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統合デザイン学科卒業生インタビュー#02圡方悠輝さん

圡方 悠輝(ひじかた ゆうき)
Artist / Designer / 統合デザイン学科研究室 副手
統合デザイン学科1期生 深澤直人・長崎綱雄プロジェクト

ものが周囲に与える影響力や環境との相互作用を“場”と定義し、研究と立体作品/インスタレーションなどの制作を行っています。
最近はペットのトカゲやカエル飼育にハマってます。


ー統合デザイン学科を卒業されて、現在は何をされていますか?
統合デザイン学科を卒業して、現在はアーティストとして活動しながら、統合デザイン学科研究室 副手として働いています。


ー統合デザイン学科に入ったきっかけは何でしたか?
小さい頃からずっとものづくりが好きな子供でした。折り紙や絵を描いたり、料理や裁縫、小説を書いたり、音楽やったりと、もともと作ること全般が好きでした。美大を志したきっかけは、高校時代に入っていた吹奏楽部の友達が「音大に行く」と言い出したので自分も音大を考えましたが、その友達は自分よりはるかに楽器が上手かったんですよね。それで、音楽では友達に勝てない!と思ったし、自分は絵をちゃんと勉強したことがなかったので美大へ進学しようと思いました。そのときちょうど自分のタイミングで統合デザイン学科っていう未知の学科ができるということで、予備校の先生が「ここはすごいぞ!深澤直人が居るんだぞ!」「中村勇吾も居るんだぞっ!」と激推しされて、色々と調べていくうちに第一志望になり、統合デザインを選びました。


ー統合デザイン学科では特にどのようなことを学んでいましたか?
統合デザイン学科って1、2年生の間に一通り全ての過程に触れさせてもらえるじゃないですか。その中で自分は手で作るものの方が好きだったので、プロダクトや造形技法、描写のカトラリーを作ったりとかワイヤーで作品作ったりとか工作の方が好きだったかもしれません。そこの延長線で深澤プロジェクトに入りました。プロジェクトに入ってからは課題がガラッと変わったことは覚えています。

日本酒_1

日本酒_雑誌広告

プロジェクト最初の課題が、美味そうな日本酒の名前を考えて、その名前に合ったラベルやブランド、パッケージや雑誌広告を作るというものでした。今までは具体的な課題だったのに、いきなりポエムの世界に入ったみたいな感じがして、目で見える表現やかたち以外のところにも情緒があると感じていたので、深澤先生が出した「美味しそうな名前を考えなさい」という課題に惹かれたことを覚えています。「美味しそう」ってすごく抽象的なのに、意見交換をしていくうちに「何が美味しそうなのか」を全員が共有できている事に感動しました。

ボトル引き

ボトル寄り1

その次に出た課題が、「わけなくいい形のボトルをデザインする」というとても抽象的なものでした。日本酒のときはコピーライティングから入りましたが、この課題のときは、造形で詩を読んでるみたいな、かたちにも情緒があるんだみたいなことを言われたような気がしました。


ー自分らしい作品orお気に入りの作品は何ですか?
卒業制作以降の作品は全部お気に入りですね。卒業制作で自信がついたというのもあると思います。その後、働きながらアートをやっていて、まだ外部で大々的に発表はできていませんが、多摩美主催の助手展には積極的に参加するようにしています。発表する度にちゃんと「代表作です」と言えるように作ってますね。


ー卒業制作では何をしましたか?

展示風景_01

展示風景_02

卒業制作では、都市を森のように観察してみたいと思い写真と彫刻で作品を制作しました。もので溢れている環境が私たちにとって当たり前となっていて、意識されないほど工業製品が身の回りにありますよね。だけどその都市も生態系が生み出した1つの自然なんじゃないかなぁと思って。都市を森や海や木を見るように写真を撮影し、そこから出てきたかたちを彫刻として表現しました。大きいパイプの作品と小さなパイプの作品をいくつか出しました。「無意識の自然」というタイトルの作品でしたね。


ーどんなところが大変でしたか?

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テーマを決める時に思い切りが必要だったかもしれません。夏休みの間に卒業制作のテーマを決めなければいけなくて、やりたい事も決まっていなかったのですが、とりあえず、写真を撮りに行こうと思ったんですよね。街の写真をいっぱい撮って自分の好きなものを探そうというところから始めました。街のパイプ屋さんにパイプが乱雑に積まれている光景があって、これを観た瞬間に圧倒されてしまって「これが作品じゃん」と感じたんです。「デザインしなきゃ」とか「アート作品を作らなきゃ」とか思っていなくて、好きだからそれを全力でやるんだっていうところの思い切りに踏ん切れたのがよかったかなと思います。


ー作品制作のどんなところにワクワクしますか?
21_21DESIGN SIGHTで行われた「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」という展示を見に行ったとき、クリスト&ジャンヌ=クロード(島をビニールで覆うような壮大な作品を作る芸術家)のインタビューが流れていました。インタビュワーが「なぜそんなに壮大なことをやろうと思うのですか?」と質問をしたときに、クリストが「私が見てみたいからだ」と答えていて、そうだよな、と自分も思ったんです。
その言葉で制作に対してとても純粋な気持ちになれたのを覚えています。思いついて、きっと綺麗だよなって思って、自分でそれを見てみたいから作る。自分の制作の原動力はそういうところにあると思います。


ーこれから、どんなデザインや表現をしていきたいですか?

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軸を持っていたいなと思っています。
ものが周囲に与える影響や範囲、環境とモノとの相互作用などを、自分の中で”場”と呼ぼうと定義していて、そういうものを主軸に作品を作って行けたらいいなと思います。みんな普段見ているけれど、気づいていない美しさや環境の中に溢れている美しさみたいなものがあって。例えば、コロナ禍でビニールカーテンが揺れていると光が反射して綺麗だなとか、上野毛のイチョウは毎年綺麗だなとか。そういったみんなが感じていることをピックアップして、あらためて気づかされるような作品が作れたらいいなと思っています。

Twitter:@hijiki_opus
Instagram: @hijiki_opus

(インタビュー・編集:白井美輝・海保奈那)


次回の統合デザイン学科卒業生インタビューは…!

「自分も作品を見た人も『楽しいな』と思えるような作品が作りたい」
杉本かれん(すぎもと かれん)さん
デジタルコンテンツ制作会社勤務 グラフィックデザイナー
統合デザイン学科4期生 佐野研二郎・小杉幸一・榮良太プロジェクト

自分の大好きなもの・やりたいことを見失わないよう、忘れぬよう、自分が楽しめるように制作しているという杉本さん。
二次元の女の子やロゴが好きで、本当に自分の好きな物じゃないと良いものを作れないのだそうです。
そんな杉本さんが二次元の女の子を好きになったきっかけとは?
卒業生インタビュー第3弾は明日公開です!乞うご期待!


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