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統合デザイン学科卒業生インタビュー#05古林萌実さん

古林萌実(ふるばやし もえみ)
広告代理店勤務 デザイナー
統合デザイン学科3期生 永井一史・岡室健プロジェクト出身
2022 Young Cannes JP GOLD 日本代表

誰かの気づきになるもの、そしてそれは誰かの未来が明るくなるものにしたい、という思いで日々物作りに取り組んでいます。
最近ハマっていることは、gifイラスト作りです。
趣味で書いていたことがきっかけで、仕事でもgifイラストを
作らせてもらったりしています。


ー統合デザイン学科を卒業されて、現在は何をしていますか?
広告代理店の東急エージェンシーという会社に入社し、先輩ADのもと、デザイナーとしてロゴや、ブランドブック、webサイト、ノベルティー制作などのデザイン業務から、CMや企業のリブランディングの案件に携わっています。また肩書きはデザイナーですが、CMやリブランディングの案件では企画から考えたり、商品もネーミングから携わることもあります。
2年目になり仕事や環境にも慣れ、任される領域も増えてきました。
大変な面もありますが、学び多い環境で充実した社会人生活を送っています。


ー何歳ごろに何がきっかけでデザインに興味を持ちましたか?
小学生の頃、ディズニーのコンセプトアートを描いていた、メアリーブレアという女性アーティストが大好きで、「私も彼女のように、絵で誰かを楽しませる仕事がしたい」と思い美術科高校に進学しました。
本格的にデザインに興味を持ったきっかけは、2年生の後期。
3年次に絵画かデザインか、進路を選択するシステムで、選択肢を広げる一環として、先生が様々なデザイナーの「プロフェッショナル仕事の流儀」を見せてくれたんです。
その内のひとりに、森本千絵さんというアートディレクターの方がいました。私はMr.childrenの「super market fantasy」や「home」のジャケット、日産noteのcmなど、たった数秒で心をわしづかみにしてくる森本さんの数々の作品に魅了されました。その時に、まさに広告の世界とアートディレクターという職業は、自分がやりたい「絵で誰かを楽しませることができる仕事」だと感じ、デザインを志すようになりました。


ー統合デザイン学科ではどのようなことを学んでいましたか?
統合ではそれをつくる技術だけではなく、「違和感に気づく方法」も学びます。そして、自分が目の前で起きていることに対して、何を変えたい思っているのかを自覚すること。自覚したことを、どう伝えたら、どういう未来の変化が起きるのかを考え、伝えること。
それを分野を跨いだ様々な作る技術と一緒に、4年間を通して学びました。

「発見→アウトプット」のサイクルを一貫して繰り返す中で、
見栄えするアウトプットは、さらに芯のあるアイデアがあると、もっと面白いと言ってもらえるものになるし、逆にアイデアが良くてもアウトプットが良くなければ伝わらない、ということを実感として得た4年間でした。


ーお気に入りの作品は何ですか?

togo_furubayashi_211219_アートボード 1

就活生の頃に『ハナシタイデス』という作品を制作しました。2020年のオリンピックを想定して制作したもので、オリンピックを「日本で世界を体験できるチャンス」と捉え、コミュニケーションを生むきっかけとしてのバッチのアイデアを考えました。
制作のきっかけは、電車内で外国人の方から話しかけられたことです。その人は私が持っていたリュックのマリメッコのタグを指差し、嬉しそうに「Finland!」と、ブランドが自分の出身地のものである事を伝えてきました。「こんなタグひとつが、誰かが嬉しくなったり、コミュニケーションのきっかけになり得るのか!」と驚きの出来事でした。
また同時期に、大学で学んだ第二言語が全く使う機会がなくて無意味だと話す友人がいて、せっかく勉強してるのに「もったいない」と感じたことがきっかけで、この作品を制作しました。
それまで、なかなか先生が授業でいう「アイデアの良し悪し」が掴めず、どうしたらいいものになるかと、アイデアをこねくり回す方法ばかり考えて、つくることが苦しい時期がありました。しかし、この作品を先生に見せた時「これは人が動くのが想像できるからいい」と言われた時に、「そっか、もっと普通に、素直に、自分がこれが世の中にあったらいいのに」と思えるものでよかったんだ、ということに気がつきました。

古林萌実_提出


また2020年度の統合デザイン学科卒業制作展のビジュアルを担当しました。
この作品は先にあげた『ハナシタイデス』で気がついた、自分が素直に感じていることを形にすることを大切にして取り組みました。
初期の統合デザイン学科は白黒でブランディングされていて、「白・黒・シンプル」なイメージがとても強くありました。
ただ、実際に学生として過ごす中で、一つの教室の中で、pcを開いてコードを書いている人がいたり、服を作っている人がいたり、木を削っている人がいる。私はすごくその自由さが好きでした。
なので、統合には、一人の人の4年間を表しているインテグレイテッドバーという一本の黒い棒が入っているのですが、それが4年間で「自分の色を見つけた」というコンセプトでカラフルなビジュアルを制作しました。
自分が統合生のころ、実感として白黒でシンプルでミニマムなものを目指さなきゃいけないのかな、と学科のイメージに縛られてしまっていた時期があり、
なんとなく当時、模範を目指すために個性を殺さなければいけないように思ったこともありました。だからこそ後輩たちに「もっと自由でいいんだよ」と伝えたい。そんな思いで制作しました。
また、そんな学生の多様性を、もっとリアルに等身大に伝えたいと思い、このnoteでの発信を始めました。こうして代々続くものになり、とても感慨深いです。
(2020年メインビジュアルについて詳しくはこちらでお話しています。。
https://note.com/900000/n/n23164fa06833


ーデザインのどんなところにワクワクしますか?
私の好きなデザインの一つに、難病で毎日注射をしなければならない子供のために開発された注射の事例があります。子供にとって「注射の形が、恐怖の記号になっている」という発見から、針が見えない設計にし、自分の好きなタイミングでボタンを押せる注射器を開発。「誰かに刺されるのではなく、自分の意思で注射をした」と感じられる体験設計にしたものです。
デザインで病気を直すことはできないけれど、恐怖を取り除いたり嫌いだったものを好きなものに変えることができる。
物事をポジティブな体験に変えることができる所にワクワクします。


ーこれから、どんなデザインをしていきたいですか?
広告の話になりますが、部活で思うように行かなかった時、受験でしんどかった時、夜遅くまで課題を頑張る時間、一番行きたかった会社に落ちた時。
いつも私は好きな広告をyoutubeで何度もみて、元気付けられていました。
あの時自分が広告に元気づけられていたように、「このデザインがあったら」、「この言葉があったら」、目の前の人が笑ってくれたり、誰かの明日が少しハッピーになるかもしれない、と思えるものを、私も形にしていきたいです。


ー最後に、自分にとってデザインは何だと思いますか?
自分が「嫌だな」と感じたことや、「もっとこう伝えたら、これって魅力的じゃない?」と気づいたこと、「これ、もっとみんなに知ってほしい!」と感じたことを、優しく包んで相手の心に届けることができる手段だと思っています。

Twitter: @min8moemin
Instagram : @__moemi3in

(インタビュー・編集:野村華花・海保奈那)


次回の統合デザイン学科卒業生インタビューは…!

「自分のデザインで消費者の生活がちょっとでも豊かになったら」
清水春来(しみず はるき)さん
コンサルティングファーム勤務 インタラクションデザイナー
統合デザイン学科4期生 深澤・長崎プロジェクト出身

卒業制作では油と水を使ったインスタレーション・表現作品を制作した清水さん。
学校の課題では、本当に自分が楽しいデザインをひたすら制作したそうですが、インターンや社会経験を積んでいくうちに考え方が変わったようです。
清水さんの思う、デザインの魅力とは?
卒業生インタビュー第6弾は明日公開です!乞うご期待!




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