統合デザイン学科4年生インタビュー#10山下奏
山下奏(やました そう)
多摩美術大学統合デザイン学科5期生
中村勇吾プロジェクト所属
ー現在の主な活動について簡単に教えてください。
音楽を軸にその周りのクリエイティブなことをやっています。CDのアートワークや、映像だとミュージックビデオやライブ映撮影、ビデオジョッキー(VJ)などをしています。
ー音楽を主軸とした活動に興味を持ったきっかけはありますか?
音楽が好きな両親の元で育ったので、もともとずっと音楽は好きでした。
アートの道に行こうと思ったきっかけは、中学生の時にGReeeeNの『塩、コショウ』というアルバムを買ってもらい「ジャケ買い」という言葉を知ったことでした。自分も音楽をやるようになって、ジャケットで選んで聴いた音楽は外さないし、逆に好きな音楽のジャケットは気に入ったりして、通ずるものがあると思うようになりましたね。映像については、まだライブに行くことができない年齢の時に、MVやライブ映像など会場の雰囲気が伝わるような映像を見て、自分も作ってみたいと思うようになりました。
それから大学に進学して新しく手にしたカメラで、高校時代のバンドを継続する友人の記録係としてカメラマンをするようになり、そこから色々と派生したという感じです。
ー今までに制作した作品について教えてください。
これはCDジャケットのグラフィックを制作した時のものです。
音楽の周りのクリエイティブ制作は、CDジャケットやMV制作などをさせていただく機会があって、実写で外ロケの撮影などもしています。この作品の時はCDのグラフィックとセットでリリックミュージックビデオが作れればと思い制作しました。作成したリリックミュージックビデオのスクリーンショットを合成してCDのジャケットに使いました。他にも3Dのエフェクトを制作して映像を作ったりもしています。
音楽関係では他にも活動をしていて、これは2021年にビデオジョッキー(VJ)をした時の写真です。ビデオジョッキーというのは、ライブの音楽に合わせてリアルタイムで映像の操作して空間を盛り上げる役です。
ー音楽やMVが持つ魅力はどんなところだと思いますか?
音楽と映像は違う表現だと思っていたのですが、音楽に対する映像によって音楽が違う聞こえ方に感じたり、逆に映像に対する音楽によって映像が違う見え方に感じたり。相互作用があると思っていて、そこがリンクしたりマッチすることもあれば、ギャップが現れることもあって。世の中に出ている作品は、そこで個性が出ていて魅力だと思います。
これは「30日間何かの行動をまとめて作品化する」という課題で制作したものです。スケートボードに毎日乗り続け、それを一本の動画にまとめて作品にしました。私はバランス能力があまり良くないので、スケボーに毎日乗ることでの成長を伝えつつ、画を持たせるために転んでいるシーンを使ったり、ボードに乗る姿勢の変化がよく分かるよう自分を画面の中心に構成したりしました。
これはポートレート写真の作品です。被写体の素の表情を引き出すために、モデルさんが普段聴いている音楽をかけたり雑談をしたりしながら撮影をするようにしています。雰囲気を出すために、撮影しながらビデオジョッキーをしてシュチュエーションを作ることもします。ポートレート撮影では、モデルさんのバックボーンやファッション、聴いてきた音楽などがその人の個性として出ているというところが興味深いですね。
ー制作の幅が広いように感じますが、それらは山下さんの中ではどのように繋がっていますか?
クリエイティブによってそれぞれのアウトプットに違いはありますが、通じるものがあると思っています。写真と映像はツールが違うだけで作る上での考え方は一緒だと思っていて、表現したいことに合ったツールを使用し制作しています。
ー今の活動のどんなところに好奇心を持っていますか?
誰かと一緒に制作をしていると、毎回違うものが出来上がるところが面白いと思います。音楽という媒体は、音楽とプラスMVやジャケットなどがあり、人と一緒に作ることで表現がバチっとハマる、拡大されていく快楽があると感じていて。MV制作では作曲した人がどのような気持ち、世界観でその音楽を作ったかをMVに落とし込んでいくので、全ての注文を聞くというよりは「自分はこう捉えた」というキャッチボールをしていって、1つの成果物になっていくことが面白いです。1人で作ることもできるけれど、複数人で作るものは色々な意見が含まれていたりして毎回違うので、さらにアツくなるなと思います。
ー音楽を主軸に人と一緒にものを作っていくことが、今の山下さんの好奇心を掻き立てるものになっているんですね。
そうですね。あと根本的に人間、人間観察が好きです。その人が何をどう思って生きてきたのかが絵や音楽にも顕著に出ると思います。その人が最近何の曲を聴いているかという情報だけでも最近元気かなどが分かったり、それだけでも面白いです。
ー卒制はどんなものを作ろうと考えていますか?
音楽とビジュアルをリンクさせて、体験者が音楽を触れるような作品にしたいと思っています。触れるものにプロジェクションマッピングをして、作品に触って操作することでビジュアルが変化し、それとリンクして音の変化も体験できるような作品を作っています。
(インタビュー・編集:白井・河原)
Twitter:@ohso_beat9m15
Instagram:@o_zox_
Website:https://soyamashita.myportfolio.com/work
次回の統合デザイン学科院生インタビューは…!
「美しさをコントロールしメッセージを伝える」
リュウ・ギョウキ
多摩美術大学統合デザイン学科
大学院2年生 担当教員 : 永井一史
グラフィックデザインや写真、イラストなど、主にビジュアルデザインを制作されているリュウさん。
フリーランスとして人のポートレートの撮影や、イベントの宣伝用のポスターの制作、アルバイトでは、商品のパッケージで使うイラスト制作や商品の撮影もしているそうです。
そんなリュウさんがデザインに興味を持ったきっかけとは。
院生インタビュー第1弾公開中です!
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