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【読書】川のほとりで羽化するぼくら 彩瀬まる



初めて読む作家で,しかも私があまり好きではない短編集。しかしこの本はなんか不思議な雰囲気で何となくページの先が気になる感じで読んでしまいました。


①わたれない
新婚で赤ちゃんがいる家庭で旦那の会社が事業縮小で地方に転勤を内示されたことを機に会社を辞め奥さんに変わって家事子育てにチャレンジしようとしている家族の話。全ての育児に対する情報(本・雑誌・Web…)がすべて女性がやるものという視点で書かれているため,男性の育児に関して試行錯誤する中で,とても素晴らしいブログに出会う。その作者とも情報のやり取りが出来る関係になり,たまたま近くだったので会いましょう…となり,待ち合わせの喫茶店に行ったら…なんと!! 
②ながれゆく
七夕というか織姫彦星の話なのですが,発想がとても面白い。織姫に生まれた女性たちはずっと機織りをしていて年に一回自分の旦那と会える。男性陣は別の所で酪農(牛)をしていて,こちらも年に一回自分の奥さんに会える。なぜか年を取らないで永遠に若いままで過ごせるのだが,何か悪い事をすると年を取ってしまう…。そんな生活は嫌だ~とある夫婦が年に一回の逢引の時に逃げようとするのだが…なんと!!
③ゆれながら
コロナを想像させる疫病が全世界で流行る。それにかかるとほとんど死んでしまうという恐ろしい病気で,それが感染するのは男女が性行為をする時のみ…。国として性行為を禁止するしか人類が生き残れない…という状況なのだが なのだが,そんな事をしてたら子供が生まれないのでいずれにしても人類は滅びる。そんな中で ある国が,精子と卵子を国が管理して,すべて人工授精,人間の性器は薬や手術で退化させて性行為は出来なくする,その代わり…なんと!!
④ひかるほし
これが一番現実味があるというか,どこかの家庭を描いているのでは…と思わせるくらいリアルな話。前の3つがあまりにも奇想天外だったため,なんだこれは…と思うのだが,あまりにリアルすぎて逆に一番面白かった。頑固で亭主関白で男尊女卑の思想で凝り固まった爺さん。現役時代は警察官で勲章とかももらっているのだが,身の回りの事は全て奥さんがやる。読んでてあまりの身勝手さに私が殴りに行ってやろうかと思うくらい周りを引っ掻き回し迷惑をかけまくるのだがその後処理は全て奥さんに。ついに奥さんも嫌気がさし…なんと!!

こんな感じで(笑)とても面白いことは間違いないです。こんな本に当たるからやはり読書の時間は取って良いなぁといつも思います。

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