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統合デザイン学科4年生インタビュー#05武井隼人

武井隼人(たけい はやと)
多摩美術大学統合デザイン学科5期生
菅俊一プロジェクト所属

ー好きなもの・興味のあることは何ですか?
文字や言語を取り扱うことが好きです。文字のデザインが好きなので、街を散歩して看板や広告を色々見ることが好きです。
最近では神楽坂の商店街に行って、お店の看板を写真に撮ってきました。フグ屋さんの看板文字はフグの形に寄せたデザインになっていたり、美容院の文字は80年代の丸みある文字になっていたりとか、店舗によって文字の形に統一性がないので、その違いを写真に収めていくのが好きです。


ー今までに制作した作品について教えてください。

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主にタイポグラフィーをやっていて、製本をしたり文字を作ったりもしています。ひらがなやフォントを作ったり、最近では『変体かな』という文字をリデザインしました。体験設計の作品は、「基準にはめる」という課題があり、駐車場から発想を得て制作しました。


ーフォント作品について教えてください。

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このようにひらがなのフォントで文字を作ってます。フォントの名前は『トガ文字』。円弧と四角形を使って作りました。
英語にすると「Omit shape font」で尖っているという意味です。
もう少し作り直すところあるかなぁと思います。

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このフォントは、架空のプロジェクトを想定して作りました。僕の地元は美術館がないんですけど、美術館を建てるという想定で、そこで使う文字を作成しました。想定している美術館の立地が海に近いので、波の形を取り入れて丸みを帯びさせたり、文字を斜めにするイタリック体にしました。国際的なイベントもできたら良いなと思って作りました。


ー課題以外に作っている文字はありますか?

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作字は1日1個ペースで電車の移動時間などに作っています。インスタグラムに選抜したお気に入りを載せています。


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『ガリバー旅行記』の製本をしました。この物語の内容は、小人の世界に入り込んでしまう部分が有名だと思うのですが、読んでいくと主人公のガリバーは最終的に人間のことが嫌になる社会風刺・主人公の心情的な変化・人間に対する考え方が徐々に変わっていく様子を感じたので、それを表すために小口部分にグラデーションを入れてみました。最初は赤で、終盤に向かうにつれて青黒い色に変化していくことで、ネガティブになっていくイメージを表現しています。また、本のカバーが切り抜きになっているものをあまり見たことなかったので取り入れてみました。


ー製本の魅力は何ですか?

平面だったものが立体になる過程が楽しいです。決められた枠の中でレイアウトを自分で作って、それを一冊の本として成立させるのが面白いですね。


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『基準にはめる線』という本棚の中で使う作品を制作しました。各ジャンルの欲しい収納領域を決めてそこに本を駐車します。また、駐車番号の部分に本のジャンル分けシールを貼ります。駐車線からはみ出した本は断捨離するというシステムで、本の断捨離を楽しくしたいと思い制作しました。

これは散歩中に思いついたアイディアで、日常の中から「基準にはめる線」を探そうとした時に、車の停止線などが目につき、街中は車を基準とした線が多いなと思いました。個人的に断捨離や片付けが得意でないので、片付けやしまう行為が駐車場と組み合わせられたらなと思い作りました。


ー文字や言語に興味があると聞きましたが、それらのどんなところに魅力を感じますか?
何故かわからないけれど、物心ついた時には言葉って知ってるじゃないですか。誰でも理解や認識ができる日常的な概念をデザインできることに魅力を感じます。
あと、グリッドシステムがすごいんです。グリッドシステムを使えば誰でもデザインできるところにも魅力を感じます。


ー卒制はどんなものを作ろうと考えていますか?
今やりたいと思っているのは「環境を使ったグラフィック作品」です。大学の中庭などで展示したいと考えていて、フレームの正面から見ると文字が並んでいるだけに見えるのですが、フレームからズレるとレイヤー構造になっているのが見える。文字が周辺の環境に擬態しているようなものを作りたいです。


ーその発想はどこから来たのでしょうか?
街中を散歩すると周囲の環境に異物として存在する文字に違和感があり、そうではないやり方があるのではないかなと考えました。借景をテーマに作ろうと思っています。

(インタビュー・編集:白井美輝)

Instagram: @takee_works
Website : @https://www.takeihayato.com


次回の統合デザイン学科4年生インタビューは…!

「人のやものの関係性を様々な視点から探求する」
本井 菜津子 (もとい なつこ)
多摩美術大学統合デザイン学科5期生
菅俊一プロジェクト所属

今見ているものからわかる二次的な情報/印象について研究している本井さん。
アフォーダンスや現象学、材料工学に深く興味を持っているようです。
その3つの学問に興味を持つわけとは。
4年生インタビュー第6弾公開中です!




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