加工業者、そして3次産業の流通・販売を担う私がうまく連携できたら、「1+2+3=6」と説明できる「チームきしな」になります。

そんな仕事を残していきたい。バイヤーとしての自分も、商品開発を支援する自分も大事にしていたい。


何でも、やってみようという精神を大切にしたい。やらない後悔はしなくないんです。

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チャレンジの連続 やりたいことはいっぱいある


——これから、どんなことを目指しますか。


セレクトショップ、木桶づくり、6次産業化と生産者の支援……。3年周期で新しいことにチャレンジしています。

困っている生産者の役に立つことをやり続けたい。きしな屋に並んでいる調味料を使うと、どんな食べ方がおすすめなのか、試食ができる飲食のお店を開きたい。

持ち帰りの総菜専門店でもいい。おいしい食べ物のメニューやレシピを開発するラボ(研究施設)も持ちたい。


やはり、人が大好きです。好きな人が困っていると放っておけない。好きな人と一緒になって、好きなことをやりたい。誰とつき合うかを大切にしたい。

やりたいことはいっぱいあります。岸菜賢一は、何を考えて何を目指している人間なのか。私を知っていただくことも、私の活動の「見える化」もやりたいと考えています。


岸菜賢一の過去のインタビューはこちら
vol,1「旅するバイヤー」のこだわりコロナ禍に〝買い支える〟ことの大切さ
vol,2 木桶には夢とロマンが詰まっている
vol,3 「困っている生産者を応援したい」 現場を支える6次化って?


語り手・岸菜 賢一
interval studio 食物販と商品開発 アドバイザー/客員コンサルタント
食のセレクトショップ「きしな屋」代表。木桶職人集団「結い物で繋ぐ会有限責任事業組合」代表。6次産業化中央プランナー。複数の食品メーカーで商品開発・品質管理・生産管理・営業に携わった後、食のセレクトショップ「きしな屋」を立ち上げる。食のプロフェッショナル目線で「旅するバイヤー」として自ら全国各地を駆け巡り安心と信頼性の高い食品を探し続ける。「きしな屋」店主の傍ら、6次産業化中央プランナーとして、全国各地の農林水産物生産者から依頼を受け、商品化の企画からデザイン、製造、品質管理、販路開拓、販売を手掛ける。また食品のみならず木桶文化の復活を目指して木桶職人集団「結い物で繋ぐ会」を主宰。伝統ある民芸品の普及にも取り組んでいる。
聞き手・中尾卓司
interval studio  “column”(note)欄 編集・監修
1966年、兵庫県篠山市生まれ。1990年、毎日新聞入社。
松山支局、奈良支局、大阪本社社会部、東京本社外信部、ウィーン特派員、岡山支局次長、社会部おおさか支局長を経て、社会部編集委員を歴任。
2020年3月、毎日新聞を退職後、新聞記者として30年の経験をもとに「情報発信の伴走支援サービス」として「つなぐ、つながる、つなげる」をテーマに新たな情報発信サービスや取材・執筆事業にチャレンジ。現在、大阪大学と関西大学で、「ジャーナリズム論」の非常勤講師も担当。



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