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【中国語講座】密接

※この記事は2022年7月に執筆されたものです。

世界がコロナに蹂躙される中、中国でもコロナ関連の報道は連日伝えられています。ちょっといくつか語彙を拾ってみましょう。

染疫人
rănyì rén

読んで字のごとく、感染した人です。感染者という感じよりなんか生々しく感じるのは僕だけでしょうか?

でももっと僕が「ちょっと言葉が怖いなぁ」と思ったのは、こちら:

染疫嫌疑人
rănyì xiányírén

感染が疑われる人のことですね。濃厚接触者や感染者の家族、感染地域から来た人で2週間の隔離をされている人などを指すと思われます。

この“嫌疑人”って普通の文脈では「容疑者」の意味でよく使われる語彙です。だから、初めてこの“染疫嫌疑人”という言葉を見た時は、「え~?感染の疑いがある人は容疑者扱いなの?」とちょっと思ってしまいましたが、そういうわけではないようです(笑)。僕の勝手な思い込みでした。でもやっぱり言葉の持つイメージが強すぎて、ちょっと怖いなぁと思ってしまいました。

密接
mìjiē

日本語の「密接(みっせつ)」は、コロナ関連の語彙としては「三密」の1つですね。ふつうは単にくっついていることを指す言葉ですが、これは中国語に訳されるときは“密切mìqiè”と言わなければなりません。つまり中国語には“密接”という単語は、あまり使われなかったように思うのですが、コロナ関連では最近よく見かけるようなのです。

さて、これってどういう意味?と思ったら、なんと・・・

密切接触者
mìqiè jiēchùzhě

これの略語なんだそうです。

“密切接触者”はご存知、濃厚接触者のことですね。

省略されると急に出てきてもよく分かりませんよね。やはり時々中国の報道にも接して、省略され始めるころの様子を見ていくようにしないと、追いつきません。僕はこの“密接”のことはある中国人から教えてもらって知ったからよかったですが、ずぼらはせずに自分で新しい情報に触れておかないといけないなと思いました。

通訳・翻訳家 伊藤祥雄
1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了
通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当
「文法から学べる中国語」等、著書多数

2021年5月までの記事は弊社の「翻訳コラム」でお読みいただけます。