生成AIコンテンツ創作のためのガイドブック
生成AIによる創作が盛んですが、これが知的財産権侵害を引き起こすことがないように、各社は対策を講じています。
「コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック」(経済産業省)が公表されました。
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/ai_guidebook_set.pdf
生成AIブームにより、業務の効率化や新たな創作が効率的に行われますが、他方で著作権侵害などのリスクもあります。そのための各社の活用事例と対策がこのガイドブックにまとめられています。
例えば、大日本除虫菊社は「キンチョール」のCMにおいて、2種類の画像生成AIを利用し、数千枚の画像を出力→イメージに近い画像を作成→これらを組み合わせ、CM完成というプロセスをたどっています。
AIに入力する際には、既存の著作物を出力しないように、固有名詞の入力を避けるという対応が行われています。
それと共に、画像検索を行い、類似の画像がないかを確認しています。
伊藤園は、「AIタレント」を作成しています(身体はベースとなるモデルを撮影して作成し、顔は生成AIによる肖像)。同時に、商品パッケージも画像生成AIを活用。
ここでも画像検索による類似画像のチェック、AIタレントの身体のベースとなったモデルの許諾を得るなどの対応が行われています。
AIが作成したから著作権は問題なしというのではなく、類似画像やベースとなる人物の肖像権の問題などがあります。
生成AIには大量の既存データを読み込ませているため、人間による創作よりも著作権や肖像権の問題は起こる可能性が高いといえます。データが正確に記憶されているからです。
人間の頭の中にも、その人がこれまで見てきた著作物が記憶として蓄積されていますが、人間の記憶は曖昧です。「なんとなくこんな文章を読んだことがある」「こんな顔を見たことがある」程度では、著作権侵害を引き起こす可能性は非常に低いです。故意に真似しようと思わなければ、うる覚えの情報をベースにしても著作権侵害とはなりません。
他方で、生成AIは既存の著作物を学習しているため、人間より正確に他人の著作物を利用してしまいます。
しかしそれにしても、人間が創作する場合にも、脳裏にある既存のそれらの著作物を無意識に参考にしているといるため、著作権や肖像権の問題は生成AIと同様、常に抱えており、類似画像や過去に読んだ文章の検索は必要であることを、これら生成AIの事例を通して再認識しました。