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戦時経済の軋み、ようやく? ロシア国内経済の苦難、物価上昇の原因~軍事生産・投資の拡大が圧迫か


【画像① ウクライナ戦争の開戦で、自国向け軍需生産が大幅拡大したロシアでは、軍事部門への投資拡大の継続が政策金利上げを妨げる要因になっている。ウラル地方の戦車工場を訪れたプーチン大統領。】





◆西側の史上未曾有の経済制裁には持ちこたえたロシア経済




2022年2月24日、ウクライナ侵攻=「特別軍事作戦」に踏み切ったロシアに対して、米英日などG7を中心にした西側諸国は史上未曾有の対ロシア経済制裁に踏み切り、かつてない締め上げを図った。しかし、ロシアは豊富な資源の供給先を振り替えし拡大も図って、かえって以前よりもアフリカ諸国などグローバルサウス世界との結びつきを強め、あらたな経済圏を形成して持ちこたえた


通貨ルーブルも力を増して、順調な経済成長を成し遂げているように見える。逆に西側諸国の多くが安価なエネルギー資源の供給ルートを失い、物価高騰などの経済的困難を抱えることになった。



ざっと見る限りで「経済分野の戦い」では、ロシアが完勝していると言えよう。しかし、ウクライナ戦争の長期化に伴う変化で、ロシア経済にもジレンマが生じ始めていることが明らかになった。高物価とそれを牽引する金利上昇だ。



本記事では現地で報道された記事と見ると共に、ロシアで事業展開を継続している日本人実業家の見解も参考にして、ロシア国内経済の現状を考えてみる。



【画像② ロシア主要都市のスーパーマーケットなどでは、特定の商品が時に不足することはあるものの、食品、日用品の供給が不十分になる事態は見られない。しかし、物価上昇は一般国民の所得が追いつかないレベルになりつつある。】

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