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「拘束された日本人より習近平氏のご機嫌が大事」~絶望的な内閣支持率低迷でも”媚中”は変わらぬ岸田政権~駐日前大使、怒りを胸に秘め帰国か


【画像① 習近平体制移行から12年、中国はIT技術も駆使した”顔認証”システムで全土に及ぶ”全人監視システム”を確立。年々、「反スパイ法」の適用範囲も広げ、自国民はもとより日本人など外国人もターゲットに逮捕、勾留の数を増加させている。逮捕される側には、何が「スパイ容疑」になったのかさっぱり分からず、長期にわたる拘束に根負けして”自白”させられ、何年もの実刑を申し渡されるケースが出ている。写真は、紫禁城前に整列した首都警備の人民武装警察部隊。】



◆「拘束された邦人解放できず忸怩たる思い」~駐中国大使、垂秀夫氏、離任会見で語る


駐中国大使の垂秀夫(たるみ ひでお)氏は12月6日で離任となったが、4日には北京で離任会見を開き、3月に国家安全部(中国版CIA)に拘束されたアステラス製薬現地駐在員を解放出来ずに離任することに、「忸怩たる思い」と異例の発言をした。



「中国に対する厳しい物言いで知られた垂秀夫駐中国大使が離任の会見を開き、3月に拘束された日本人の解放が出来なかったことを『極めて忸怩たる思いだ』と述べました。…垂秀夫駐中国大使:『今年の3月に起きた国家安全当局に拘束された在留邦人の方がまだ拘束されている状況については、私個人としては極めて忸怩たる思いです』」


「垂大使は離任に先立ち、拘束されている男性と領事面会したことを明かし、自らの帰国を報告したうえで今後も政府として取り組んでいくと伝えたということです。…2020年11月に着任した垂大使は6日に中国を離れ、インドネシア大使を務める金杉憲治氏が12月中旬に新しい大使として着任予定です」


(参考動画)「駐中国の垂大使離任 拘束された邦人が解放されず『忸怩たる思い』」2023/12/4 ANNnewsCH

https://youtu.be/sD76pmFdN6c?si=AWNIDEKLloLoI8fz


(参考)「【全文】”ジェットコースターはダメ”中国と対峙した大使会見」2023/12/5 NHK ※映像なし、垂大使離任会見の発言全文を掲載

https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/detail/2023/12/05/36316.html




【画像② 12月4日、北京で駐中国大使離任の会見をする垂秀夫氏。中国に対して近年の駐在大使には見られない厳しい物言いをしてきたことで知られるが、もともとは「日中間の戦略的互恵関係」というキーワードを考案するなど、外務省では一貫して対中外交をリードする役割を果たしてきた。その垂氏をして、もう黙っていられない人権状況などが中国で生じているのだ。】


中国では、拡大解釈により外国人でも誰でも「スパイ容疑」で諜報警察である国家安全部が逮捕権を執行できる「反スパイ法」が施行され、これまでもこの法の適用で多くの在留邦人が逮捕・拘束されてきた。垂氏が触れているのは、長年、北京に駐在してきたアステラス製薬の社員で、3月に「スパイ容疑」で拘束され、10月には正式に逮捕されて刑事手続きに入り、軟禁状態から刑事施設への勾留に移されている。



「中国・北京で今年3月にアステラス製薬の日本人男性社員がスパイ容疑で拘束された事件で、中国当局は社員を正式に逮捕した。…公判に向けた本格的な刑事手続きに入り、拘束の長期化は避けられない情勢で、日中関係にも深い影を落としそうだ」


「中国の刑事訴訟手続きでは今後、7カ月以内に起訴するかどうかを判断するとみられる。…社員は約半年間、軟禁状態で取り調べられる居住監視を経て9月中旬に刑事勾留されていた。逮捕には『犯罪立証の証拠があり、懲役以上の刑が見込まれる」ことが要件とされ、起訴、公判と手続きが進めばさらに拘束が長期化する恐れが強まる」


(参考)「中国、アステラス社員を正式逮捕 拘束が長期化 日中関係に影響も」2023/10/19 朝日新聞DIGITAL

https://www.asahi.com/sp/articles/ASRBM5J3ZRBJUHBI015.html



◆「なぜ捕まったのか、わけが分からない」(日本企業駐在員)~中国政府要人との”人脈”がネックに?


勾留されているアステラス製薬社員は、西山寛氏。現地法人幹部や顧問を歴任し、中国滞在歴が20年を超えるベテランで、中国での生活での注意点(当局がナイーブになる情報へのアクセスや立ち入り禁止区域の問題、取引上留意すべきことなど)を熟知し、他の企業駐在員にもアドバイスをする立場にあった人だった。実は、3月下旬に2度目の北京駐在を終え、帰国して退職する予定だったのに、その矢先での拘束だった。


知人の日本企業駐在員は、こう述べる。


「なぜあの人が捕まったのか、わけが分からない。北京にいる日本人の中では随一の”中国通”だ。ただ、仕事を通じてだが、中国政府要人とも広く付き合いがあり、ゴルフなどの個人的付き合いもあったようだから、そうした人脈が取り締まり側の目を引いたのかもしれない」


「いずれにしろ、彼も私らも、中国と日本の関係がビジネスのルートで良好になることを望んで努力してきたんだ。こんなことをやれば、中国への反感が高まるばかりじゃないか。日中交流に腐心してきた駐在員に”スパイ容疑”だなんて、法治国家としてあり得ない仕打ちだ。日本政府もしっかり抗議して、彼をすぐに取り返してほしい」


当然の思いだろう。”明日は我が身”にもなりかねない~中国駐在の日本人社員たちは、そう感じているに違いない。過去、同様の事例を筆者も何度か見てきたが、こうした日本の外務省の対応はあまりに情けない。


ところが、垂大使の対応は従来と違った。3月にアステラス社員が拘束された後、現地大使館の領事部担当者に任せるだけでなく、大使自身が面会に出向いて、中国側にも「解放に努力する」という姿勢を示そうとしたのだという。


しかし、それを止めたのが、本国からの外務省指示で、その背後には岸田文雄内閣の思惑があった。この度、垂氏は大使離任前の11月28日、実際に出向く直前に一方的に本国へ”通告”して、勾留された社員との面会を強行している。そして、抑えきれない怒りを胸にかろうじて収めながら、4日の離任会見で”異例の発言”を行ったのだという。




【画像③ 在外公館の長として、「日本人保護」という切実な課題に立ち向かおうとした垂大使の足を引っ張ったのは、誰か? ”媚中”外務大臣(当時)の林芳正氏(左)は、たまたま予定されていた4月2日の日中外相会談(北京釣魚台国賓館)で中国側(秦剛国務委員兼外相(右))に対し「アステラス社員の早期解放」を要求したが、「法律に基づき処理する」と拒絶されてしまった。】



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