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統合デザイン学科卒業生インタビュー#07松下悠萌さん

松下悠萌(まつした ゆうも)
職業___映像編集
統合デザイン学科3期生 中村勇吾・菅俊一プロジェクト出身


東京生まれ東京育ちですが両親が関西人なのでたまにエセ関西弁が出ます。
在学中プロジェクトでは、主に映像などを利用したインタラクション作品を主に制作していました。
趣味はスノーボードと野球観戦とお笑い。好きな食べ物はラーメンです。


ー統合デザイン学科を卒業されて、現在は何をされていますか?
株式会社ツリーデジタルスタジオという会社で、主にCMやMV、webCMの編集の業務にあたっています。最終的にエフェクトを足したりとか、最終的にクオリティに関わる部分を一番上まで持っていくような部署にいます。今はまだアシスタントという立場で、メインのエディタの人のお手伝いや雑務をしていますが、当面の目標としてはメイン編集者・メインエディタになって作品に関わることで、そのために編集ソフトの扱いやエフェクトの表現を学んでいます。


ーそもそも、デザインに興味を持ったきっかけはなんでしたか?
高校2年の進路選択くらいの時から美大を目指し始めました。
もともと絵も下手だし、高校時代の選択教科は美術じゃなくて音楽を取っていたくらいデザインとは関係ない人間でした。自分の進路を決めないといけない時に、その時点で何かになりたいみたいな目標が何も無かったんですよ。それでもどうせ先に進むのなら、自分のことだしちょっとでも面白そうな方面に進もうと考えていて。そんな時に、デザイン関係の仕事をしている母親が家で仕事している姿を小さい頃から見ていたので、面白そうだなと思い美大に進路を決めました。


ー統合デザイン学科では特にどのようなことを学んでいましたか?
プロジェクトに所属してからは制作物に対して「面白い」「新しい」と一言で片付けずに、細分化してどこが面白いのか、どこが新しいのかということを考えてそれを最大化させるよう作品作りをしていたと思います。そのやり方を先生方から学ばせていただいたなという感じですね。
作品に対して、自分の持ってる技術やこれから学ぶ技術をどう駆使して組み合わせて、どれだけ面白いものや新しいものが作れるか、そういう感覚で学んでいました。1、2年生の時に精神面も含めて何かを作る上での技術や知識とか徹底的に叩き込まれたことは、3、4年の演習やプロジェクトでの作品制作も生きているし、なんだったら今でも感覚は生きているので、すごく大事な4年間だったなと思います。


ー卒業制作では何をしましたか?

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『目でさわる』という作品なのですが、こんな感じで1個1個の箱を覗いてもらいます。水準器のようなレーザーの光が目の前に出るような形の装置を作って、それをおでこにつけて貰います。そうすると目線の位置あたりにレーザーポインターの光が出るんです。それをつけて、レーザーポインターの光でその中のものをなぞるように見てもらう。輪郭や凹凸感が光の形で認識できて、暗い空間から物が立ち現れてくる感じがするんです。それが暗闇の中で手探りで物を触る感覚に近いと思い、目でさわるという表現にしてます。一定間隔で数秒光るLEDを箱の中に仕込んでて、それがパッとついて、箱の中にあるものが何か分かるように答えを発表する形式です。


ー着想は何でしたか?
これ実は3年生の時に制作したプロジェクトの課題のアップグレード版なんですよ。もともとこの作品を作る時点で、モノをモノとして認識する瞬間に興味が湧いていたんです。例えば、スマホなら「四角い」「平べったくて画面がある」という条件だし、鏡だったら「映り込み」の条件があり、そのものとして捉えているわけですよね。そういった認識の仕方に興味が湧いた時がありました。そこで思い出したのが京都の清水寺にある胎内めぐりという、両サイドにある手すりを頼りにしながら真っ暗な廊下を歩く、お母さんのお腹の中を巡っているような体験です。例えば廊下幅の広さを手すりの長さで把握してるとか、歩いた距離でこの廊下はこれくらい長いなとか、脳内で空間を構築していく感覚がありました。目で見てるわけでもないし、その手で触れたという感覚だけでどんどん自分の視界にバーチャルで作り上げられていく感覚が面白かったなと思いましたし、それが他の方法でどうしたらその感覚が再現できるんだろうなと考えたことが発端です。


ーデザインや、お仕事のどんなところにワクワクしますか?
ある種、魔法といってもいいくらいの出来事と、すごく理論的な部分が混ざり合っている事が面白いですね。自分の職業がデザインかということは置いといて、デザインとか美しいものとか、イケてるなっていうものはかっこいいと思うのですが、それは理論的な武装によって支えられているものがほとんどじゃないですか。
感覚的に作られた作品もあるかもしれませんが、分析すると昔の名画では黄金比が使用されていたり、理論的に支えられていたりもします。逆にそういう理論も、元はといえばなかった理論も、誰かが作ったものだから結局発想力というか感受性というか、感覚もあるので一概にどっちかといえないのがまず面白い。で、広告的にいうと、商品を訴求するために理論的な組み合わせのパターンもあれば、感覚的な組み合わせの方が面白いこともあり、一概に理論一発とも感覚だけとも言い切れない、揺らぎがあるところにワクワクしますね。


ーこれから、どんなデザインや表現をしていきたいですか?
2つあります。
1つは、きめ細やかな仕事をしていきたいと思っています。特に映像とか情報量が多いメディアを扱う身としては、ちょっとした粗がでたりすると作品自体がダメなものになってしまったり、空気感が崩れてしまったりするし。逆に自分のやれることが細かく手の行き届いたものになればなるほど、その作品の魅力も最大化できると思うので、細部まで手が行き届いた丁寧な仕事ができればと思っています。
そのために、作品を通して伝えたいものや、表現したいものを100パーセント出し切れるようにしたいと思っています。技術的な部分や、できないことを言い訳にして作品の質を落とすということがないように、どんなデザインも表現も実現できるように力をつけていきたいと考えています。

Twitter :@Y_M_haruka
Vimeo : https://vimeo.com/user84942861

(インタビュー・編集:白井美輝・海保奈那)


次回の統合デザイン学科卒業生インタビューは…!

「心を動かしながら使ってもらえるようなものをデザインしたい」
山田 愛祐実(やまだ あゆみ)さん
ブランディング会社勤務 ブランディングデザイナー
統合デザイン学科2期生 永井一史・岡室健プロジェクト

卒業制作では『view』という木材でできたオーナメントを制作した山田さん。
3年生の時に制作した、端材でできたお箸『miki』も木材で作られています。
山田さんの思う木の可能性や、デザインの魅力とは?
卒業生インタビュー第8弾は明日公開です!乞うご期待!



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