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卒業制作 学生インタビュー #1【 統合デザインの卒展 】

1月に行われた 統合デザインの卒展 にて、学科内TOP20に選ばれた学生8人へインタビュー。

卒業制作に至るまでの裏話や影響を受けたもの、教授のアドバイスから得たものなど根掘り葉掘り聞いていきます。


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今回は深澤プロジェクトの深尾昇平さんにお話を聞きました。


──制作した作品の紹介をお願いします。

深尾: 服とカバンの用途が一体化したプロダクトを制作しました。
普段から物を持たない人でも物を持ち運びたい願望やそう思う機会はあるはずで、そこの欲求がまだかなえられていないと感じたこと、あと服とカバンは身に付けるモノとしてだったり布でできているところだったり結構似てるなって思って、その類似点からカバンではなく服で買うものを持ち運べればいいなという思いで作りました。


上品さを感じる柔らかいウール生地だったり、その服自体のそれぞれの配色を使ったり、女性をイメージしたんだけど、写真でもそれらしさを表現できるよう撮影しています。

この作品を作るにあたって、プロダクトとしての形とかではなくもっと新しさや、見たことないようなものへの面白さ、魅力を感じるっていうことが重要だと感じて、一旦素材とか形とか全部捨てて、面白いとか魅力を感じるとはなんだろう?感動するものは何があるだろう?と考えるところからはじめました。

──そこから服にたどり着くまでどういう経緯があったんですか?

深尾: 前期に深澤プロジェクトで兆しっていう授業があって。社会で起ころうとしてる兆しを捉えて、そこから新しい形やデザインを発想する課題だったんだけど、そのとき男性のためのスカートを考えたんです。スカートの真ん中に切れ込みを入れて、ズボンっぽく見えるから男性でも履きやすいというものを作りました。
それと併せて、同じ課題でクラスメイトがカバンを持ち歩かない人が増えてる兆しを捉えて表現にしていて、その人の答え方は全然違うものだったけど、強いインスピレーションになってます。その2つと、あとはアイデアを探してる時に同じ色の服とリュックを身に着けてる人を見かけて、リュックと服が一体化してるように見えたのが、考えていたことの類似点を感じて服とカバンの融合みたいなものが面白いんじゃないかなっていう。この3つですかね。

──点が繋がって線になってみたいな?

深尾: そう。関係なさそうでも結局は繋がってたんだなみたいな感じです。

──元々服を作るのは好きだったんですか?

深尾: いや、そういうわけではないです。でも魅力を感じてないとかでもなくて、作っていくうちに楽しいなとは思ったけど、アウトプットに合わせて自分が頑張ったという感じ。そのためにミシン買って使い方を覚えて...っていう。




──テーマ決めからの制作過程について教えてください。

深尾: アイデアは10月時点で思いついていたんですけど、そこからどういう方向性でいこうとか、実際に取りかかるまで結構悩んで、実際の制作期間は2ヶ月か1ヶ月半ぐらいでめっちゃ短かかった。
最初に悩んだのは"服のようなカバン"なのか"カバンのような服"なのかというところで、結局、カバンを持つ人が少なくなってるというのがきっかけだから、"カバンのような服"の方にまず決めました。あとはどこにものが入ると面白いかとか違和感がないかみたいなの探していきました。
ここからは作る工程になるんだけど、まずイラストレーターを使って型紙を書いたりしました。服って布切っちゃうと取り返しがつかないし、着る物だから実寸で作るのに時間もかかるし。


スケールモデルとかは早めにやりはじめて、ファッションってやっぱり着たくなるような洗練されたかっこよさが必要だから、形にこだわりを持ってギリギリまで修正続けたって感じです。それと、服の生地とかも小物を入れた時の曲線で柔らかい印象がでる方がいいなって思いながら生地を選んだり。

まずは帽子を作ってみたりして、12月あたまに長崎先生に綺麗でいい感じって言ってもらえて、だけど同時に服をどのように見せるか、どんな人が使うのかを想像して作った方がいいんじゃない?とも言われて、確かに、と。じゃあ専門のブランドとして作ろうかなみたいな感じで定めていきました。

卒展に向けて6、7着ぐらいは欲しいなと思って、全部型紙作成と同時平行で縫いながら友達に意見もらって作っていきました。
やっぱり自分の目線だけだとかっこ悪さに気づきにくくなったり、あとは自分は男性だからやっぱり女性ものは女性目線が必要だなと思って、既存の服のブランドとかも紹介してもらいながら色々作ってきました。
年明けぐらいまで型紙を修正してて、卒展2週間前にやっと作り始めて、1週間で6着作って...最後の方は本当にやばかったです。


──写真があることでさらに作品の良さが伝わりますね。

深尾: 最初は服をマネキンに着せて展示しようと思ってたんだけど、長崎先生が見せてくれたイッセイミヤケの本の見せ方がすごくて参考になりました。
あとこれは展示台の話になっちゃうんだけど、 服の形が綺麗だから平置きでもいいんじゃない?とアドバイスをもらって、2列の平置きでショップ感を出してみて、あとは服の形見せるための平置きだから、結構低めの展示台にした方が見やすいな みたいに、作品というイメージよりブランド感を意識して考えていきました。




──展示を行った感想を教えてください。

深尾: いろんな人が、卒制は悔い残らないようにした方がいいよと言ってたけど、私はめっちゃ悔しいなという思いが残ってます。
まずスケジュール的に2ヶ月で作ったから、圧倒的に準備が足りていなくて、永遠の課題ではあるんですけど、もうちょい早くに物だけじゃなく展示やコミュニケーションに時間をかけると出来上がりはもっとよかったかなというのはあります。ぶっつけ本番の形が多くて余裕がなかったから結構やらかしが多くて。
それでも、モデルとかしてくれたりお手伝いしてくれた方がいて、それがなかったら完成しないものもあったのですごいありがたかったです。
あともう一つ、最終講評の時に深澤さんにもっと硬い生地を使うと物を入れた時の形が面白そうみたいなこと言われて。たしかに物を入れた状態の形の面白さがもっと出た方がこの作品のアイデアに対して純粋っていうか、適正に答えてるなと思って、最後の最後でもうその通りで何も言えなくて。

ここまでなんとかできたし、途中も結構褒めてもらえたので、ブランドとして結構高めてこれているから、さらに上があるなっていうのが見えました。悔いっていうか、まだ伸び代はあったか...みたいな感じ。




──来場した人の感想はどんな感じでしたか?

深尾: 結構反応があって嬉しかったみたいなの多いと思うけど、私はどっちかっていうと、見てくださるのはありがたかったけど、反応から気づかされたこともあって結構反省多めって感じです。




──今後やっていきたいことがあれば教えてください。

深尾: 進路的には大学院に進学が決まって、今後やっていきたいこととかは考えてみたけど、ここで述べても結局多分やらないだろうなって思ったしここで言って結局やらなかったら嫌なので特にない、が答えです。

普通に過ごしてたり、ものを作ってく中で、 あ、卒制のときこれやったな みたいな経験が出てくると思うので、その時の経験だったり、ここで作った土台を食いが残らないように生かしていきたいってより、勝手に生きてくるんだろうなって思います。

何も考えずに今を生きるみたいな感じで多分やってくと思うから、どこかで学んだことたちがきっと生きてくるんだろうなあ。

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