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圧倒的に成長したいなら、たたき台を作ろう


アウトプットはいいぞカレンダーの19日目は、さわちん@inteltankがお送りします。

「たたき台」は普段作りますか?たたき台とは、議論をするために、方針を決めるために、誰かが最初に頑張って作る最初の案のことです。マネージャーが作るチームもあれば、メンバーが作るチームもあると思います。誰が作るといいのでしょうか?

「たたき台を作る人が一番えらい」とはよく聞きます。
たたき台はゼロから作るものなので、作るのはとても大変です。なのに作ったものにまず来るのは批判、批判、批判。だってたたき台はみんなに叩かれるためにあるから。必要なものなのに誰もやりたくない。だから、たたき台を作ってくれる人にリスペクトを持って、自分もその役割を担っていこう。このキャッチコピーにはそんな狙いがあります。

でもこれは「チームにおいて、成果を出す上での、たたき台の必要性」の話しかしていません。

本日は「あなた個人においても、たたき台を作ることは有益。成長には必須」という話をします。あなたが何者かになりたいのであれば、ぜひたたき台づくりという最強のアウトプット機会を積極的にとっていきましょう。

そもそもたたき台は、複雑なテーマについて考える上で必須

たたき台は深く思考し、決断するために必要です。もし「いつもの判断基準で意思決定すればいい」「誰でもできる判断基準で意思決定すればいい」場合はきっとなくて構いません。いつも通りであれば「そうだ。こうします。ドーン」で問題ありません。

でもたたき台が必要なときはそうじゃありません。どれがいいか迷う。あれこれ想像しないと、本当に良い決断ができない。即断できない。だから、たたき台をもとに議論をして、何度もたたいて、いろんな可能性を比較検討しようとしています。

何もない状態で考えるのは難しいからたたき台を作っています。たたき台がなければ、「あらら、考え忘れていた」が多発。実はトレードオフな要素に気付かず、出来もしないアイディアを作ってしまいがちです。

これらをたたき台で防ぎましょう。たたき台を書いてみて、にらめっこすることで、考え忘れやトレードオフを明らかにしていき、「これ以上考えても無駄だ。もったいない」と思ったら、決断をします。

この「たたき台を何度も叩いて決断に至る」というのが、難しい仕事で必須のプロセス、できる人たちが当たり前にやっているプロセスです。彼らは「成果が出るまでの段取りを計画した上で、『本当にこのままうまくいくのか?』と失敗要因に事前に想像し、失敗しないように事前に対策」しています。

なぜ、あなたがやったほうがいいのか

あなたは普段たたき台を作らないかもしれません。やれと言われてないかもしれません。でもやったほうがいいと思います。

なぜなら「たたき台を作れるようになるのは、作ったことがある人だけ」だからです。事業を進めるだけが目的であれば、マネージャーが作ったらいい。事業部長や、経営陣ならあなたの数十倍のスピードで作ることができるでしょう。でも、あなたが作ったほうがいいんです。

1. あなたが議論においていかれなくなる

何も準備せず参加した議論についていけないのは当たり前です。

議論において「考えるべきこと」「トレードオフな要素」はたくさんあります。しかし、全部が話されるわけじゃありません。当たり前なものは、誰も話題に出してくれない。わざわざ声に出さなくても参加者はそれを前提に会話を続けます。暗黙知です。議論のコアメンバーにとって当たり前なことは、その場で言語化されないんです。

たたき台を作ると暗黙知に気付くことができます。「今回はコスト抑えよう」と言われた背景に気付けます。「シンプルな方がいいね」と言われた理由が想像できます。

一度しっかり考えてくるから、あなたは議論についていけるようになるのです。

2. あなたに合わせて議論がスタート

議論についていけるだけじゃありません。

たたき台を作ったあなたに合わせた議論になります。たたき台は思考のきっかけ、議論のきっかけになります。人の思考のスタートは「連想」が基本。その場にあるたたき台に加筆修正するように意見が出てきます。

そもそも連想のきっかけは大きく2つあります。
・本人が直前まで考えているもの
・その場で見ているもの・聞いているものもきっかけになる

議論はたたき台を見ながら進んでいきます。だから連想のきっかけは「たたき台」なんです。

あなたが使っている言葉、持ってきた資料に引っ張られた議論が開始されます。具体的ならば具体的に。抽象的なら抽象的に。話される内容はびっくりするほどたたき台に引っ張られます。

例えばプレゼンテーション。スライドの形で持っていったら、グラフィックデザインの話が多くなります。「なんでここは緑色なの?なんでここは四角なの?」と言われるでしょう。アウトラインの形で持っていったら、話の流れについてのツッコミが多くなります。「この話ってもっと前で話すべきじゃない?」と聞かれるはずです。

また、あなたがわかるまで説明してくれることもあります。続きを考えてくるのがあなたの仕事であれば「あなたがコメントの内容を理解する」のが重要。あなたがわかるまで細かく説明してくれるでしょうし、あなたが細かく質問するのを歓迎してくれるでしょう。

必然的に「あなたが一番詳しい話を中心に議論が進む」ようになるのです。

3. 「次考えるときはこうしたらいい」のヒントがもらえる

メリットは今まで述べたような「議論についていける」だけではありません。

議論の時間が自分の成長のための時間になる。これがたたき台を作る最大のメリットだと私は思っています。

議論のコメントが全てあなたにとって価値のあるものになります。あなたが自力でできなかったことはたたき台を見ればわかります。つまり、必ず議論・批判・意見されます。たたき台を作れば、「あなた一人ではできないけど、アウトプットの品質を上げるために必要な要素」のみが議論されることになります。

だから議論の後はもらったコメントを振り返りましょう。
・どうやったらこの意見を、事前に自分で気づくことができたか?
・気づいた上で、自分で情報集めて、考えてくることはできそう?
振り返りを通して、「コメントを予測し、たたき台を自分でたたく」ことができるようになれば、自分で作れるアウトプットの幅が広がります。

「たたき台を用いて議論する時間」はあなたの成長にみんなが投資してくれる時間だと言えます。

4. 「自分でゼロから考えてみる」をしないと決断できるようにならない

「たたき台はあくまでたたき台、決断を別でするなら、作らなくてもいいんじゃないか?」という人もいると思います。そんなことはありません。

「たたき台を作る」のと、「決断する」のは不可分です。たたき台を作っている最中、たくさんのトレードオフに、たくさんの選択肢に悩みます。でも議論されるのはあくまで影響の大きな要素だけ。議論するほどじゃない要素はあなたが決断する必要があります。小さな決断の積み重ねをするのが「たたき台作り」です。

だから、自分でゼロから考えたことがない人は「さあやってみるか」となったときに困ります。私も経験があります。考えてみるととても迷うんです。「本当にテンプレのままでいいんだっけ?」「他にも方法あるのに、なんでこれでいいんだっけ?」悩みだらけで作業の手が止まります。

もしうまくたたき台が作れて、決断まで至れたとしても、その後に困ります。 「ああ、あれはあの設計でやっていたほうが良かったな」「ああ、この順序で進めたほうがスムーズだったな」最初に考え尽くせていないから、ボロボロ問題が出てくるんです。

優れた人は皆、「言語化しているか」「たたき台を実際に作っているか」の違いはあれどやっています。過去経験や知識をもとにたくさん選択肢を出して、トレードオフを考えて、「これが一番良さそう」と決断しています。

ぜひ、あなたもたたき台を作りましょう。

効果の高いたたき台の作り方

ここまでたたき台を作るべき理由を話してきました。

しかし残念ながら、たたき台、適当に作っても成長するわけじゃありません。議論が「この案でいこうと思います」「まあいいんじゃない」で終わっては成長しません。

0. 知識や経験を引き出すためにたたき台を活用しよう

優秀な人はよく失敗し、よく考えています。彼らは、選択肢や取れる手段をたくさん知っています。どの手段を取るべきか?が状況によって変わることを体験しています。だから目的と照らし合わせて今回はどれにするかを決断できて、成果を出し続けています。

初心者のあなたは同じことはできません。選択肢をたくさんは知らないでしょう。調べていっぱい手段を知っても、どの手段を取るべきか?をイメージできず、選べません。何より目的に関しても深掘りできないことも多いと思います。

自分が用意したたたき台をもとに議論をして、優秀な人に一気に近づきましょう。選択肢を増やしてもらいましょう。この状況ではいけてない選択肢を聞いてみましょう。なんでその選択肢をいけてないと判断したかを聞いてみましょう。

An expert is a man who has made all the mistakes which can be made in a very narrow fields. by Niels Bohr
(訳)専門家とは、非常に狭い分野において、起こりうるあらゆる失敗をした者のことである。

Forbes Quotes

優秀な人、できる先輩は「その分野の専門家」と言えます。彼らが経験を通して練り上げてきた判断基準をたたき台作りで盗んでいきましょう。

ここからは具体的に「どうたたき台を作って」「どう議論してもらうといいのか」の話をしていきます。

1. 迷ったところ、悩んだところこそたたき台に表現しよう

たたき台は複数用意しましょう。

確かに最終的に欲しいのは「完成品」ただ一つです。でもたたき台は目的が違います。「みんなの知恵を持ち寄って最良の決断をする」ためにあります。「複数の選択肢を比較し、判断基準や判断の材料になる知識/経験を共有する」ために、アウトプットを複数用意しましょう。

アウトプットまでいかなくても、作っていて迷ったところ、悩んだところは必ず議論の場に持っていきましょう。例えば
・Webサイトの色。赤と緑と青で迷って、赤にした
・最後はhtmlファイルで用意するところを、今日はWordで作ってきた。
これらはぜひ持っていくべきです。

人は怠惰です。あなたが出したアウトプットに大きな文句がなければ「(まあ)いい(んじゃない)」と肯定だけを示します。これでは、判断基準も判断材料も教えてもらえずあなたがレベルアップできません。

間違いでもいいので考えを書いておきましょう。人は間違いを訂正したくなる生き物です。誤解や知識不足は訂正してくれる確率が非常に高いです。「議論中のメモが取りやすいので、Wordにしました」「A,B,Cと方法思いついたんですが、**という理由でBにしました」書いておけばきっと正してくれます。

2. 自分でたたき台をたたいてみよう。

ぜひ「どんなコメントが来るかな」と考えて、自分で批判してみましょう。面倒ですが、非常に大事です。

一度考えておかないと議論の場で即答できません。議論の場で質問が来たときに「相手が何を気にしているか」「私は何を答えたほうがいいのか」を想像した上で、適切に回答するのは難しいです。考えてないことについて即答するのは、私もうまくできません。

また、議論の内容を理解するのが難しいです。「うまく伝えなきゃ」「ああ、どう回答しよう」と考えてしまい、コメントを聞き取れません。理解するための心と脳の余裕がありません。せっかくもらったコメントが次に活かされません。

だから議論に臨む前に、自分で批判してみましょう。

私は自分に問いかけてシミュレーションをします。「他に選択肢なかったっけ?」「このやり方をいいと思った理由なんだろう?」自分のやり方を疑ってみましょう。「ここまで細かく考える必要がある?」「適当に選ぶんじゃダメ?」「よくあるやり方にしたらダメ?ダメージ大きすぎる?」という問いかけも有効です。

優秀な人はこの問いかけをたくさん持ってます。

全然自分で批判できない場合、誰かに壁打ちの時間をもらうようにしています。複数人に一気にコメントもらうと頭がパンクします。まずは一人に話してみましょう。できる人じゃなくていいです。たとえ有益なコメントがもらえなくても、一度話してみることで考えが整理されたり、コメントをもらうことで他者視点で考えるきっかけを得られたりします。おすすめです。

ここまで行ったら、自信を持って議論に臨みましょう。自分で作れる最大級のものを作りました。事前シミュレーションを通して自分の意見もできました。あとは議論を通して自分の考え方を検証してブラッシュアップするだけです。

ここまでくれば議論をするのが少し楽しみになっているはずです。

3. 選択肢の羅列で終わらず、決断をしよう

忘れずに決断もしてください。ここまでくると、選択肢もたくさんあって迷いもあるはず。この状態では「どれか一つに決める」はすごく難しはず。それでも必ず、今時点で決断をしてください。

「これに決断した」という判断基準こそ周囲から盗むべきです。社長、マネージャー、リーダー、彼らがすごいのはその決断力です。決断して、アクションをしたから、成果が出ています。経験も情報も足りてない、だから一つに選べない、でもその中でどうするのか、これを彼らから学びましょう。

このとき、自分の意見を持っているのが大事です。他人と自分の比較をすると「なぜ?」という疑問が生まれ、疑問の解消を通して物事をよく理解できます。「なぜマネージャーは決断できたのか」「なぜ私と違う結論なのか」これらの疑問があなたの力を大きく伸ばす原動力になります。できるだけ意見を持ちましょう。

疑問が生まれたら、ぜひメンバーにヒアリングをしましょう。きっとその決断の裏には過去の経験(特に失敗経験)があるはずです。そこまで聞いてみましょう。ヒアリングを通して先輩の貴重な経験を追体験できれば、何倍もの速度で成長していくことが可能です。

自分で決断してみて、他の人の決断と比べてみる。この繰り返しがあなたを成長させます。

まとめ「たたき台作りを当たり前にこなしていこう」

ここまで、「たたき台が必要な理由」「成長したいあなたが作るべき理由」「成長,成果のためにどう作るといいのか」を話してきました。

この記事で述べたようなたたき台をつくるのはとても大変です。けど優秀な人たちは息をするようにやっています。何度も作るとどんどん速くなっていきます。一度しっかりやれば、そのものも考え方も再利用できるのでいつでも質の良いアウトプットが出せるようになります。

ぜひ積極的にたたき台を作りをやっていって、成長していきましょう。


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