【中国語講座】イエンとユエン
新年度が始まって数カ月。もうすっかり落ち着いたところでしょうか。この4月から中国語を始めたという人も、もしかしたらいらっしゃるかもしれませんね。始めたばかりの生徒さんたちは発音とピンインに翻弄されているところといった感じでしょうか(笑)。
中国語の発音とピンイン、本当に覚えるのが大変ですよね。ピンインは、アルファベットをローマ字と同じように読むと間違えてしまうことが多々ありますからねぇ。
例えば「yu」は「ユー」ではありません。これは本当は「u」の上に点々のついたやつ、そう「ü(ウムラウト)」ですよね。ですから「ユー」ではなく「ウ」の口をしながら「イ」を言う感じです。
同じように「ju」「qu」「xu」の「u」も本当は「ü(ウムラウト)」ですから発音に気をつけなければなりません。
また鼻母音「-ian」も困りますよねぇ。
これは「イアン」と読んでしまいがち。例えば日本人に多い「田中」という苗字、ピンインで書くと
tián zhōng
となりますが、どうしても「ティアンチョン」と読みたくなりますし、実際中国語を始めて数年たってもまだ「ティアン」とか読む人がいて、力が抜けることがあります(笑)。
正しくは「ティエン」ですよね。
同じく鼻母音の「-üan」も困りものです。
最近はこれを「ユアン」と発音すると教える先生も多いようですが、僕の耳には「ユエン」にかなり近く聞こえます。例えば原西という人の苗字はピンインだとこうなりますよね。
yuán xī
この「yuan」という発音は、鼻母音「-üan」の前に子音が無い場合の綴り方です。ですからこれは「ユアン シー」というより「ユエン シー」のほうが実際の音に近いです。
どうもこの2つは覚えていただけていないことが多く、残念に思うのですが、ちょっと日本語の漢字音と比べてみましょう。
以下は「漢字(簡体字)、ピンイン、日本語の漢字、日本語の漢字音(音読み)」の順番で並べています。
盐 yán 塩 エン
烟 yān 煙 エン
钱 qián 銭 セン
田 tián 田 デン
天 tiān 天 テン
全 quán 全 ゼン
园 yuán 園 エン
权 quán 権 ケン
绢 juàn 絹 ケン
选 xuăn 選 セン
上に挙げたもの、日本語の漢字音(音読み)では全て「エ」段の音に「ン」がついていますね。「ア」段ではなく「エ」段なのです。
それがどうしたと言われればそれまでなのですが(笑)、僕はそれに気づいた時に、ちょっと納得しました。というか、覚えやすくなりました。日本語でも「エン」なんだなーと。
もちろん例外も結構あります。例えば:
院 yuàn 院 イン
颜 yán 顔 ガン
监 jiān 監 カン
劝 quàn 勧 カン
でも大多数の漢字では「エ」段の音に「ン」がついている発音なので、ああやはり漢字って中国から来たんだなぁと、愛おしくなりませんか?ならないか(苦笑)。
何が言いたいかというと、「なんで -ian でイエンって読むんだよ!」って嫌がっていても覚えられないので、自分の中でどうにか折り合いをつけて、楽しく覚えるほうが得だし覚えやすいですよってことですね(笑)。
語学って楽しいこともありますがつらいことも多々ありますよね。でもつらいことを愚痴っていても始まらないので、どうせなら自分をだましてでも楽しんじゃうほうが絶対得です。色々な方法で試してみてくださいね!
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