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[栄養学]知ってるようで知らない卵の魅力!理想的な完全栄養補助食品

今回のテーマは「卵」です!
卵は、その栄養価のバランスと網羅性から完全栄養食品と呼ばれていますが、私は否定します!
私が考える卵は、完全栄養食品ではなく完全栄養補助食品だからです!
その理由と栄養価について説明していきたいと思います。

ちょっと余談ですが、皆さんがスーパーなどで購入している卵はニワトリの卵ですよ!
知ってる方が殆どだと思いますが、私の知り合いに料理を作る際に冗談で卵を持ちながら「さて、この卵は何の卵でしょうか?」と聞いたところ、本気で悩んで「アヒル・・・?」と回答が返ってきたことがありました(笑)
そんな事があったので、一応言っておきますが今回のテーマは正確には「ニワトリの卵」です!
では、本題に戻りましょう!!

1.卵は完全栄養補助食品!?優等生なのは物価だけじゃない

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卵は価格の変動が少なくお手軽な価格帯にいることから「価格の優等生」と呼ばれ、生活を財政面でも支えてきてくれています。
また、卵は1個辺りの栄養成分が非常にバランスが良いと言う魅力があります。
このバランスの良さに私が完全栄養補助食品と考える理由があります。

・入りすぎないとこが良い!痒い所に手が届くサポート力!
完全栄養補助食品の理由の前に厚生労働省が発表している栄養成分表をご覧ください。

卵 栄養成分表

出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

この表の通り、タンパク質、炭水化物、脂質、ミネラル、ビタミンの5大栄養素を非常に幅広くバランス良くまれている事が分かります。
しかし、よく見ると高タンパク質と言う面を除くと他の栄養がそれほど高くない事が分かります。
実はそこが卵の完璧さがあります!

私たちは基本的に朝、昼、夜の3食食べるのですが、3食全てをバランスよく食べる事は結構難しい。
何かしらの栄養が不足したり、逆に摂りすぎたりしていると思います。
その時、卵は非常に優秀です。
栄養成分を殆ど網羅しているのに入りすぎていない!この性質は他の食品ではなかなか見られない特徴です。

ビタミンとミネラルをもう少し欲しい!
タンパク質だけ欲しい!

○○だけ欲しいみたいなワガママ要望も栄養が入りすぎずにバランスの良い卵の特徴が適えてくれます!
完全栄養食品とは、その食材に一日の栄養成分を満たしてくれる様な食材を示すと考えます。
卵には、そこまでの力はありませんが入っていない栄養素が殆ど無く、栄養素の不足分を補う為に摂取しても、他の栄養素の超過を起こしにくい魅力があります。
この特徴から私は、完全栄養補助食品だと考えています!

卵が完全栄養補助食品と言う理由を説明したので、次に注目すべき栄養価の説明をします。

 ・タンパク質
タンパク質は、卵1個(50g)当たり約7gと非常に多く、高タンパク質食材の筆頭と言っても過言ではありません!
また、卵に含まれるタンパク質は体内に取り込まれた際の良質さの指標であるアミノ酸スコアで最高値の100とされていて、質・量ともに優秀である事が分かります。
タンパク質は細胞が健康に保つためのエネルギーになり、アンチエイジングなどの美容効果やダイエットにも効果的とされて、近年注目が増しています。
タンパク質の健康効果についてはこちらの関連記事をご覧ください!

 ・鉄
ミネラルの一種です。
体内でヘモグロビン生成に重要な役割を果たしており、不足すると貧血などの症状を引き起こします。
またヘモグロビンは赤血球の主要成分なので、赤血球が少なり酸素を体中に送る機能が弱まり、心臓に負担をかけたり体力の低下にも繋がります。

卵には1日分の約15%(成人男性)が含まれているので、食生活の不足分を補う量としては丁度良いので、貧血気味の方は日頃から意識して取ると良いでしょう!
ただし、卵だけでは一日に必要の量を摂取出来ないので「ひじき」、「レバー」、「緑黄色野菜」と合わせて摂るようにして下さい!

 ・亜鉛
亜鉛もミネラルの一種です。
不足すると味覚が鈍ったり、免疫力が低下したする事が知られています。
卵には1日分の約11%(成人女性)が含まれています。
亜鉛は細胞が活性化する際の補助をする働きがあるために、卵では黄身の部分に集中しています。

亜鉛は吸収率が30%程度なのである程度まとまった量が重要です。
年齢性別によって摂取目安は変わるのですが大体10gを目安に摂りましょう。※許容限界量も決まってるのでサプリなどと併用している場合は注意して下さい。
他に亜鉛が豊富な食材は「納豆」「ブロッコリー」「豚肉」「青魚」などです。

 ・ビタミンD
ビタミンDは日光に当たる事で活性型のビタミンDへと変化し神経の伝達を補助したり、骨や歯の成型にも関わってくるので、成長期のお子さんなどには積極的に摂って欲しい栄養素です。
近年では、抗不安効果も期待されていて科学的にも注目の栄養素です。

卵には一日に必要な量の約33%(成人男女)が含まれています。
このビタミンDはそのままでは働きが弱いが、紫外線を受ける事により活発化しますので1日5分程度でいいので屋外で日光を浴びるようにしましょう。
その際、日焼け止めを塗ってしまうと効果が無いのでおススメは手のひらを太陽に掲げる方法です。
体の一部が日光に触れる事によって活性型のビタミンDに変化するので、日焼け止めを付けていない手のひらを太陽に当てるだけでも効果はあります。
童謡でそんな歌があった気もしますが科学的に理にかなった歌詞ですね(笑)

 ・葉酸
妊娠中の方は特に意識して摂りたいビタミンです。
胎児期のDNAの合成に重要な役割を果たしており、しっかり摂る事で胎児が健康的に成長をしてくれる作用があります。
妊婦さんは意識して摂りましょう!
また、葉酸は他の成分と協力して様々な機能を正常に働かせるサポーターとしての魅力が高いです。

卵には1日に必要な量の約11%(成人男女)が含まれています。
妊婦さんは非常に重要な栄養素ですが、近年では脳卒中や血液循環系の疾患の予防に効果がある事が示唆されています。
一般的にコレステロールが高い食品に数えられている卵ですが、この葉酸の豊富さが他の食品と比べた際にコレステロールの影響が余り見られない傾向の要因となってるのでな無いかと議論されています。
他に葉酸が豊富な食材は「アボカト」「納豆」「レバー」「ほうれん草」などです。


表を参照していただければ分かりますが、非常の幅広く絶妙なバランスで栄養が入っていますね。
効果も胎児から高齢者まで嬉しい栄養素が1個の卵にしかっりと入っています!
是非、栄養が少し偏っている方などは完全栄養補助食品として卵を活用してみて下さい!

2.コレステロールが体に悪いは過去の事!?

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皆さんコレステロールと聞くと体に悪い成分だと思ってませんか?
実は、近年ではこの定説は覆りつつあります。
日本卵協会に掲載されている研究データでは、コレステロールが極端に低いとガン発生による死亡率が5倍に高まる可能性を示唆しています。(※1)

結論
●コレステロール値が高くても低くても、死亡のリスクは大きくなり、むしろ低いほうがそのリスクは、より大きくなる。
●総死亡のリスクが小さいのは、200~280mg/dlで、この範囲内の数値であればリスクは変わらない。

この結果からも分かるが、コレステロールを極端に抑えようとすると逆に死亡率を上げる恐れがあります。
勿論、極端にコレステロールが高いと問題ですが、以前から言われてきた病気のリスクを高めると言う定説は否定されてきています。

そもそもコレステロールが悪者になった原因は、草食動物であるウサギに肉を食べさせた結果、動脈硬化が促進されたと言ううような条件的におかしな論文が元だと言われています。
コレステロール自体は体にとって様々な働きをしてくれているので必要不可欠な脂肪酸です。
また、食品からの吸収率は約30%程度なので、卵は高コレステロールだから1日2個以上食べると早死にすると言われていますが、どうやら信憑性は薄い可能性が高いです。
あと、善玉コレステロール、悪玉コレステロールと分けられますがどちらも悪者でなく必要な生命維持に働きをしてくれているので、過度に騙されない様にしないと損をします。

因みに、世界的にコレステロールの制限は意味が薄い傾向に傾いていて、ガイドラインの制限基準からコレステロール量を除外または上限を引き上げる動きが主流です。
一方で、トランス脂肪酸に関しては風当たりが強くなっており血管や心臓、血液系に悪いよなデータが増えています。
気を付けるべきはトランス脂肪酸かも知れませんね。

参考サイト
(1)日本卵協会HP

3.卵にも欠点はある!それを埋める食材は?

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完全栄養補助食品として非常に優秀な卵だが弱点があります。
それはビタミンCと食物繊維が殆ど無い点です!
こればかりは流石に欠点と認めるしかありません。

ただし、欠点に関しては補ってしまえば良いのです!

・ビタミンC
ビタミンCは体内で作る事が出来ないので、毎日食品やサプリメントから摂取する事が必要です。
1日に必要な量は年齢にもよるが約100mgです。
幅広い食品に含まれているが、果物や野菜、芋に多く含まれています。

ビタミンCをサプリメントやジュースで補おうとしても体に滞在する時間が短く吸収率が食材から摂るよりも下がるので、出来るだけ食材から摂ると良いでしょう!
また、熱に弱いので極力火を使わずに生で食べる事をおススメします。

ただし、サツマイモやジャガイモはデンプンによって、ビタミンCが守られ加熱しても殆ど失われない特徴を持っているので、加熱しても大丈夫です!

生で食べるのなら、キウイ、柿、イチゴ、パプリカ、ブロッコリー、キャベツなどがおススメ!

・食物繊維
食物繊維は日本人が不足しがちな栄養の代表格です。
この食物繊維は2種類あります。
簡単に説明すると、腸内で便の塊を作り排出しやすくしてくれる「不溶性食物繊維」
腸内の便に水分を与えて出口へ行きやすく調整してくれる「水溶性食物繊維」です。
便秘解消や糖の吸収を抑えてりでダイエット効果も期待できる栄養素です。
この2種類の食物繊維は一方が多くてもダメで、バランスが大事です。

食物繊維をバランスよく摂る事によって腸内環境が整えられて、ストレスに強くなったり、判断能力にも良い影響がある可能性が科学の世界では示唆されています。

水溶性食物繊維 ワカメ、昆布など
不溶性食物繊維 ゴボウ、大豆など


この食物繊維を両方摂れて、ビタミンCも多い食材があります。
サツマイモです。
サツマイモは卵の弱点を補う上で最高のパートナーと言っても良いでしょう!

特に焼き芋には非常に大きなメリットがあるので、興味がある方はこちらの記事もどうぞ!

卵の弱点はビタミンCと食物繊維ですが、実はもう一つ摂取した方が絶対に良い栄養素があります。
それは「DHA・EPA」です!
特に妊婦さんや授乳期の母親は卵の葉酸と共に非常に大きな効果がある栄養成分なので積極的に摂る事をお勧めします!
その際に、最も効率の良い摂り方と論文からDHA・EPAのオメガ3系脂肪酸の効果を解説していますので、是非合わせて読んでみて下さい!

4.ゆで卵・目玉焼きの加減は何がベスト?

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卵料理の基本はゆで卵・目玉焼きですよね!
私も大体朝食で目玉焼きを食べています。
ただ、栄養を最大限摂るには知っていないと損をする落とし穴があります。
それを知るために、卵の卵黄部分と卵白部分の特徴を説明します!

・卵黄(黄身)
卵黄部分ですが、ここには細胞が活発に成長するためのビタミン・ミネラルが豊富に入っています!
また、必須アミノ酸などのタンパク質も豊富で非常に栄養価が高い部分です。
ただ、ビタミンBなど熱に弱いビタミンも多いので、卵黄内のビタミン・ミネラルを一番効率よく摂りたいのならば、卵黄は生で食べる事をお勧めします!

・卵白(白身)
卵白はタンパク質(※アミノ酸類を含めると卵黄の方がタンパク質含有量は多い)とナトリウム・カリウムなどのミネラルで構成されています。
卵黄に比べると卵白は非常にカロリーが低くダイエット時のカロリー制限にも有効な部分です!
このタンパク質にはビタミンを阻害する成分が含まれていて、卵黄部分とは混ぜない方が栄養面では良いです!
つまり、卵かけご飯は効率の面では少し欠点がある事が分かります。

以上の特性を考慮するとゆで卵・目玉焼きの加減は半熟がベストです!
卵黄部分は生に近く、卵白のみに火が入る事で栄養素の破損を最小限に抑えています。
温泉卵等もベストな調理法と言えるでしょう!
他の料理の際も特徴を活かして、卵黄と卵白をセパレートして別々の調理をするなどしても良いかも知れません。

因みにゆで卵の茹で方の目安は
・半熟 6~7分
・固ゆで 9~10分

※サイズM、沸騰したお湯に入れてからの時間です。

5.総括

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非常に身近で生活に欠かせない卵ですが、まさに栄養の宝庫ですね!
ただ、私は完全栄養”補助”食品と呼んでいるように、卵のみで栄養は補えない事も知ってほしいです。

何でもそうですがバランスが大事で、偏れば効果は無くなります。
そういったスタンスの上で、このバランスの良さと栄養量の絶妙なところを感じて欲しい。

また、コレステロールの説明時にしましたが卵は一日2個程度なら健常者であれば心配はないです。
これも科学的な知識を知らないと分からない情報だったかもしれませんね!

今回卵について色々書きましたが、この栄養をもっと効率よく摂りたいと考えた方は腸内環境を整える事をお勧めします。
その効果などをまとめた記事ももし良かったらご覧ください!


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