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統合デザイン学科卒業生インタビュー#03杉本かれんさん

杉本かれん(すぎもと かれん)
デジタルコンテンツ制作会社勤務 グラフィックデザイナー
統合デザイン学科4期生 佐野研二郎・小杉幸一・榮良太プロジェクト


自分の大好きなもの・やりたいことを見失わないよう、忘れぬよう、自分が楽しめるように制作しています。最近の趣味は香水探しと放浪。人と話すことと二次元美少女が好き。


ー統合デザイン学科を卒業されて、現在は何をされていますか?
オタク向けコンテンツを作っているグループ会社に就職しまして、主に事務所に所属しているVTuberの子たちのロゴを作ったり、グッズのデザインやサイトのトップ画像のデザインをさせていただいています。


ー統合デザイン学科入ったきっかけは何ですか?
同じ方はとても多いと思うのですが、第1志望がグラフィックデザイン学科、第2志望が統合デザイン学科で、この2学科しか受験しませんでした。多摩美に行きたい意識が強く、統合は出来立てホヤホヤの学科だったのであまり情報はありませんでしたが、様々なことが学べ、立地が良く、先生がものすごく豪華だったので志望学科に入れましたね。


ーその当時からグラフィックがやりたかったのでしょうか?
幼少期は両親の仕事の関係で地方に住んでいました。両親の出身地とは異なるため、地元の子達からすると「違う言語を話す子」という感じで疎外感がありうまく馴染めなかったんです。でも、そういう時に二次元の女の子が登場する美少女ゲームをしていて、本来は恋愛対象や萌えの対象として女の子たちを見ると思うのですが、私はそれと並行して、友達であり、ヒロインであって、アイドルであって…みたいな、推しとも違うんですけど。そういう特殊な感情を持っていて昔から二次元の女の子が大好きだったので、昔からそれに関わるお仕事につきたいと思っていました。


ー学生時代から今までで、自分らしい作品やお気に入りの作品はありますか?

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2年次の課題で作った傘です。コンセプトは、傘立てに並んだ時に自分の傘が一目でわかるといいなと思い、チェックマークの形の傘を作りました。当時、私たちの代の生徒はシンプルでミニマルな作品を作る人が多くて、並んでいるのを見て楽しくないなと思ったんです。みんなと少し違うものを作っていきたいという気持ちが芽生え、統合ムーブメントに私は抗っていくスタイルでいこうと思いました。結果的に「形やコンセプトはしっかり作っているけど、見た目はポップでちゃんと個性があり、杉本さんらしさが出ていて良いね」と言われ、自分らしさを見つけることができました。自分も作っていて楽しいし、見た人が見ていて「楽しいな」「面白いな」と思ってもらえるような作品が作れたらいいなという想いが強くなりましたね。

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これは2年生のダイアグラムの授業で制作した、美少女ゲームのタイトルロゴを抽象化した作品です。2000年から2017年までの17年間の美少女ゲームの売り上げを調べて、上位15位までのタイトルをリストアップした後に、1個ずつタイトルに使われてるフォントやどういう装飾が使われているのかを調べました。
例えば、ドロップシャドウの影がついているかとか、ベタ塗りなのか、のような、ロゴに使われている装飾やフォントを調べ、それを一つずつ記号に表し抽象化しました。
自分の長所として、やりたいことを貫いて作れる面があると思います。私はとにかく本当に自分の好きな物じゃないと良いものを作れない、やる気も出ないし作っていても楽しくないと思って。普通の人は「私これ本当に好きだけど出せないわ」と思ってしまうような趣味を人前に出して作ったので、この作品はよく覚えています。周りと違う、みんなが作ってないものを作って多様性を出すきっかけになりたいと思うようになりました。


ー卒業制作の紹介をお願いします。

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『令和』というタイポグラフィの作品を作りました。元号って、言葉や概念として存在しているものなので、ロゴのような形がないんです。もし形を与えるのならどんなものがふさわしいんだろうと考えました。令和になってからコロナ禍とか様々なことがあって、人によって思い浮かべる令和の形は違うと思うんですよ。例えばコロナ禍だから嫌な思いをしている人が大半の中で、もしかしたらとても楽しい生活ができるようになった人もいるかもしれない。人それぞれいろんなパターンがあって、それを全部形にしていったら面白いのではないかと思ったんです。50種類ぐらいの令和を作って並べることで、「私がもし自分の令和を想像するのならこの形がいいな」とか「私だったらこういうのがいいな」というのを考えてもらえるような作品を作りました。
タイポグラフィの作品は基本的にインターネット上で楽しむだけだったり、ステッカーや服にプリントして楽しむだけだったと思うんです。それって平面的で見ていて楽しくないじゃないですか。だから新しいタイポグラフィの見せ方ができないかなというのを自分の中のテーマとして設定していました。


ーこれからどんなデザインやどんなことをしていきたいですか?
美少女ゲームのタイトルロゴを作ることが私の目標なので、そこに向かって頑張りたいですね。大学で学んだことを活かしていきたくて、いいデザインは距離の離れた要素の組み合わせでできていると思うんです。
例えば、二次元の女の子たちに組み合わさっている、いわゆるオタク向けのデザインは、オタクたちが想像する「女の子はこうであってほしい!」 の具現化みたいなデザインがほとんどなんですよ。ロゴにしても可愛くて、ピンクで、とにかくパステル!みたいなものが多いと思うのですが、本当にピンクを使えばその人たちが想像する可愛らしさなんだろうか?というのをずっと思っていて。萌え系のデザインにスタイリッシュなデザインが結び着いている作品が最近増えてきているので、そんな風に異なる物の組み合わせで良いものを作っていけたらと思います。
大好きな二次元の女の子たちに組み合わせてより魅力的に見せられ、彼女たちにとっても素敵だなと思ってもらえるようなデザインができたらと思っています。

Instagram: @karen_foie_gras


次回の統合デザイン学科卒業生インタビューは…!

「既成概念にとらわれない根源的な喜びを探る」
瓜田理揮(うりた りき)さん
事業会社勤務 デザイナー
統合デザイン学科4期生 菅俊一プロジェクト出身

卒業制作では『ひかりおこし』というインタラクション作品を制作した瓜田さん。
しかし美術予備校では「デザインが分からない」と学生講師の方に質問をしていたそうです。
そんな瓜田さんがデザインに興味を持ったきっかけとは何だったのでしょうか?
卒業生インタビュー第4弾は明日公開です!乞うご期待!

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