【読書】もう一つの幕末史 半藤一利

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先日お亡くなりになった半藤さん。前に「日本のいちばん長い日」を読んで感動したことがあっただけに残念。この本は明治維新前後の司馬遼太郎史観に毒された人々に対する挑戦状のような本である(笑)

私も毒された方ではあるが、NHKの大河の「八重の桜」で会津藩ってなんかとてつもなくかわいそうだ…と感じた。その意識を持ってこの本読むと薩長はとんでもない悪者であり、今の日本の基礎を作ったとしたらその大罪を背負うのは薩長ではないのか…と本気で思ってしまう。
ただ下級武士の反乱・革命と言うだけなら、別に薩長でなくても日本全国から起こってもおかしくないわけで,逆にどうして薩長だったのか?? 西の方が海外に門戸を少し開いたりしていたので情報や環境が有利だったのだろうか…・

薩長は尊王攘夷と言いながら別に会津や幕府が開国を主張していたわけではないのだが,結局政府を叩き潰すための金科玉条になってしまったという事なんだろう。この本読むと一番情けないのが15代将軍慶喜。大河の西郷どんでは松田翔太が格好良く演じていたので誤解してしまうが,この本読むと優柔不断の意気地なしでただ尊王だけを掲げていた感じ。今の大河の慶喜は草彅君が演じているがどのような流れになるのか…。あと吉田松陰もボロボロに書かれている。テロリスト養成学校の鬼講師みたいな感じ。

日本が外国から蹂躙されようとしている時に,国内で戊辰戦争とかやってる場合では無かったろうに。江戸が焦土にならなかったのは不幸中の幸いというか,勝海舟の「最悪の場合を想定した作戦」のおかげかもしれないが,その後の東北攻めは無駄だったなあ。損失。しかも司馬さんの歴史観に関しては何とかしないと会津とかずっとやってられないだろう。結局明治維新って誰が一番得したんだろう。西郷・大久保・木戸は志半ばで亡くなってるし。山県とか伊藤あたりなのかなぁ。

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