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統合デザイン学科卒業生インタビュー#08山田愛祐実さん

山田 愛祐実(やまだ あゆみ)
ブランディング会社勤務 ブランディングデザイナー
統合デザイン学科2期生 永井一史・岡室健プロジェクト


幼少から自分の手で何かを作り出すことがとにかく好きでした。
現在の趣味も料理と器集め、ハンドメイド制作です。


ー統合デザイン学科を卒業されて、現在は何をされていますか?
株式会社セルディビジョンに新卒から3年間働き、そこからまた新しくできたグループ会社に移籍し、4月から株式会社セルワールディングという会社にいます。弊社では個人から中小企業、時には大企業からもご相談を受けており、業種に縛られず、これまで500社以上の企業に対し、コーポレート・アイデンティティを基にしたブランディングを行なっています。
案件の相談が来た際にはまず、じっくりといろんな側面からお話を聞きます。企業が今抱えている課題や原因、また、その企業にしかない強みなど「らしさ」をヒアリングを通して見つけ、時にはワークショップやアンケートを行い、徹底的に企業の中身を知っていく作業を行います。
そこから抽出されたワードを基に、最も必要・最適となるコピーライティングやVI(ヴィジュアルアイデンティティ)等、アウトプットしていく仕事をしています。


ーデザインに興味を持ったきっかけは何でしたか?
小さい時から作るのがとにかく好きだったんです。私はシルバニアファミリーの世界観が好きなのですが、理想のパーツが無い場合があるんですよね。そういうのをちまちま作っていました。自分の手で何かを作ること自体は今も変わらず好きなんです。それがきっかけで、中学校の時から美大に入りたいとは意識していました。統合デザイン学科は、説明ブースに行った際に、デザインを横断的に行うことはこれからの社会にすごく必要だということを知り、興味を持ちました。


ー統合デザイン学科では特にどのようなことに興味を持ち学んでいましたか?

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自分と相性が良いと感じた授業はエディトリアル演習です。
今のエディトリアル演習の内容とは違いますが、当時は毎回先生からテキストデータを渡されてその情報の整理をしていました。このことが、社会に出た後もとても役に立っています。デザインというのは、ビジュアルを作るだけではなく、情報伝達をしなければならないので、整理の仕方はとても重要です。デザインって誰かのためのものだったり、社会の人たちのためのものなので、あくまでも利用する人の目線に立ったものを作らなければなりません。その思考の基礎を叩き込んでくれた授業だったなと思いますね。


ー自分らしい作品orお気に入りの作品は何ですか?

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これはプロジェクトで出された、日本にある社会課題を題材にデザインをするという課題です。
私は徳島県佐川町でヒノキの端材が出るという課題を見つけ、端材を使った子供の成長に合わせて送られる贈答用の箸を制作しました。形も成長するごとに変わり、五角形から始まり、六角形、八角形となります。
最初のうちは子供は掴む作業ができず、角ばっている形の方が指に引っ掛かって持ちやすいため、五角形のことが多いです。そういった事例に着目し、五角形から六角形、段々と最後は円に近い形になり、子どもが成長・成熟していく意味を込めました。
パッケージのイラストも、最初は小さい苗から出てきたのが、段々成長して幹になっていく様を表しています。
また、子供なら箸の持ち方、表彰状、大人になった際に役立つ箸のマナーなど、年齢に合わせて役立つ情報が入った説明書等もデザインしました。
木が好きだったので、プロトタイプの制作で木を削ったり、プロダクトの形からパッケージデザインまで考える事ができたので、好きな作品ですね。


ー卒業制作では何をしましたか? 

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viewというオーナメントを作りました。手のひらサイズのちいさな土地に、世界の建築物や自然を参考としたモチーフを自由に組み合わせ、歴史も文化も混合された未知の景色を無限に広げることができます。街や自然が持つ個々の魅力を感じてもらいながら、想像が掻き立てられ、童心にかえり夢中になってもらうことのできる作品を目指し制作しました。


ーなるほど。先ほどの箸もこの作品も、どちらも木ですね。
木っていろんなことができるんですよね。素材としての良さがたくさんあるなと思って、ヒノキだと香りが癒す効果があったり、木の素材によっても使える幅が多様で違ったりとか。木って無駄になることがほとんど無いと感じます。
卒制ではレーザー加工で制作しましたが、レーザー加工で作品に合板を使うと見た目が無機質になりがちです。でも、本物の木を使用すると自然の木目などで色ムラがでたりするんですよね。卒制ではアガチスという加工しやすい自然の木を使ったので、表面の木目だったり、1つ1つパーツの色がちょっとずつ違ったりと、無機質な印象を取っ払ってくれたなと思います。


ーデザインのどのようなところに好奇心を持って制作していますか?
私は自分が作ったものを喜んで使ってくれたり、自分のものにしてもらえているのがすごく好きで、それがデザイン制作の醍醐味になっていますね。「こういう表現好きなんだよね」とお客さんが目の前で楽しんでくれたり、自分の生活で一番のシチュエーションというのを考えて、生活に取り入れようとしてくれることがすごく嬉しいですね。


ーこれから、どんな制作をしていきたいですか?
誰かの役に立ったり、感情を動かすデザインというのはやりたいと思っています。デザインって表現はあくまで一部で、何かのためなんですよね。
みんながただなんとなく使うというよりかは、心を動かしながら「これすごく便利だな」「これすごく見やすいな」と、その人の直感で良いなと感じてもらえるものを作っていきたいと思います。

Instagram  @plusalpha_000

(インタビュー・編集:野村華花・海保奈那)


次回の統合デザイン学科卒業生インタビューは…!

「他の人が見つける前に素材の魅力を網羅したい」
積田由依(つみた ゆい)さん
アウトドア総合メーカー勤務 プロダクトデザイナー
統合デザイン学科3期生 深澤・長崎プロジェクト出身


設置している器などに影響を受けて、水の形が変わる様子を様々なものを使って研究作品を制作した積田さん。
現在もこの作品を作り続け、SNSで発信しているそうです。
その理由や、積田さんの感じる水の魅力とは?
卒業生インタビュー第9弾は明日公開です!乞うご期待!

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