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統合デザイン学科院生インタビュー#11リュウ・ギョウキ

リュウ・ギョウキ
多摩美術大学統合デザイン学科
大学院2年生 担当教員 : 永井一史


ー現在の主な活動について簡単に教えてください。
現在はグラフィックデザインや写真、イラストなど、主にビジュアルデザインをしています。大学では研究作品を作る一方、フリーランスとして人のポートレートを撮ったり、イベントの宣伝用のポスターを作ったりしています。アルバイトでは、商品のパッケージで使うイラスト制作や商品の撮影もしています。


ーデザイン、イラスト、写真などを制作しているとのことですが、それらに興味を持ったきっかけを教えてください。
小さい時、父親の影響で写真を撮り始めました。6歳の時にポートレートを撮る機会があって、その時に光や構図のバランスがよい写真を撮ることができて「センスが良いですね」と褒められて自信がつきました。あと、中学生の頃から日本のアニメやデザインをたくさん見てきていて、そういう作品を見たときに「これはどのようにして作られたのだろう?」と思って、ビジュアルデザインの世界に踏み込みました。今思い返すと、私は昔から言葉よりも、ビジュアルで自分のメッセージを発信しやすかったなと思っています。


ービジュアル表現が中心とのことですがそれのどんなところに魅力を感じていますか?
小さい頃から、身の周りにある繊細な美しさの違いによく気づきました。例えば朝7時の光と夜19時の光の美しさや、友達の美しく見える角度などです。そして、その自分の感じている美しさを表現したいと思っていました。デザインを学んでいくと、観察や発見をするだけではなく作るものの美しさをコントロールすることができるようになりました。ビジュアル表現において、そこが面白いと思っています。


ー今までの作品について教えてください。

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繰り出されていくページを切り離しながら使う、立体的なカレンダーのデザインです。もしその行為をしなければ、この印刷された特殊なインクはどんどん消えていきます。ユーザー自身が行動することで、時間の流れを感じられたらいいなと思いました。当時「どうしたら作品を通して鑑賞者が時間という概念を感じられるかな?」というテーマを持っていました。そこでモチーフとして、カレンダーというものを思いつきました。今までのカレンダーのデザインは主に、イラストやタイポグラフィなどグラフィックデザインを中心にすることが多かったのですが、プロダクトデザインでアプローチすることで、鑑賞者の考え方や行動を変えることができるかもしれないと思いました。
この箱の中はトイレットペーパーのような構造で、バッテリーを利用して、カレンダーのページが繰り出されていき、自動更新されます。グラフィック作品を作ってきた私にとって、挑戦的な作品でした。

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これはミラーという作品です。
写真を用いた作品で、3つの要素で1セットとして、それらが1つの冊子にまとめられています。左のページはモデルさんの普通の日常の姿で、右のページは自分の理想の姿の写真を配置しています。中央部分には鏡のフレームを表現するフィルムを取り付けています。大学ではグラフィックデザインの勉強をしていましたが、心理学や社会学の授業も受けている中で、自分たちは鏡を見るときに理想の自分の姿を想像してしまうという傾向があるということを知りました。私はこの作品で、現代人の心理や自分の理想像を表現しました。

study03のコピー


これは、現在の研究に関する作品で、大学院1年生の時に作った「時間の流動性」をテーマにした作品です。私は、静止した画面の中で時間を表現するにはどうすればいいのか悩んでいました。最終的にはキュビズムのような、1つの画面の中で、異なる複数の瞬間の写真を合成するという手法で制作しました。人が歩く一連の流れを連続的に撮影し、モデリングをしました。


ーこれから何を大切にして制作をしていきたいですか?
まずはビジュアルデザインをする際に、視覚的な美しさを作ることです。自分が納得できる美しさと面白さ、この2つを非常に注視しています。あと、自分の考えたアイデアとか発信したいメッセージを鑑賞者に伝えることも大切にしたいです。やはりデザインすることや作品を作ることは、他の人とコミュニケーションをとることと同じだと思っています。発信したいことがあるからこそ、自分は作品を作りたいという気持ちが非常に強いと思っているので、鑑賞者に自分のメッセージを伝えていくことも大切にしたいです。


ー卒業制作はどんなものを作ろうと思っていますか?
写真を使ってキュビズム的な世界観を作ることで、時間の流動性を表現したいと思っています。今は、ARを利用して遊び心のある写真作品を作っています。カナダの学者、マクルーハンは「メディアは人類の身体の拡張である」と主張しました。それが非常に面白いと思ったのと、今の技術の発展はすごく速いので、この時代にどうやったら新しいビジュアルの写真を作れるのか。それを考えてARでの表現に辿り着きました。今回の作品を通して、鑑賞者と一緒に写真と事実について一緒に考えられたらなと思います。

(インタビュー・編集:蕪木彩加)

Instagram: @elianmage


次回の統合デザイン学科4年生インタビューは…!

「ミニマルな考えで普遍的なデザインを生む」
カク・シンガイ
多摩美術大学統合デザイン学科大学院2年
深澤直人・長崎綱雄プロジェクト

深澤教授のデザインに深く影響され日本へ留学を決めたカクさん。
もともと器のデザイナーで、工芸やデザインの知識を学んでいたそうです。
カクさんの思う、陶磁器のデザインとインテリアのデザインの繋がりとは。
院生インタビュー第2弾公開中です!

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